142 どうやって橋を架ける?
アリア達は橋を作る話し合いをしていた。
「とりあえず人面樹の加工は出来てるわけだよな」
「姐さんが川の真ん中に石を置いたのでそこの上に橋げたを置くのは出来る状態ではあるんだよな」
「そんでウチのアイデアで橋は長いデカいのを作るんやなくて、短いのを両方から合わせて真ん中で止めるっちゅーわけや。これやったら大雨の時は橋を閉じたら流されんですむからなー」
とりあえずアリアの作ろうとしているのは、両側から閉じたり開いたりできる橋のようだ。
「でも姐さん、橋の上げ下げには何を使うんですか?」
「そんなもん鎖で釣りあげたらええんやないかいな」
「そんな馬鹿力いませんよ! それに反対に力の強い奴に鎖を引かせたら引きちぎられますって」
「そういうたらミノタウロスとかサイクロプスにやらせたら間違いなくワヤやなー」
どうも上手く行かないようだ。
鎖を使うやり方で釣りあげる方法にはパワーが必要、だがそのパワーの為にはバランスが必要。
バランスを考えずに力のあるだけのモンスターに鎖を引かせると、鎖は粉々に引きちぎられる。
この問題を解決しないことにはこの橋を作る工事が先に進まない。
「姐さん、それだとくるっと回す橋はどうすか?」
「回すってどういうことやねん?」
土木班のスタッフの魔族が説明をした。
「つまりです。橋をグルリと回る形にして、使わないときは反対に回してしまっておくんすわ」
「グルっと回すって、それも力かなりいるんちゃんかいな」
「そういわれるとそうっすね。上に引っ張る力か横に引っ張る力か、どっちにしろ大きな力が必要になるっすね」
途中までいい感じだった橋梁工事が頓挫してしまった。
その後みんなが話し合いながらあーだこーだと色々考えたが、結局いいアイデアは思いつかないまま昼になってしまった。
「とにかく一旦メシ食いに行こうや」
土木班は全員で昼食の時間に合わせ、魔獣車で庁舎に戻ってきた。
「今日のめにゅーは、カトブレパスのバーコー麺アルよ」
ウー・マイの用意した今日の日替わりは、カトブレパスの肉に砕いたパン粉を付けて揚げたものを小麦の麺の上に乗せた料理だった。
「コレって……カツやん! ウチ、カツも好きやねんっ!」
アリアが昨日のから揚げに引き続き、今日も定食を数人前注文した。
「姐さん。食べ過ぎたら太るって言ってませんでしたっけ?」
「問題あらへん問題あらへん。今日はきちんと仕事してるよて。食べた分働いとるから問題あらへんねん」
土木班の連中とパーコー麺を食べていたアリアは、テンタクルス達が現れたのを見つけた。
「ダーリーン、ウチなー、ちゃんと仕事頑張っとるねんでー」
「あ。アリアさんですね、お仕事ご苦労様です」
「でもなー、ウチらちょっと困った事なってんねん。橋作るのにどーしてもうまいこといかへんねんて」
アリアが少し凹んだ様子だった。
「何なのだ、アリ女が随分としょげているのだ」
「アンタにゃ関係あらへんやろ! このチンチクリン!」
「チンチクリンとはなんだ!? ワシは天才錬金術師パラケルスス様なのだ!」
「へーん、天才とかいうならウチの作ってる橋どうにかしてみーや」
パラケルススとアリアがまた言い争いを始めた。
「橋とは何なのだ?」
「ウチは今真面目に仕事しとるんや、何やらけったいな研究してるフリのアンタとちゃうねん」
「今のは聞き捨てならないのだー! ワシの頭脳ならそんな橋なぞチョチョイのチョイで完成させれるのだ!」
「なんやて、言うたな、チンチクリン」
どうやらパラケルススとアリアは橋梁工事の件でいがみ合ってるらしい。
「二人とも落ち着いてください、とりあえず話を聞きましょうか」
私はアリアとパラケルススの二人からなんで言い争っているのかの理由を尋ねることにした。




