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10 鉄の才女 オクタヴィア

サブヒロインの登場です 秘書的な立場になるはずなんですが……

 魔力が乏しく、飛ぶ事が出来なくなった私はどうにか歩いてバーレンヘイムの中心部にたどり着いた。

 しかし中心部といえども町といえるような町は無く、あばら家や掘っ建て小屋がポツポツと存在するだけの場所があった。

 これはもう既に町や村とすらいえず、先住民の集落みたいなものである。


 そんな中に場違いに立派な城が一つそびえ立っていた。


「ここが私の城になるのか……」

「おう! あんちゃん、そんなとこ居たら邪魔だヨ!」


 ゴチーン!


 私はいきなり無造作に開いた門の中から出てきたサイクロプスのせいでドアに先制パンチを食らった!


「ななな……何をするだァー!!」


 いきなりの出来事に私は思わず叫んでしまった!


「コラまてやー!! 飯ドロボー!!」


 どうやらさっきのサイクロプスは城から食事を盗んで逃走していたらしい。

 我ながらトンデモないところに来てしまったものだと感じた。


「オイ! アンタ! アイツがどこに向かったか知らないか?」

「え……さっきの奴なら橋を渡って右の山の方に向かったようですよ」

「ありがとう! オラーッ! 今度は貴様を切り刻んで肉にしてやろうかー!! それだけのデカさなら何日分になるかー!!」


 見た感じさっきの追いかけてたのは料理番といったところか。

 見た目的にもお世辞にも腕は良さそうと言えなかったな。


 気を取り直した私は城の中に入っていった。

 受付の女性がコックリコックリ居眠りしていた。


「あのー、今日ここに来たものなんですが……責任者の方はどちらにおられますか?」

「……ハっ!! フェッ?? 寝てません! 寝てませんってば!!」


 これは人間の子供でも分かる嘘である、受付の女性はよだれの後をつけながら、おでこには下のテーブルの痕がついたままだった。


「あのー、それで……責任者の方はどこにおられるのでしょうか?」

「sssしししし少々お待ちください!!!」


 なんという仕事の危機感の無さだ……これで務まる程ここが平和なのか、それともやる気が無さ過ぎてもクビにならない程人手が足りないのか……。


「こここ……この先の階段を上ったところにししし執政室があります! そちらできいてみみみてくださいっ!!!」


 挙動不審そのものだ、いままでよほど来客者がいなくて対応マニュアルすらなかったのだろう。



 階段を上った執政室の扉は大きい物だった。執政官が巨大型魔族だったとしても入れるようにこのサイズにしていたのだろう。

 しかし手入れは全く行き届いていない様だった。

 扉の蝶番はサビサビ、ドアの上部は誇りまみれで、これを几帳面で綺麗好きの全盛期のアブソリュート様が見たら責任者全員処刑で人員総入れ替え確定の案件だ。


 コンコンコン……


 私は三回ノックをした。


「どうぞ、お入りください」


 中から綺麗な女性の声が聞こえてきた。壁の向こうなのになぜこんなに声が通るのか?

 そして私は大きな扉を開こうとした……が、扉はビクともしなかった。


「ぬ!? どうなっているのだ??」


 どうやら扉にガタが来ていて大型の扉が開かない様だった。どうやって中に入ればいいのだ?


「こちらからどうぞ!」

「はぁ?」


 私が入れと言われたのは扉ではなく、横の窓の部分だった。

 窓の部分を改造して出入りできるようにしているようだったが、不便というのか杜撰というのか……。

 どうにか執政室の中に入った私の前に現れたのは長身でスラっとした美人だった。


「自分はこのバーレンヘイムの執政官代行、『オクタヴィア・ララーシュタイン』です」

「私は魔王軍四天王の一人、『テンタクルス・ネジレジアス』です。お嬢さん、よろしくお願いします」

「テンタクルス……だと!?」

「?」


 ズドゴォッ! メメタァ!!


 私はいきなりオクタヴィアから手痛い鉄拳をブチかまされた!!


「グホォ! いったい貴女は何をするんですか!?」

「テンタクルス……貴様ァ……アタイの事を忘れたとはァ言わせねェぞ……」


 鉄の才女といった雰囲気だったオクタヴィアは憤怒の形相で般若のような顔で全身に怒りの魔のオーラを漂わせていた。

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