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117 最強のアリ

 最強の戦士アリのモハメドとゴーレムのスーパーギガンテックドリルの戦いが始まった。


「そこのモハメドはなあ、ウチの最強の戦士や。そいつが兵隊アリになるのを嫌がったんで兵隊にはしとらんが、対外的外交試合ではめっちゃ活躍してくれとんねんで。56勝5敗で37回相手をブチのめしとるさかいな。もう謝っても許さへんで」

「アリッ! アリッ! アリアリアリィ!!」

「ほらな、モハメドもはよおまいらをボコにしたい言っとるで」


 モハメドはやる気まんまんだった。


「ゴーレムくん8号スーパーギガンテックドリル・アントニオくんはそんな奴に負けるわけないのだー」


 スーパーギガンテックドリル・アントニオの腕が唸っていた。

 ゴーレムのスーパーギガンテックドリルは右腕と左腕の両方がらせん状の槍のような形した掘削に特化した局地型ゴーレムだ。


 モハメドとスーパーギガンテックドリルの二体は、兵隊アリたちの作った四角い枠の中に入れられた。


 枠自体が兵隊アリ達で出来ているので、場外に逃げる事は出来ない。

 これは相手が倒れるまで逃げる事のできない対決なのだ。


「よーし、ゴング鳴らしたら試合開始や」

「あの……私はどうすれば良いのでしょうか」

「アンタはそこにつっ立ってレフェリーでもしとればええわ」


 なんというか適当だ。


 しかし、アリアはこれから始まる戦いを心待ちにしている。


「やれー! 殺せー! いてもたれー!!」

「「「アリッ! アリッ! アリィイイ!!!」」」


 完全にアウェイである。

 この状況で勝っても、無事に出してもらえるのだろうか。

 そう思っている間にゴングが鳴らされた。


 カーン!!


 そして、モハメドとスーパーギガンテックドリル・アントニオの勝負が開始された。


 モハメドは後ろ脚を素早く動かし、二本の足で移動していた。

 どうやら四本の足は相手を倒す為の武器になるらしい。


 アリの鋭いジャブがスーパーギガンテックドリル(アントニオ)に当たった。

 アントニオはいきなりの一撃にのけぞった。


「どうしたのだ、スーパーギガンテックドリルくん。そんな攻撃効かないのだ」

「ガキ、黙って見とれや。ここからがモハメドの殺戮ショーの開始やで」


 アリの鋭いパンチの猛攻がアントニオを襲う。

 そのパンチは一撃が重く、分厚いはずのアントニオの装甲は音を立ててダメージを受けていた。


「いくら外側が硬かったとしても内部からの攻撃には弱いんや。ウチらデザートアントは硬い殻を持っとるさかいな。中にいかにダメージ与えるかが戦いの基本や。そんな外側硬いだけのガラクタの鉄くずに負けるわけがないねん」


 アントニオは防戦一方だった。

 モハメドのパンチは四方八方から襲いかかる。

 その強さの根本は一撃の強さではない。


 モハメドは脚を使って踊るように動いてた。

 これがアリアの言っていた蝶のように舞い蜂のように刺すということか。


 アントニオは右膝を地面につけてしまった。


「なんや、思ったよりあっけないな」

「どうしたのだ! ギガンテックドリルくん! 立て! 立つんだー!」


 しかしアントニオはその場に倒れ込んでしまった。

 これで負けなのか。


「アホ! 何ボケっとしとんねん!! カウント取らんかい!!」

「カウント??」

「鈍いやっちゃなー、数字を10まで数えろって言っとんや!!」


 何だかわからないが、私は数を数えさせられることになった。


「1・2・3・4・5・6・7……」


 その時、アントニオが立ち上がった。


「ケッ、立ちよったんかいな」


 カーン!


 兵隊アリの一体がゴングを打ち鳴らした。


「運のええやっちゃな。でも次のラウンドで沈めたるで」

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