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109 皿洗いの惨劇

 そうして、オイオリュカがウー・マイの弟子になった。


「これからよろしくアル」

「はーい、ウー・マイちゃん、よろしくー」


 何というかほわほわした娘だ。

 まるで緊張感がない。


「テンタクルス殿、オイオリュカはこう見えてワシの軍団ではトップの強さなので、力加減とか教えてやってくれると助かる」


 それって……力が制御できないパワー馬鹿って事じゃないか。


「オイオリュカさんって……どれくらい強いんですか?」

「まあグレーターデーモン程度なら、100匹一瞬で倒せるくらいだな、ワシの若いころには劣るがな、グォワハハハハ」


 それ、間違いなく最強クラスなんですが……。


「テンタクルスちゃーん、オイオリュカちゃんの強さ、知りたいのー?」

「い、いえ……遠慮しておきます」

「いーからいーから、どーせ減るもんじゃないしー」


 そう言うとオイオリュカは目の前に巨大な岩を持ってきた。

 すでに岩というより小さな山クラスのデカさだ。


「これを一瞬で壊してみるねー」


 オイオリュカはそう言うと、二本の腕を一瞬で大量に増やした。


「パワー全開ー! いっせーのーでー!!!」


 オイオリュカは全部の腕で巨大岩をパンチした。

 そのパンチで石は一瞬で全部が粉々に砕け散った。


「どーだー、これがオイオリュカちゃんのパワーだよー」


 私は唖然とするしかなかった。

 これは下手すればファーフニルやトモエ、エリザベータにリオーネともタメを張れる強さだ。


「ふぇー、これは凄いアル。その腕を使えばすぐに料理覚えれるアルネ」

「ウー・マイちゃん。よろしくー」


 そして私達はオイオリュカを預かり、庁舎に戻った。



「ブブカ、新しい弟子が増えたアル、一緒に頑張るアルね」

「了解っすー!」


 オイオリュカはまずは皿洗いをすることになった。


「そこの皿を一枚ずつ洗えばいいアル。特に難しいことでも無いアル」

「わかったよー。洗えばいいんだねー」


 オイオリュカはまずは二本の腕だけで皿を洗い出した。


 パリン。


 持った瞬間皿が割れた。


「あれー? おかしいなー」

「ドンマイアル、まだ始まったばかりアル」


 だがその後も皿は持つたびに……パリン、パリンと音を立てて割れていた。


「なんでこーなるかなー?」

「力入れすぎアル、もっと触る程度で良いアル」

「わかったー、やってみるよー」


 ツルッ、ガシャーン!


 今度は持ち方があまく、皿は指から滑り落ちて割れてしまった。


「ごめーん、やっちゃったー」

「仕方ないアル、まだ大丈夫アル」


 その後も、ガシャーン、バリーン、クシャッ、ゴシカァン!

 皿や調理器具の砕ける音がひっきりなしに続いた。


「なんでこうなるかなー」

「はぁ、仕方ないアル。まあ初日だから大丈夫アル」


 それからもオイオリュカは皿を持っては割り、持っては割りを繰り返していた。

 皿の破片はブブカが全部集めて捨てていた。


 そしてようやく皿を持てたオイオリュカは、今度は洗う布を反対の手で持った。


 パリン、バリン、ガシャン、ゴシャ!


 今度は水の中で皿がどんどん砕けていた。


「なんでこーなるのかなーかなー」

「はあ、まあ習うより慣れろアル、何枚割ってもいいからとにかく今日は皿を洗う事覚えるアル」

「はーい、がんばりまーす」


 オイオリュカはくじけない性格のようだ。

 彼女は見た目は可愛らしいのかもしれないが、中身は相当のポンコツである。

 その後も皿は何枚も割れては捨てられを繰り返していた。

 

 そしてようやく、一枚の皿を割らずに洗う事が出来た。


「やったー、ついに洗えたよー」

「よくやったアル、今度はその洗った皿を乾いた布で拭くアル」


 私は嫌な予感がした。


 パリン。


 やはり皿は音を立てて粉々に砕けた。


「なんでこーなるのかなー」


 貴女今日何回それを言っているんですか??

 今度は皿を拭こうとしてオイオリュカは粉々にしてしまった。


「まあ今日は仕方ないアル。もうその辺掃除しいておいてくれアル」


 ウー・マイも流石に今日は諦めたようだ。

 先はとてつもなく長そうだ。


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