ヒーローやってるんですが、敵組織のとある女戦闘員の胸がデカすぎて色々と大変です。
小金沢 金太郎と申します。歳は23歳です。
目にクマのある、背の高いだけが取り柄のフリーター根暗男だったのですが、なんか黄金魂とかいうエネルギーを体に宿して居たらしく、なんか髪が金髪になり、なんか世界を裏で守る秘密組織にスカウトされ、黄金のヘルメット、黄金のライダースーツ的な戦闘服を着て、正義のヒーロー『ゴッドゴールド』として、悪の組織『地獄のカマド』と戦うことになりました。まぁ、グータラに生きるより、正義の為に戦う方が健全な生き方ですよね。
というわけで敵が暴れてる商店街にやって来ました。今日の敵はカマキリの怪人、その名も『キリカマ』さんです。カマキリなので鎌に注意をしないといけません・・・えっ?
瞬間、キリカマさんのことが頭からぶっ飛びました。
えーっと説明するとですね。いつも怪人さんには5,6人ぐらいのタイトな黒タイツを着た戦闘員の方々が居られてですね、私がその人達を蹴散らしてから、怪人さんと一対一のバトルに入るというのが、いつもの流れなんですが、今日はある戦闘員の方に目を奪われました。その方は女の方で、とても胸の豊かな人でした。私事ですが、女の人のタイプは胸の大きな人であります。
「来たな小金沢 金太郎。今日が貴様の命日だ!!戦闘員共やれぇ!!」
「イィー!!」
女の人が動き出すと、右に左にバストがバイバインと揺れます。冷静になれ私。興奮したら下半身がとんでもない事になって前屈みにならざるをえなくなる。
戦闘員さん達の攻撃をいなしながら、彼女の胸を観察、重要なのはアレが先天的な胸なのか、後天的に豊胸手術で増やしたものなのか?それを見極めることであります。
「イィー!!」
胸の大きな君が私を殴りかかる。それをギリギリで躱して、超至近距離で彼女の胸を観察。不規則に上下に揺れる。うーん、これだけでは何も分かりません。少し触っても・・・いや、そんな破廉恥なことはしてはいけませんね。でもラッキースケベは不可抗力なので、起きてくれないかな?
「えぇい!!役立たず共め!!もういい!!俺がやってやる!!」
キリカマさんが、進展しない戦闘員さん達と私の戦闘に業を煮やしたのか、鎌を振り回しながら突っ込んできました。これは流石に変身したほうが良いですね。
「変身。」
僕がそう言って、時計型の変身アイテムのボタンを押すと、0.09秒でヘルメットとスーツを装着。今日は名乗り上げをせず、一気に決めさせてもらいます。
「ゴルドブレード。」
黄金剣ゴルドブレードを呼び出し。
「ゴルドチャージ。」
右手に持って黄金魂をゴルドブレードにチャージ、そして輝き出したゴルドブレードを振り上げて、迫りくるキリカマさんを待ち構えます。
「えっ?今日早くない?」
キリカマさんは戸惑っているようですが、今日は構っている暇はありません。
「ゴルドスラッシュエンドォオオオオオオ!!」
"ザァン!!"
真っ向からキリカマさんを真っ二つ、そうして左右に別れたキリカマさんはドーン!!と爆発炎上。これにて一件落着です。
さて、これで胸の大きな君に集中出来ますな。
「うわぁあああ!!逃げろぉ!!」
あら?戦闘員さん達が蜘蛛の子を散らすように逃げて行きます。司令官を失った兵士とはこんな感じなんですかね。
こうなると胸の大きな君も逃げてしまったのでは・・・と思ったのですが、彼女は尻餅を突いて座り込んでいました。
「あ、あぁぁ・・・」
どうやら私が派手にキリカマさんを倒したので、驚かせてしまったらしいですね。
「い、いや、殺さないで。」
・・・怯えています。そんなに怖かったですかね?
とりあえず手を差し伸べてみますか。
「ひぃ!!」
・・・凹みますね。こうも怯えられるとは正義のヒーローも楽じゃありませんね。
「だ、大丈夫ですから。私はアナタに危害を加えません。」
「えっ?本当ですか?」
「はい、信じてもらえませんかね。」
恐る恐る彼女は私の手を取ってくれたので、私は優しく彼女を立ち上がらせました。その間も胸ばかり見ていますが、ヘルメットのバイザー越しなのでバレていないでしょう。
立ち上がらせてあげると、胸の大きな君はポカンとしていましたが、暫くするとキャラを思い出したのか、ハッと我に返り。
「イ、イィーー!!こ、これで勝ったと思うなよ!!」
そんな捨て台詞を吐きながら、彼女はその場を足早に立ち去ってしまいました。
"ブルンブルン!!"
揺れる彼女の大きな胸は別れの挨拶なのかもな?と柄にもなくポエマーな気分になりました。
三日後
はぁ、あの大きな胸が忘れられません。あの時呼び止めて、連絡先でも聞ければ良かったのですが、元が根暗な私にはそんなコミュ力はありませんでした。
あーもう会えないのかな?そんなことを思いつつ、夕食を仕入れる為にコンビニに。
「ちょっと、待ちなさい。」
突然、後ろから声を掛けられました。女の人?
振り返ると見覚えの無いショートヘアーのTシャツ、短パンのボーイッシュな美人が居ました。誰でしょう?
「あの、何方でしょうか?」
「あっ、分からない?あの時、布で口元隠してたからね。ほらっ?これで分かる?」
彼女は右手で口元を隠してきましたが、何が何やら意味が分かりません。しかし、ふと視線を下にやった時に、私の頭に衝撃が走りました。そこにはあの戦闘員さんの大きな胸があったのです。白いTシャツがはち切れんばかりの大きな胸、谷間もしっかり見えており、私はその谷間に手を差し込みたい衝動を必死に抑えました。
「フッフフ♪どうやら気付いたようね。話があるからそこのファミレスに入りましょう。」
「えっ、あっ、はい。」
言われるがままファミレスに一緒に入る私と胸の大きな君。
私が自分で自分が最低だと思ったのは、出会った時から胸ばかり見ていて、彼女の顔などハナから見ていなかったことであります。
ファミレスの奥、ソファーの席にテーブルを挟んで向かい合うように座り、彼女の話を聞くことになりました。
「オホン、いきなり本題なんだけどね。何であの時私を助けたの?」
・・・やはり凄い胸だ。ゴクリ。
「ちょっと話聞いてる?」
「は、はい聞いてます。」
全然聞いてませんでした。駄目だぞ私。人の話を聞くときは人の顔をちゃんと見ないと。
「ふぅ、で、何で私を助けたの?私は戦闘員でアナタはヒーローでしょ?あの状況なら、私のことを惨たらしく殺すのが普通なんじゃ無いの?」
ヒーローに対する偏見が凄い。そんな悪に対して徹底した排除願望は私にはありません。
「あの日、あなたに助けられてから仲間達からの風当たりが強くなったの。スパイ容疑掛けられてるし、正直困ってるの。良い迷惑よ。」
「はぁ、すいません。」
凄い、ハキハキ喋る人だなぁ。
「謝らないで、助けた理由を教えなさい。」
・・・ここで嘘で取り繕うのも一つの手ですが、好きなことに関して嘘は付きたくありませんね。
「アナタのお胸が大きかったからです!!」
声を大にして私は叫びました。
「は、はぁ!?アンタ馬鹿じゃないの!!」
咄嗟に胸を隠す、胸の大きな君。恥じらいも悪くない。胸ばかりでなく赤くなった顔も可愛らしい。
「そ、それじゃあ、私はこの巨乳のおかげで助かったってわけ?」
「そ、それだけとは言えませんが、大きな要因の一つかと。」
「うるさい変態!!」
変態か、確かにそう言われても仕方ありませんね。
「・・・小学校の頃から大きくてバカにされたり冷やかされたりして、コンプレックスの一つだったのに、まさかこれに助けられるとはね。」
ふと下から胸を押し上げる仕草をする胸の大きな君。ちょっと刺激が強過ぎますね。鼻血が出そうです。小学生の頃から大きかったということは天然物ですね。ホッ、安心しました。
「そんなに巨乳が好きなの?」
「あ、あの一つ訂正させて貰っていいですか?」
「な、何よ?」
「もうそのサイズだと、巨乳では無く爆乳かと。」
「う、うっさい!!死ね!!」
あーなんか喋れば喋るほど、高感度下げてる気がしますね。話題を少し変えます。
「失礼ですが、お名前を教えて貰っていいでしょうか?いつまでも【胸の大きな君】と心の中で呼ばせて貰うのも気が引けまして。」
「アンタ、そんな名前でアタシのこと呼んでたの?・・・本当にどうしようもない人ね。私の名前は大棟 良子。歳は22歳。戦闘員やってるわ。」
大胸 良子さんか・・・良い名前だ。
「あっ、言っておくけど、ムネは建物の棟だから、体の胸じゃないからね。分かった?変態ヒーローさん。」
すっかり変態扱いされてます。でも、言葉責めも悪くありませんね♪
「何笑ってんのよ、気持ち悪い。」
顔に出てましたか、気を付けよう。
「良子さんはどうして【地獄のカマド】の戦闘員になったんですか?そんなに大きな胸を持ちながら勿体ない。」
「胸は関係ないでしょうが!!・・・たくっ、空手の稽古に行く途中に拉致されて、肉体改造されたの。私だって成りたくてなったわけじゃないわよ。」
「あの洗脳とかはされてるんですか?」
「洗脳睡眠やらられたけど、私には効かなかったわ。でも洗脳に掛かったフリしてるの。だって仕方ないじゃない。こんな強化された体でまともに生活なんて出来ないんだから。生きる為に悪の組織に身を置いてるのよ。なんか文句ある?」
「い、いえ。」
ズイッと彼女が私の顔を覗き込みように睨みつけてくる。すると胸の谷間が強調されて、もう自分を抑えるので大変です。
「アンタ、胸ばっかり見てるわね。こんなロケットみたいな胸の何処が良いのよ?」
「えっ?語らせて貰っていいんですか?3時間ほど掛かりますけど。」
「やめろ!!」
胸を再び隠しながら仰反る良子さん。ロケットおっぱいか・・・男のロマンがありますね。
「と、とにかく、今度戦うことになったら容赦しないで!!私だって死ぬ覚悟ぐらい出来てるんだから!!」
と、彼女は私を怒鳴りつけて来ましたが、目には涙を貯めて体も胸も震えています。かなり無理をしていますね。ここはこんな提案をしてみましょう。
「あの良子さん。いっそのこと私達の組織に入って正義の為に戦いませんか?」
「はぁ!?」
突然の私の申し出に困惑気味の彼女。しかし、拒絶の態度は見られなかったので、私はここぞとばかりに畳み掛けます。
「うちの組織は夜勤手当も休日手当も出ますし、福利厚生ばっちり、良ければ私と一緒に悪と戦いませんか?」
「えっ?そんな・・・私、悪の組織の戦闘員よ。そんな奴が正義の味方に成れるの?」
「成れます。僕も推薦します。他の人に文句は言わせません。」
「あ、危なくなったら自分の身可愛さに逃げるかも。」
「大丈夫、そうならないように僕が守りますから。強いんですよ僕。半年ぐらい戦ってますが、今のところ苦戦したことありませんし、戦闘中は実力の半分も出してません。」
黄金魂全開で戦うと地形が変わっちゃうぐらいのパワー出ちゃいますから、だいぶセーブしてるんですよね。
「こ、殺し文句言うとか・・・あー、これで変態じゃなければなぁ。」
なんか残念そうな良子さん。これは駄目なのかな?
「分かったわ。正義の味方やってやる。でも後から後悔しないでね。平気で裏切るかもだから。ふんっ。」
これはツンデレですね。可愛いなぁ。こんな人と平和の為に戦えるとか最高ですね。
「戦闘服は白のタイツ。それも今着てるやつよりピチピチなのを用意しますね。」
「変態!!」
バチーン!!と良子さんに右の頬を叩かれて痛いですが、彼女とのこれからが楽しみです♪