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143 仕事は適材適所

「とにかく二人とも落ち着いてください」

「ダーリーン、このチンチクリンがウチのことバカにするんよー」

「テンタルタルソース、このアリ女が悪いのだー!」


 とにかく二人とも落ち着かせないと。


「で、言い争いの原因は何ですか?」

「このチンチクリンがウチがしょげてるって言ったとこからの話や」

「事実を言っただけなのだ、それを悪口に取ったのはそっちなのだ!」


 まあ事実でも相手を傷つけることがあるのをパラケルススには教えてやらないといけなそうだ。


「それにウチの仕事バカにしたんよー! そのチンチクリンがやったら橋なんてチョチョイのチョイで作れるって……そんなん言われたらウチら立つ瀬ないやんかー!」

「バカにはしていないのだ、でも橋の工法とか知らなくても滑車とか動力機関を使えば簡単に作れるって言ったのだ」

「そのカッシャとかドウリョクキカンって何やねん?」


 アリアはどうもそういった機械的なものとかの概念がわからないようだ。


「パラケルススさん、アリアさんに分かりやすく説明してもらえますか?」

「わかったのだ。それで、アリ女。なんで橋を作れないか理由を言って欲しいのだ」

「わかったわい、チンチクリン。ウチらがやろうとしたのは鎖で二つの橋を真ん中で合わせる方法やねん。でもな、鎖を使うとしたらめっちゃ力が必要で、そのためにはミノタウロスやサイクロプスにやらせな力が足りひんねん。でもな、今度はそいつ等に引っ張らせたら鎖がバカ力で引きちぎられてしまうっちゅーわけや」


 それを聞いたパラケルススがうなずいていた。


「ふんふん、なるほどなるほど。それは確かに使えないのだ」

「だからって橋を回転するようにして真ん中まで引っ張るとしても、回転させる力でやっぱりすごいバカ力が必要になるっちゅーわけでこれも使えへんかったねん」


 これも聞いた上で、パラケルススは橋を動かす方法を考えていた。


「よし、それなら解決できるのだ。鎖を使いつつ、力は小さく引っ張って大きく動かせればいいのだ。それなら鎖を何か所か滑車で動かして力を分散すれば引きちぎれずに橋を動かせるのだ」

「アンタ、ホンマにそんなことできるんかいな!?」

「ワシは天才錬金術師なのだ、出来ないわけがないのだー」


 パラケルススがいつものドヤ顔で威張っていた。

 だが彼女はこういう仕事になるときちんと能力を発揮する。

 まさに適材適所というやつだ。


「さて、それでは午後は私達も工事現場に向かいますか」

「わかったのだ、ゴーレムくんも連れていくのだ」



「着いたでー、ここが橋を作ってる現場や」

「姐さん、お帰りなさい。って……そこのガキは誰ですか?」

「誰がガキなのだ。ワシはこの橋を動かす方法を考えるために来てやったのだ。文句言うなら帰るのだ!」

「わかったから、ちと落ち着いてーな」


 パラケルススが橋の横の部分を確認していた。


「ふむ、これなら両開きの可動橋にできるのだ。鎖を通す輪っかと滑車を用意するのだ」


 工事現場には金属製の大きな輪っかと滑車の代用品になりそうなトロッコの車輪があった。


「ではこの車輪と輪っかを使って……チョチョイのチョイなのだ……のだ?」


 パラケルススはアイデアこそはきっちり考えたが、実際に作業しようとすると、上手く作れなかった。


「あーもー、じれったいなー。ウチに任せとき!」


 アリアは手慣れた手つきで鎖や滑車を用意し、パラケルススの指示通りに配置した。


「これで鎖を滑車に巻きつけて……こうすれば、完成なのだ!」

「おー、アンタやるやん。チンチクリン言って悪かったな」

「ワシこそ悪かったのだ。アリア」


 二人がお互いの得意な出来ることをしたので、頓挫していた橋梁工事は一日で無事完了させる事が出来た。


「よーし、明日もバリバリ働くでー!」

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