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102 新薬完成 クラスターX

 困った事になってしまった。

 例によって例の様にパラケルススが巨大化薬を使って米やダイズを巨大化したのはいいのだが、コレはすり潰して粉にする小麦と違い、茹でたり蒸したり焚いたりする料理としてウーマイに聞いた


「全然ダメダメアル。これじゃデカすぎて蒸しにも茹でにも使えないアル」


 デカいコメとダイズの試作品を食べてみたが、確かにこれは美味しいとは言えない。

 大豆はまだマシだがコメってのはどうも蒸し方にコツがあるようで、しかも小さい粒でないとそれが美味く作れないそうだ。


「まあ当面はこの大きい小麦をすりつぶしたものでどうにかするアル」


 ウー・マイのおかげで肉以外の小麦粉の料理は、かなり好評ではある。

 ウー・マイはラーメン、ウドン、チューカマン、蒸しパン、揚げパンに普通の焼いたパン、それにパスタという細長い物を色々と作って料理にしてくれた。


「でもせっかくなのでコメとダイズ使った料理も出来るようにしたいアルね」


 困った、巨大化させないとバーレンヘイムはエネルギーが少なくて植物が育たない不毛の地だ。


「フッフッフー、ワシに任せるのだ! 巨大化だけがワシの研究成果ではないのだー」

「パラケルススさん、何か別の方法があるというのですか?」

「勿論なのだー、というわけでまたあそこに行くのだー!!」



「テンタクルスさん、よくお越しくださいましたブー」

「こんにちは、トンソックさん」

「おかげさまで巨大小麦は全土にその実を運べるくらいに量が増えましたブー。これで巨大食肉小麦の農家も増えると思いますブー」


 まあ食肉小麦に逆に食われないようにだけ気をつけてもらわないと。


「それで、今日はどのような御用でしょうか?」

「いえ、パラケルススさんがまた何か思いついたそうなのです。この間お渡ししたコメとダイズはどうなってますか?」

「それが……全然上手く育たずに困ってますブー」


 そこにあったのは見るも無残にヒョロヒョロの小さな実をつけただけのダイズやコメだった。


「やはりあの巨大化薬でないと、この土地では大きく育たない様なのですブー」

「どうやらそうみたいですね」


 私は少しだけ収穫したダイズとコメを食べてみたが、パサパサの上、小さく味気ない美味しくないものだった。


「フッフッフー、だからこそワシの出番なのだー! これを見るのだー」


 パラケルススは見るも怪しい小瓶をポケットから取り出した。


「これぞワシの大発明、クラスターXなのだー!」

「クラスターエックス?」


 パラケルススがドヤ顔で指を突き付けてきた。


「このクラスターXは一つの物にかけると、その物がとてもたくさんの物に増えるのだー」

「それは期待できそうですね」


 パラケルススがヒョロヒョロのコメとダイズに薬をかけた。

 すると、小さかったコメとダイズがみるみるうちにムクムクと大きくなった。


「成功なのだー!」

「あのー、コレは巨大化と同じじゃないのですか?」


 私がツッコミを入れようとした瞬間、巨大化したコメの稲とダイズの蔓が私達に攻撃をしてきた。


「やはりこうなるんですねー!!」

「ひえー、助けてブー!」

「ゴーレムくん、出番なのだー!!」


 パラケルススがゴーレムを呼ぶと、そこには火炎魔法を放つような頭のトサカの様に尖ったゴーレムが姿を現した。


「オブツハショウドクダー!!」


 ボオオオオー!


 ゴーレムが手の武器から火炎を吐き出し、巨大化した稲とダイズは沈黙した。

 そして、その巨大な実が地面に落下した。


「ただの大きな実じゃないですか」

「そう思うのが素人なのだー! これを割ってみるのだー」


 私が大きな実を割ってみると、その中には小さな実が入っていた。

そして更にその身を割ると、さらに小さな実がたくさん入っていた。


「どうだ、これがワシの実力なのだー!!」


 パラケルススがドヤ顔でペッタンコの無い胸を張っていた。

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