133 騎竜戦艦浮上
アリアの部下の兵隊アリのおかげで、エネルギーは溜まった。
「どうやねん、これでようやく動き出せるっちゅーことやな」
「そうですね、これでようやくこの場所から移動できるってわけです」
騎竜戦艦のエネルギー炉には、雷のパワーがどんどん蓄えられている。
「よーし、ここまでエネルギーがたまったらトランスフォーメーションが可能なのだー」
「トランスフォーメーションって……何ですか?」
パラケルススが言っている言葉がたまにわけわからない。
「トランスフォーメーションとは、ロマンなのだ!」
あの、ますます言っている意味がわからないのですが。
「あの、せめてもう少しわかるように説明してください」
「しょーがないのだ。もっとわかるものだと思ったのに」
だから貴女の判断基準で他者が理解できているとは思わないでください。
そしてパラケルススがいつものドヤ顔で説明を始めた。
「トランスフォーメーションとは変形、つまりは船の形が変わるというわけなのだ」
「つまり、騎竜戦艦が戦闘巨人ゴライアスになることがトランスフォーメーションというわけですか」
「その通りなのだ、変形合体は男のロマンなのだー!!」
あの、今の貴女は女の子なんですが……。
「ではこの溜まったエネルギーで戦闘巨人ゴライアスが騎竜戦艦の姿に戻ることができるのですね」
「そうなのだ、兵隊アリ達にもうちょっと頑張ってもらうのだ」
「アンタら。もうちょっと気張りやー」
「「「アリィ!」」」
アリアの言葉を聞いた働きアリ達が雷のエネルギーを作るためにまた働きだした。
働きアリ達の働きにより、オリハルコン製の魔導エンジン炉に雷のパワーがどんどん溜まっている。
「よーし! ここまでエネルギーが溜まれば変形可能なのだ! さあいくのだ! トランスフォーメーション!!」
パラケルススがボタンを押してレバーを引くと、戦闘巨人ゴライアスの中に激しい振動が起こった。
そしてでくの坊になっていた戦闘巨人ゴライアスは、ゆっくりと立ち上がり、大きく吠えた。
「成功なのだ、これでようやく変形が可能なのだ!」
戦闘巨人ゴライアスは飛び上がり、空中で大きく腕を広げた。
すると腕の部分は甲板の下側に収納され、足だった部分は船尾部分に合わさって後部甲板に変形した。
私達の乗っている戦闘指揮所や作戦司令部の部分は上にせり上がり、戦闘巨人ゴライアスの頭部から騎竜戦艦の艦橋に変形した。
そして少しの時間で戦闘巨人ゴライアスは騎竜戦艦の姿に変形完了した。
「よーし、これでようやく飛行しての移動が可能なのだ」
「一時はどうなることかと思いましたよ」
「よーし、兵隊アリ達、もうええで、ご苦労さんやったな」
「「「アリィ! アリィ!!」」」
兵隊アリ達はようやく仕事から解放されたことで喜んでいた。
さて、それではサンドイーターにめちゃくちゃにされたアリアの巣に戻ってるとしますか。
「さあ、騎竜戦艦でアリアの巣に向かいますよ」
「了解なのだ、騎竜戦艦発進なのだ!」
砂漠は辺りがすっかり夕暮れになっていた。
今日の一日はとても大変だった。
本来なら午前中には地図を作り終わって午後には美味しい食事をした後に地図の編集作業だったはずなのだ。
だが今日は午前中はデザートアントに振り回され、午後はサンドイーターとのとんでもない死闘というわけのわからない一日だった。
「そうや、ウチの巣に戻ったらアンタらにご馳走してやるわ、楽しみに待っとりや」
アリアがとても上機嫌だった。
そして私達は騎竜戦艦を飛ばし、アリアの巣に戻ってきた。
「あーあ、想像以上に巣がひどいことになっとるなー」
アリアの巣の入口はサンドイーターのせいで大きな穴が開き、中がめちゃくちゃに壊されていた。
「まあええわ、ウチが生きている限りはデザートアントはいつでも復活可能や!」
そう言ってアリアがとても良い笑顔を見せた。