118 世紀の凡戦
アリ対アントニオ 世紀の凡戦
モハメドとアントニオの対決は次のラウンドに持ち込まれた。
「次こそボコにしたるさかいな! 待っとれよ」
「スーパーギガンテックドリル・アントニオくん。相手は脚が得意技みたいなのだ。なので脚を狙って攻撃をするのだ!」
「ダァアアー!!」
アントニオがパラケルススのアドバイスを受け入れていた。
次のラウンドは脚を狙って攻撃するようだ。
このラウンドというのは小さな砂時計をひっくり返して全部落ち切るとゴングを鳴らす時間。
このラウンドを最大15までで戦うのが、デザートアント族の対外種族への異種族格闘戦のルールだそうな。
モハメドはその戦いでの最強の戦士らしい。
「アリッ! アリッ! アリッィイイ!!」
「モハメドがアンタを倒して肉団子にして食ってやるっていっとるで。覚悟しーや」
水分補給やエネルギー補給、小休憩をはさんだモハメドとアントニオが再び闘技場の中心に立っていた。
「第二ラウンド、スタートや!」
カーン!
第二ラウンドのゴングが鳴らされた。
「スーパーギガンテックドリル・アントニオくん、脚を狙うのだー」
ゴーレムのアントニオはモハメドの脚を狙い、キックを連打した。
掘削用のゴーレムだけに膝関節の動きはスムーズに動くらしい。
アントニオのキックは確実にモハメドの脚を捉えた。
「アリッ!!」
「何しとんねん、この卑怯もん!!」
「フッフッフー、勝負に卑怯もらっきょも無いのだ。勝つ事こそが正義、ジャスティスなのだ」
パラケルススがドヤ顔でアリアに指を突き出した。
「このクソガキが……絶対肉団子にして油の鍋に入れてソースに二度付けして食ったるさかいな。せいぜい気張りや」
アリアはパラケルススの態度にかなりイラついていた。
一方の試合は、アントニオがモハメドの脚をキックしていたが、モハメドは攻撃が効いたような様子を見せなかった。
カーン!
そして第二ラウンドが終了した。
「スーパーギガンテックドリル・アントニオくん。相手は脚にきているのだ、次も脚を狙って攻撃するのだ」
「オゲンキデスカァー!!」
アントニオは大きく手を上げてパフォーマンスをした。
しかしここはアウェイだ。
デザートアントの群れはブーイングをアントニオに浴びせてきた。
「そんなの気にしなくていいのだ、次も頑張るのだ」
「ダァー!」
そして休憩が終わった。
カーン!
第三ラウンドがスタートした。
アントニオは相変わらず脚を狙い攻撃をしていた。
「モハメド、アンタの力見せたりや。そろそろ本気出すんやでー!!」
「アリィィィー!!」
モハメドが力を集めだした。
その腕が二倍くらいに膨れ上がり、四本の腕はアントニオを滅多打ちにし出した。
「避けるんだ、脚を狙って攻撃するんだー」
アントニオはモハメドの脚を執拗に狙った。
すると、上半身にパンチのパワーを集めていたモハメドは脚をもつれさせながら転倒
してしまった。
「1・2・3・4・5……」
「アホー! 何寝とんやー! さっさと起きんかい」
モハメドは脚を立てて起き上がった。
どうやら何度も脚を攻撃された事で、モハメドは得意の脚を使った戦いがやりにくいようだ。
それからも二体の戦いは続いた。
しかしどちらもが決定打に欠ける。
見ていたデザートアント達も応援していたはずのモハメドの不甲斐なさにブーイングを浴びせていた。
「アホー、何そんなしょーもない凡戦やっとんや!! そろそろトドメ刺さんかい!!」
「アリィイイ!! アゴ……クダク!」
そして勝負は最終ラウンドにもつれ込んだ。
「スーパーギガンテックドリル・アントニオくん。お前の本当の強さはその両腕のドリルなのだー。そのドリルで一気に勝負を決めるのだー」
「ムシケラ…フミツブス!!」
そして勝負は最終ラウンドに突入した。
この世紀の凡戦の決着がようやくつこうとしているのだ。
アントニオは腕を大きく広げてポーズを決めた。