1 テンタクルス 四天王解雇される!
少し変わった追放系の作品作ってみました よろしくお願いします
「テンタクルス・ネジレジアス! 貴様から魔王軍四天王の地位をはく奪し、バーレンヘイムの地へと異動を任ずる!」
いきなりのリストラ宣告である!
バーレンヘイムなんて魔素も乏しく、ペンペン草すら生えない不毛の地で、魔王軍としても何の役にも立たない場所である。
「何故ですか!? 魔王様! 私ほど長年に渡り魔王軍に尽力してきた者は他におりません! 何卒お考え直しを!!」
「テンタクルス、もう決まった事じゃ。明朝には荷物をまとめてこの地を去れ」
「納得できません! 触手系の能力で私はこれまでに魔王軍に数多くの功績をもたらしました! 強さにおいても他の四天王に劣るものではありません!」
現に私は自称勇者を何十人も返り討ちにしてきた。
中には神の子とすら言われたような者もいた。
しかしどれも私の触手テクニックの前に沈んでいったのである。
今や私の何十人の嫁とも言えるような者達もいるくらいだ!
「魔王様!私は数多くの自称勇者、その仲間達。エルフに魔族、神の戦乙女、そのことごとくを退け、私の触手テクニックの下僕にしたのです!今や私の下僕はGEBOKU48と称して魔王軍の最重要戦力になっている程です!」
「テンタクルス!」
「また、幾万もの魔軍を生み出す女の苗……」
「黙れ!」
「魔王様! 私は女神にすら戦いを挑み、堕天させた事すらあります! 決して他の四天王に劣るものではありません!」
「くどいぞ! テンタクルス!! それがイカんと言っておるのじゃ!!」
「魔王様?」
魔王が頭を抱えながら唸っている。
その後魔王は重い口を開いた。
「よいか、テンタクルス。この世界には決して触れてはならない存在があるのじゃ」
「決して触れてはならない存在? 創造神の事ですか!? そんな者を魔王様は怯えているのですか? 創造神の作ったものなぞ全て破壊して新たな秩序を」
「テンタクルス! 黙れ!」
「!」
「創造神ではない……この世界そのものを消し去る力……それは目じゃ!」
「目? 目の怪物なぞの何が怖いのですか? 『カトブレパス』『コカトリス』『メデューサ』『デスアイ』ましてや『バンパイアロード』『バロール』魔眼持ちのモンスターや神は存在するがどれも即死耐性、属性耐性を持つ我ら高位魔族の前にはどれも児戯に等しいのに! 魔王様はそんな物が怖いのですか?」
「……テンタクルスよ、貴様、消されるぞ!」
死や状態変化ですらない消滅、そんな力を持つ目があるのか。
「魔王様がそこまで怯えている目とは一体……」
「高次元の者だ……高次元の者の幾つもの目、これに睨まれてしまうと我々はおろか、創造神すら消滅するのじゃ」
魔王どころか創造神すら消滅させる幾多の目……。
私はこの時生まれて初めて絶望を感じた。
「そういうわけじゃ、貴様の魔王軍への貢献は余が一番熟知しておるし、感謝もしている。だが、時代が貴様の存在を許さんのじゃ。テンタクルスよ、これ以上の触手の使用を一切禁ずる。もし今後、女にスケベな事をすると貴様に凄まじい災いが降りかかる呪いをかけた」
なにそれこわい!
ラッキースケベすらアウトですか!!
「ですが、私がいなくなってからの四天王はどうなるのですか?」
「それはもう決まっておる。高次元の存在に愛されたものが一人な」
そして私の目の前に現れたのは金髪キラキラで顎のとがった見た目には女にも見えない事もない高身長で薄っぺらい鎧を着た巨大な剣を構えた魔剣士だった
「貴様に代わり、四天王の一人になる『ポリコール・イケメンスキー』じゃ。四属性と闇属性の魔法の全てを使いこなし、神に戦いを挑み堕天した大悪魔というプロフィールになっておる」
いけ好かない奴だ、ポリコールは私を見下しながら笑っていた。
「アレー。センパイ、リストラっすか。後はオレに任せてくださいよ。アンタの育てたGEBOKU48はオレが全部美味しくいただくっすよ! ゴクローサマでした」
こんな奴に私の今までの努力を、全て奪われるなんて納得できない!
「納得できません! 魔王様、どうか私と彼とで決闘をさせてください!」