128 サンドワーム撃退法
戦闘巨人ゴライアスはエネルギーを使い果たし、全く動かないでくの坊になってしまった。
そしてあのサンドイーターはパラケルススが昔作ってしまった自己再生自己増殖能力を持ったミミズだということが判明した。
「なんで毎回毎回貴女はロクなことをしないんですか!?」
「そんな事言ってもサンドイーターのことなんてずっと昔過ぎて忘れてたのだー!!」
私達はこのパラケルススのせいでまたひどい目にあっていたのだ。
サンドイーターはどんどん自己再生自己増殖を繰り返し、ダメージを受ければ受けるほどデカくなる体質のようだ。
私達の攻撃で多大なダメージを受けたサンドイーターは最初の時に見たよりも二倍以上に大きくなっている。
「もうダメやぁーおしまいやぁー!!」
アリアが頭を抱えて涙目になっている。
モハメドはそんな彼女のそばで立っていた。
「とにかくサンドイーターをどうにかしないといけませんね」
「でもどうやるのだ? アイツはどんな攻撃も効かないのだ」
「私にいい考えがあります、みなさん聞いてくれますか?」
私はどうにかサンドイーターを倒す方法を三つ考えてみた。
「まず一つ目は、奴を火山の噴火口に連れていき、そこに落とす方法です」
「確かにそれは一たまりもないわな、でもこのあたりのどこに火山があるねん」
しまった、火山はこの辺りにはない。
この辺りにあるのは砂漠だけだ。
「そ……そうなると氷漬けにしてカチンコチンで動かなくさせる方法も無理ですね」
「氷漬けだけなら妾の魔力で可能ではあるがァ。持続させるのは少し無理だねェ」
エリザベータの魔力でも凍らせることはできても持続ができないのでこれも没。
サンドイーターは切っても焼いても潰しても自己再生自己増殖を繰り返すので、物理攻撃は却下。
さて一体どうすればいいのだ。
「やはり一番可能性の高いのは、火山の火口に連れて行くしかなさそうですね」
「でもこの辺りに火山なんてあらへんわなー」
ここでトラブルメーカーのパラケルススが胸を張っていた。
もうコイツの言うことなんて全く信用できない。
「フッフッフー、火山が無くても溶岩ならここにあるのだー」
「本当ですか? もう貴女に対する信頼はゼロどころかマイナスを突き切っているんですが」
「大丈夫なのだ、心配ないのだ!」
もうそのセリフ聞き飽きましたし、貴女の場合は『大丈夫じゃない、問題だ』なんですが。
「実は地底にはものすごく熱い溶岩がドロドロに流れていて、その吹き溜まりが火山なのだー!」
「あの、つまりどういうことですか?」
「つまり砂漠の下は全部溶岩なのだー! あのサンドイーターも溶岩の中では間違いなく溶けて死ぬのだ。そうなると分裂増殖もできなくなるのだー!!」
もしそれが本当ならば、どうやってその地底までサンドイーターを誘導するのだ?
「それはわかりました。では一体どうやって溶岩までサンドイーターをおびき寄せるのですか?」
「こんなこともあろうかと、ワシはゴーレムくん8号スーパーギガンテックドリル・アントニオくんを修理したのだー。このアントニオくんなら地底まで穴を掘るのも簡単なのだー」
どうやらパラケルススはこのアリの巣を破壊しながら降りて来たドリル搭載ゴーレムを使ってあのサンドイーターをおびき寄せる作戦らしい。
「本当に上手く行くのですか?」
「大丈夫なのだ、ワシの発明だから問題ないのだー!」
あの、だから問題で心配なんですが。
「1・2・3ダァアアアアー!」
アントニオが大きく吠えた。
モハメドがアントニオと手を握った。
お互い戦った者同士、二体は戦友になっているらしい。
「いっけー! アントニオくん。あのサンドイーターをおびき寄せるのだー!」
「ダアァー!」
スーパーギガンテックドリル・アントニオは、騎竜戦艦を飛び出し、砂漠でデザートイーターを待ち構えた。