144 イメージの串カツ
先日までいがみ合っていたパラケルススとアリアはお互いが能力を認め合うことでその力を発揮できていた。
「おう、チンチクリンのパラケルスス。ここはこうやっとけばええんか?」
「アリ女のアリア、そうなのだ。とりあえずここにこれを建てる事が出来れば水やりを決まった時間に効率よくできるのだ」
アリアが土木作業を土木班と協力し、パラケルススがその大まかな全体図を作りシステム化させる。
これで色々な作業が効率よく作られることになってバーレンヘイムの土木、建築技術はみるみるうちにレベルアップしていった。
「そろそろお昼なのだー」
「せやな、ほなメシいこかー」
この様子なら私が監視しなくても大丈夫そうだと確信できた。
◇
「今日のめにゅーはラーメンとから揚げ定食アル」
ウー・マイの料理もすっかりこの食堂の名物になっていた。
そしてブブカやオイオリュカもだんだん料理を手伝わされるようになり、料理の腕は二
「やったー、ウチ揚げ物好きやねん」
から揚げがあると聞いてアリアが喜んでいた。
「でもなー、一つだけ不満があるとしたら、あのソースたっぷりの串カツ食いたいねんなー」
「それなら後で料理長のウー・マイに言ってみればいいのだ」
「ホンマか、ほな食べ終わったら言ってみるわ」
ラーメンとから揚げ定食を食べ終わったアリアは厨房のウー・マイに声をかけた。
「アンタが料理長のウー・マイはんやな。ウチの頼み聞いてくれへんか?」
「フェッ? アタシに何アル?」
「実はな……ソースたっぷりの串カツ作って欲しいねん」
こんな無茶ぶりをされると普通なら出来るわけがないと突っ返すような話だ。
しかしウー・マイはそれを普通に聞き入れた。
「その串カツってどんな料理アル?」
「串カツはなー、串に刺した具にころもにつけて油で揚げた料理や」
「から揚げとかパーコー麺みたいなもんと考えればいいアルか?」
「せやせや、それがもっと小さくて全部串に刺さっとるねん。そのアツアツの揚げたてをたっぷりのソースにつけて食うのがまた美味いねん」
この説明で分かるとしたら食べたことのある経験者か、そうでなきゃ天才だといえよう。
「そのそーすってどんなもんアルか?」
「ソースはソースや。ピリッと辛くて茶色くて美味いんや」
「ふーむ、いまいちよくわからんアルが、とにかくショーユとミリンとあと適当な野菜と香辛料やスパイスを神酒叉に入れて全部粉々にして裏ごしすればできるアルな」
この豪快でわけわからない作り方でその味を再現できるとしたら天才である。
だがウー・マイはそのわけわからない作り方で茶色いソースを作り上げた。
「なんやちょっとネバっとしとるけど、まあ舐めてみるわ」
アリアは出来上がったソースを小さな皿に入れてもらい指を付けて少し舐めてみた
「!!? 何やこれ!? ごっつ美味いやん!!」
アリアがウー・マイの作ったソースにビックリしていた。
「アリアさんの言ってたの聞いて、多分こんな感じじゃないかなと思って作ってみたアル。これで問題ないアルか?」
「問題なんてあらへんわ! 今までウチが食べた中で最高のソースやん」
「ではソースはこれでいいとして、ころもってどんな感じだったアル?」
「ころもは砕いたもの付けて揚げたやつで噛んだらサクッというねん、あの噛んで咲くっていうのが最高なんやー」
「なるほど、揚げるとサクッとなるアルか」
そう言うとウー・マイは作っていた揚げパンの種を砕き始めた。
「ワタシの考えが間違ってないならこれで最高のころもが作れるアル!」
ウー・マイは一口サイズに切った肉や野菜を串に刺し、パンを砕いたころもにつけて高温で揚げたものを作った。
「出来たアル、これがワタシの特製串カツアルね」
ウーマイは聞いた料理のイメージだけでそれ以上の見事なものを完成させた。