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140 から揚げの誘惑

 アリアはお昼までに見事な図面を描きあげた。


「どうかなー、ウチ初めてなんで見よう見真似でやってみたんやけど……ウチの巣を作った時のこと思い出しながらやってみたんや」

「姐さん、これ凄いっすよ! 素人が考えたとはとても思えません」

「ちょっと手直しこそ必要ですけど、これなら十分使えますね」

「そこにいるアホよりよっぽどまともな図面ですわ」

「オラァ!? 誰がそこにいるアホだ。お前がやらないからオレが代わりに描いたんだろうが!」


 土木班の血気盛んな連中はアリアが描いた図面を見てそれぞれの感想を言っていた。


「アリア姐さん、メシ行きましょう! みんな今からメシ行くんすわ」

「せやな、ウチもうお腹ペコペコやねん。何が食べれるのん?」

「何でも美味いっすよ。行ったらわかるっす」


 そしてアリアは土木班の連中に連れられて食堂に向かった。


「アイヤー、今日の料理はコカトリスの唐揚げ定食と油淋鶏定食アル」


 ウー・マイが厨房で八面六臂の活躍を見せていた。

 その後ろにはオイオリュカがいてコカトリスの鱗と羽をむしっては切り刻んでいる

 オイオリュカも今の仕事に慣れたようだ。


 今では厨房に欠かせないスタッフの一人になっている。

 その上、結構な美人でもあるので彼女のファンも増えたらしい。


「料理長ー、コカトリス三十人分さばき終わりましたー」

「ご苦労さんアル。ではそれをむね肉ともも肉と手羽先に分けるアル」

「わかりましたー」


 オイオリュカは何本もの手を増やし、素早くむね肉ともも肉と手羽先に仕分けた。

 ウー・マイはそれぞれの材料に小麦粉をふりかけ、スパイスをかけて油で素早く揚げた。


 むね肉は油淋鶏に、もも肉はから揚げに、手羽先は素揚げの照り焼き風に仕上げ、数十人分の定食を用意した。


 コカトリスの肉はさっぱりしていて食べやすく、今日のメニューも人気があるものだ。


「なんやごっつ盛況やなー」

「姐さん、ここはいつもこんな感じですよ」


 ウー・マイが料理長になる前はいつも閑古鳥が鳴いていたとは今の状況を見ても誰も感じないくらい食堂は混んでいた。


「あ、揚げもんあるやないかいな、ウチ揚げもん好きやねん」


 アリアが今日の定食がから揚げだと知って喜んでいた。


「でもホントは串カツ食いたいんやけどなー。今は我慢やなー」


 アリアは食堂でコカトリスのから揚げ定食を注文した。


「ほな、いただくでー。なんやこれ、めっちゃ美味いやん! 外は皮がパリパリ、中はジューシー、これ最高の揚げ具合やで」


 アリアはから揚げ定食を平らげると、もう一度並びなおした。


「から揚げ定食三つ追加頼むでー」


 アリアはから揚げ定食を三つ注文し、それを全て平らげた。

 土木班のスタッフはそれを見て唖然としていた。


「姐さん……よくそれだけ食べられますね」

「ウチ昔からメシはぎょうさん食うんや。そやないと子供産めんかったからなー」


 しかし今は出産のためのエネルギーが必要ではない、アリアはそのことをすっかり忘れていた。


「ふー、食った食った。もうポンポンやでー」


 アリアはから揚げ定食を大量に食べて満足していた。

 その後午後の仕事も彼女は図面を描いた。


 土木の仕事にやりがいを感じたアリアは満足そうに初日を終えた。


 だが悲劇は次の日訪れた……。


「なんやねんこれー。ウチの身体がこんなんなってしもたー!!」


 昨日あれだけ大量にから揚げを食べたアリアは仕事で座ったままカロリーを使わなかったのでそのまま体に脂肪になってついてしまったようだ。


「アカーン、こんなんじゃウチの美貌が台無しや―!!」

「姐さん、姐さんは十分キレイですって」

「こんなんやとウチ納得できんねんー!!」


 アリアは昨日のカロリーを消化するために表の現場作業に加わることにした。


「よーし、働くでー」

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