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119 納得のいかない決着

 モハメド対アントニオ 最終ラウンド。


モハメドは脚にかなりのダメージを受けているらしく、得意技の脚を使った動きが出来ていない。

一方のアントニオは、全身の装甲がボコボコのベコベコになっていてヒビが入っている。


「オラくそボケー!! 何チンタラやっとんやー!! 最終ラウンドやで、ボッコボコにいてもたれやー!!」


 アリアが大きな声で叫んでいる。


 兵隊アリは流石に15ラウンド戦い続けた二体を見続けて疲れてきた様子だ。


「スーパーギガンテックドリル・アントニオくん。そろそろトドメの一撃を出すのだー」

「ダァアーーー!!」


 アントニオが吠えた。

 モハメドもアントニオもどちらもがもう疲労でガタガタだ。

 このラウンドで勝負が決まる。


 カーン!!


 ゴングが鳴らされ、最後の砂時計がひっくり返された。

 最終ラウンドのスタートである。


 モハメドは下半身で動く事が難しく、一方のアントニオはキックを入れ続けた事で足関節がガタガタになっている。


 もう殴り合う音や蹴る音もボガッ! ドガッ!! といった激しい音から、ペチ、プチッといった緊張感のない音になっていて、見ている方も呆れるレベルだ。


 しかしこのペチペチ合戦でも当事者たちは本気で戦っているのだ。

 最後のこの迫力の無い殴り合い、蹴り合いにデザートアントの兵隊アリ達ももうどうでもいいといった雰囲気がただよってきていた。


「おらー! 何ガキのケンカみたいなしょーもない殴りしとんねん、もっとどついたれやー!!」


 今この場で元気なのは、アリアとパラケルススくらいのものである。

 

「アリィィ……」

「ダァ……」


 もうモハメドもアントニオも叫ぶ気力すら無いようだった。

 その両者がお互いのパンチをぶつけ合った。


 クロスカウンター


 これがモハメドとアントニオの最後の殴り合いだった。

 最後のパンチを受けた両者はその場にお互いが倒れ込んでしまった。


 カーン!


 両者の倒れ込んだ直後、最後のゴングが鳴らされた。

 試合終了である。


 勝負は判定に持ち込まれることになった。


「アホー! 何判定まで持ち込まれてんねん!! 判定だとえこひいきできんやろが!!」


 どうやらアリアは勝負には不正は持ち込まないようだ。

 モハメドとアントニオの両者の戦いぶりを見ていたデザートアント達は、勝者だと思われる方に二つに分かれた。


 公平を保つ為、私とアリアは判定には参加しない。


 デザートアント達はグループに分かれ、数が数えられた。

 そして出た結果は『両者とも引き分け』だった。


「なんやて! 33-4でモハメドの勝ちちゃうんかいな!!」

「アリアさん、何ですかその謎の数字は?」

「やかましいわ! もおええ、おまいら二人共ここからは生かして帰さへんでー」


 約束が違う。

 興奮したアリアは私達を兵隊アリで囲み込んだ。


「命が惜しかったらアリア様お助け下さいと言ってみーや」


 女王アリはワガママである。

 ここは彼女の王国で治外法権だとでも言いたいのだろうか。


「ウウウー、ワシこんなとこでアリの餌になるなんて嫌なのだー」


 パラケルススが寝転がってジタバタしていた、すると……地面が大きく揺れ出した。


「何なのだ! ワシこんな地震起こす発明なんて作ってないのだ」

「違います! これは……何か凄いものが」

「なんやて! 何でアイツがここに来るねん!?」


 アリアが怯えていた。

 傍若無人な女王アリが怯えるほどの相手、それは一体何者なのだろうか。


「サンドイーターや!! アイツ目を覚ましたんかいな!」

「サンドイーター?」

「もうオシマイやー。ウチの王国がー」


 アリアが大声で泣き出した。

 兵隊アリたちは何をしていいのかわからず、右往左往している。


「アリアさん、サンドイーターって何ですか?」

「サンドイーターは超巨大ミミズや。ウチらの天敵と言えるようなデッカイバケモンやー」


 どうやらこのアリの巣にとんでもない怪物が襲ってきたらしい。

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