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108 オイオリュカの手

 オイオリュカと呼ばれた少女は、私達に挨拶をした。


「オイオリュカちゃんはオイオリュカちゃんです、よろしくー」


 これはひょっとして、一人称が自分の名前にちゃん付の痛い奴なのだろうか。


「ワタシはウー・マイアル。よろしくアル」

「ウーマイアルちゃん、よろしくねー」


 ダメだ、これも間違いなくポンコツ女だ。

 人の名前を間違えて覚えてそのまま突き進むタイプ、猪突猛進型バカってやつだ。


「テンタクルス殿、うちの娘をどうぞよろしく頼む」

「え。ええ。お預かりさせていただきます」


 こうして、オイオリュカは私達についてくる事になった。


「オイオリュカさんは、何か得意な事ありますか?」

「拷問」


 斜め上の回答が返ってきた。


「そ……それはまたずいぶんとハードな趣向ですね」

「オイオリュカちゃんはねー、どんな相手でも笑わせれるんだよー」


 話が見えん、拷問で相手が笑う?


「い……一体それはどういうものなのでしょうか?」

「じゃあ、試しにテンタクルスちゃん受けてみるー?」


 私は猛烈に嫌な予感がした。


「え……遠慮させていただきます」

「そんな事言わないでやらせてよー」


 ダメだ、これはマジでダメなパターンだ。


 オイオリュカはマントの下に隠していた手を出した。

 すると、その手がいきなり枝分かれして何本もの手に増えていた。


「!!???」

「ほえー、凄いアル。あれだけ手があれば料理覚えたら何でもできるアルね」

「オイオリュカちゃんはねー。手を増やしたり減らしたりできるんだよー」


 流石はヘカトンケイル、アイガイオンの娘というべきか。

 普段は二本の手でしまっているが、使う時だけ手を増やすことができるというわけだ。


 私はそれを見た事で、拷問の意味が分かってしまった。


「わ……私はちょっと席を外します……!」


 そう言うと私は一目散に遠くに逃げようとした。

 しかし、そんな私を腕の中から腕が出てさらに腕が出たオイオリュカが捕まえた。


「ちょい待った。せっかく特技見せろって言ったのに逃げちゃうのー?」

「え……も、もうあなたの特技はわかりましたから……」

「ダメだよー、まだ見せてもないのにー」


 私はオイオリュカの腕で羽交い絞めにされてしまった。

 ある意味この能力は私の触手と同じようなものだ。

 同じような能力というだけに……この後の展開が簡単に想像できる。


「それじゃあいくよー。スーパーくすぐりターイム!!」

「やっぱりー!!」


 オイオリュカの拷問とはたくさんの手を使ったくすぐり地獄だった。


「やめてやめて止めて助けてー!!」

「まだまだだよー、こんなものまだ最初の段階だよー」


 これがオイオリュカの特技、くすぐり地獄の始まりだった。

 私はその後しばらく笑いが止まらず、終わった時にはぐったりしていた。


「よ……よくわかりました、貴女の能力は凄いです」

「これがオイオリュカちゃんの特技だよー」


 後ろではアイガイオンが大笑いしていた。

 コイツ、親バカに違いない。


「凄いアル、アンタその手を料理に使えれば凄い料理人になれるアル」

「りょうり? それって強いのー?」


 どうやらオイオリュカはアイガイオンの娘だけあって、料理を知らないらしい。


「まあコレを食べてみるアル」


 ウー・マイは先程のエホウマキをオイオリュカに差し出した。


「この太い棒みたいなものを食べればいいのかー。あーん」


 エホウマキを食べたオイオリュカがビックリしていた。


「コレってなんなのー? なんかもっとこれを食べたくなる楽しい気持ちが沸き上がってきたんだけど」

「それが美味しいって事アル。まだまだあるからもっと食べればいいアル」


 オイオリュカは残っていたエホウマキを一瞬で食べ終えた。


「パパちゃん、コレって……」

「ああ、お前がこのウー・マイ殿に料理を教えてもらえばこの軍団はもっと強くなるそうだ」

「オイオリュカちゃん頑張るよー。パパちゃんのお手伝いするからね!」


 そうして、アイガイオンの娘オイオリュカが、ウー・マイの料理の弟子になった。

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