表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/169

12 とりあえずは総督府見学を

 オクタヴィアは終始不機嫌だった。

 しかし下手に何か言うとまたフルボッココンボ攻撃を喰らいかねない。


「わかった、私が悪かった!」

「まあ、謝るだけマシか……アタシは貴方を許します!」


 しかしこれで執政官としての威厳は失墜したのは確定である。

 今はヒエラルキー的には彼女の方が上と言えよう。


「ところで、執政官代行って事は……前任者は?」

「気が狂って死にました」

「はぁ!?」

「……で、ではその前任者は?」

「拒食症で餓死しました」

「へ??」

「で…………では、その前任者は??」

「探さないでくださいと書置きをして失踪しました」

「???」


 わけがわからない……ここは一体どんな場所なのだ??


「まあこんな場所ですからね、みんなおかしくなってアウトってわけよ」

「貴女は何故そんな状態で?」

「テメェがアタイをここに送り付けたんだろうがァ!!」


 ダメだ、これ以上怒らせるとまたフルボッコにされる!


「わわわわかった……とりあえず落ち着け」

「いいでしょう、アタシをこれ以上怒らせなければ殴ったりしませんから」


 この女、知的な見た目に対して中身はゴリラみたいなやつだ。


「まあ今晩は貴方の就任祝いのパーティーをささやかながら執り行いますので、主賓らしく振舞ってください」

「パーティーだって?」

「ええ、どうぞお楽しみください。最後の晩餐になるかもしれませんから」

「?」


 オクタヴィアが意味深な事を言ったのだが、この時の私は意味が分かっていなかった。


「まあ気になるようでしたらどうぞこの執務室以外もご覧ください」

「わかった、では私は失礼する」


 私は執務室を窓から出るとバーレンヘイムの全土を治めるこの総督府をパーティー開始までじっくり見る事にした。

 総督府は大きな建物だったが、部屋の大半は鍵がかかっていて入れなかった。

 守衛に尋ねたが入れない部屋の鍵はどこにあるのかわからず結局入れずじまいだった。


 その次は軍部に行ってみたが立派な竜舎があった。しかし中には誰もいなかった。


「あれ? ここには軍竜がいるのではないのか?」

「あー軍竜なら、今晩のご馳走になるからもういないよ」

「!!?? 軍竜がご馳走??」

「まあ料理人が久々に腕を振るえると喜んでたよ」


 まさか、軍竜を食べるなんて話、今までに聞いた事無いぞ!!?? ここは一体どんな場所なんだ!?


「というより、軍竜って一匹だけじゃないだろう?」

「ああ三匹いたが全部ご馳走になるはずだーよ」


 軍部の戦力のはずの軍竜がご馳走?

 もしこの場に敵が攻めてきたらどうなるというのだ!?


「軍竜がいなくて敵が攻めてきたらどうやって迎え撃つんだ!?」

「うんにゃー、そんなことありえねーだよ。こんなとこくるやつだれもおらんだーて」

「はぁ?」

「おらここの軍部に昔からおるがー、ここで今までに戦った事なんて一度もないだーよ」


 なんというやる気のなさだ、こんなのでもクビにならないほど人手不足なのか。


 軍部がこれという事は他の部署も期待できないのだろうなぁ。

 私は軍部を離れ、今度は住民課に来てみた。


「何じゃこりゃー!?」

「あー。アンタ誰?」


 住民課の連中は仕事中にもかかわらずカードゲームで賭け事をしていた。

 しかもなんと室長クラスまでもがカードゲームをしている体たらくである。


「お前たち? 仕事は??」

「あー? 仕事無いから待機してるんですよー」

「まあここ数年仕事らしい仕事無いけどねー」


 このバーレンヘイムはあばら家と掘っ立て小屋しかなく不法居住の連中しかほとんどいないので住民課の仕事が殆ど無いらしい。


「オマエラ仕事しろー!!」

「偉そうにいうオマエ誰だよ?」


 そういえばまだ私はこのバーレンヘイムで就任挨拶をしていない、そりゃあ名前も顔もわからない部外者としか見えないのも仕方がない。


 仕方ない、今晩の就任記念パーティーで私の名前を覚えてもらうしかないな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白いと思ってくれましたらブクマ・☆☆☆☆☆ポイント評価お願いします!

ゆーたん(たけのこ派)

別作品です、こちらもどうぞよろしくお願いします。

双子が姉妹の令嬢として再度生まれて人生を入れ替えてやり直す話です

<運命のゆりかご・生き別れの双子令嬢は猫に導かれ互いの人生をやり直す

元ゲームクリエイターが転生して救世主になるファンタジーです

『転生クリエイターのマップチェンジャー』圧倒的な魔力でチート能力を使い一瞬で天変地異を巻き起こす元ゲームクリエイターの転生者はハズレスキルの地面作成(マップチェンジ)を使いこなし救世主となる!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ