125 超巨大変形要塞型ゴーレム戦斗巨人ゴライアス
しょーもないことをやらかしたパラケルススは、戦闘指揮所から叩き出された。
「入れろー、ワシを除け者にするななのだー!!」
あの、貴女は反省という言葉を覚えてください。
とにかく時間はない、私達は騎竜戦艦を再び浮上させた。
空にいる限りはサンドイーターの直接攻撃を受ける事はない。
だが、サンドイーターは口から凄い勢いのブレスを吹き出した。
「一体何をしようというのでしょうか」
「アレなんや!?」
サンドイーターの吹き出したブレスは、砂漠の砂と混じり、強烈な砂嵐になっていた。
「まさかあの砂嵐で攻撃をしようというのですか」
私達は伝声管を使い、甲板や外にいたデザートアントやゴーレムを全員船の中に収容した。
その直後に強烈な砂嵐が騎竜戦艦を襲った。
凄い勢いだ。
多分サンドイーターは空にいる私達を砂嵐で墜落させてから美味しくいただこうというのだろう。
「あかーん、うちらこの船の動かし方わからへ―ん」
デザートアント達もこの複雑な機械は理解が出来ないようだ。
私達は仕方なくパラケルススを戦闘指揮所に呼び戻した。
「どうなのだ、やはりワシがいないと何もできないのだ」
「そんなことはどうでもいいですから、どうやったらこの戦艦を動かせるのですか。このままでは墜落確定ですよ!」
「こんなこともあろうかと、ワシはこのゴーレムくん十号を改造しておいたのだ」
しかしなぜこれは船というか戦艦なのにゴーレムなのでしょうか。
「変形するのだ! 戦斗巨人ゴライアス!」
貴女は一体何を言っているんですか?
しかしその後、私の想像の斜め上の展開が待っていた。
騎竜戦艦の先端がいきなり真っ二つに割れたのだ。
「ななな、一体何が? 騎竜戦艦が壊れています!!」
「えらいこっちゃー! えらいこっちゃやー!!」
アリアやデザートアント達もいきなりのことに全員がパニックになっている。
「落ち着くのだ、これもワシの計算通りなのだ」
「どこがですか、戦艦が壊れてるんですよ、全員避難しないと」
「テンタンタルル。大丈夫なのだ、逃げる必要なんてないのだ。みんな、しっかり何かに摑まっておくのだ!!」
騎竜戦艦は後部も二つに割れた。
これが本当に想定内だとすると、パラケルススは一体何を考えているのか。
とりあえず私は触手を伸ばし、全員が振り落とされないようにデザートアントやアリア達を絡め取った。
前部の真っ二つに割れた騎竜戦艦は船首の部分が下に垂れ下がり、その中から巨大な腕が現れ、その後再び船首が上に向かって動いた。
そして後部はさらに大きく広がり、下に垂れ下がった。
一体どうなっているのだ!?
だがパラケルススはドヤ顔で胸を張ったままだ。
この後どうなるのか、まるで想像がつかない。
そして、私達の乗っていた戦艦の艦橋はそのまま上にせり上がった。
あちこちで歯車がガチャガチャと音を立てている。
そんな状態がしばらく続き、そして最後に私達は大きな地震に見舞われた。
「なんで空中で地震が起きるんですかー!?」
「あ、今地面に着地したのだ」
着地? 着陸ではなく?
そして私達は驚くべきものを目にすることになった。
「完成、コレがワシの自慢の発明……戦斗巨人ゴライアスなのだ!」
何ですかそれ?
「あ、あの……パラケルススさん。コレは一体何なのですか??」
「これこそがゴーレムくん十号の本当の姿、超巨大変形要塞型ゴーレム、戦斗巨人ゴライアスなのだー!」
私達は、超巨大ゴーレムの中にいたという想定をはるかに超えた展開に唖然としていた。
「うわー、ごっついやん! なんやこれー。めっちゃおもろいやん!」
アリアはあまりにも凄い展開にむしろワクワクしていた。
どうして私の周りにはこういうのしかいないのでしょうか……。
「この戦斗巨人ゴライアスであのサンドイーターをボッコボコにするのだー!!」