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151 快適な生活空間

 私が入口に立つと、ドアは自動的に開いた。


 ギイイイイイィー。


 ドアが不気味な音を立てながら開いた。


「フッフッフー、雰囲気を出すために不気味な音が出るように設定したのだ。実際には別に傷んでいるわけでも何でもない新築の素材なのだー」


 パラケルススが変な演出をした以外はドアは別に問題がなさそうだ。


 私はドアから部屋に入った。

 前回はワックスかけすぎで入った瞬間転倒したが、今回は気をつけて入った。


 だがそれは取り越し苦労だったようだ。

 私が入った部屋は入り口がピカピカに磨かれ、魔法の箒がひとりでに掃除をしていた。


「これもワシの演出なのだー。帰ってくるまで頑張って総じていました感のご苦労様といった雰囲気を出してみたのだー」


 だからその意味の無い無駄な演出は何なんですか?


 私が部屋の奥に向かうと、椅子がひとりでに動いてきた。

 これもまあ想定内だったが、今度は椅子の背中部分が上に伸びて、服をかける場所が自動的にせり上がってきた。


「部屋に入ったら上着をかけれるように設定し直したのだ」

「なるほど、それは便利ですね」


 そして上着をかけると椅子がひとりでに私を椅子の上に座らせた。


 前回は地獄のマッサージでひどい目にあったが、今回は椅子のマッサージが程よい力に設定されていた。


 そしてマッサージされている間、椅子からは謎の音楽が流れてきた。


「ぱ、パラケルススさん? この音楽は何なのですか?」

「コレはリラックス効果のある音楽なのだ、人間の呻き声に似た周波数で魔族の心地よいリラックスが体験できるのだ」


 いや、私そんな人間のうめき声を楽しむサディスティックな趣味ありませんから……。


「音楽を停止することはできないのですか?」

「ちぇっ。仕方ないのだ、横のボタンを押せば音量調節できるのだ」


 この呻き声では音量というよりも怨霊にしか感じられません。


 私はボタンを押して妙な呻き声を無音にした。

 無音で受けるマッサージは確かに快適空間と言える気持ちよさだった。


「これは良いですね、きちんと改良されていますよ」

「そうなのか、では家に入るヤツに合わせて最初に椅子の強さを調整するのが良さそうなのだ」


 まあオーダーメイドは高くつくかもしれないが、無駄な物を作って作り直しをする事に比べればまだマシな出費と言えるだろう。


 程よい椅子のマッサージで身体をゆっくりできた私は風呂に入ることになった。


「もう痺れ薬はやめてくださいね。今回は私は自分から動きませんから」

「わかったのだ、では風呂のシステムを起動するのだ」


 私が脱衣場に入ると、周りに円筒型の壁が降りてきた。


「服を脱ぐときに他者に見られたくないというならこういうカバーをつけることもできるようにしたのだ」

「これはいいですね、プライベートの空間が保たれていますよ」


 そして私は横に用意されたハンガーに服を一式脱いでかけた後、風呂場に入った。


 風呂場では私が立つと自動的に細いお湯がたくさん出るようになっていた。


「上から一気にお湯をかけると無駄が多いので穴の開いたじょうろみたいなものからお湯を出してみたのだ。音がシャワーと聞こえるからシャワーと名付けたのだ」


 これはいい感じだ。

 お湯が一気に身体に当たるのではないので体を洗うにもお湯が無駄にならない。

 後はこれの角度を変える事ができるようになればもっと使いやすくなるかも。


「これも良いですよ。でもできれば色々と角度を変える事ができればもっと使いやすくなるのではないでしょうか?」

「なるほど、わかったのだ。それで修正してみるのだ」

「まあこの程度の調整ならウチがチャチャッとできるでなー」


 今回のオートマチックスマートハウスは前回とは比べ物にならないほど改善されていた。


 風呂を上がった私は洗面所でさらにこの家のシステムを体験することになった。

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