[ラテはまだフリートに好きと言ってない]
(事件です。
なんと私、ラテ・ティードルは未だなお、婚約者である、フリート・ロベルズ様に好きと言えていません。
そして今、私は尋問を受けています。)
「ラテ。今日こそ私に好きと言っておくれ。」
「…す、」
「す?」
「すし」
遠くの国にある有名な、料理の名前を言ってしまい、あ。となるラテ。
そんなラテを見つめ、フリートはニコニコと笑顔になったあと
「今日も言えなかったから、悪い子ちゃんには罰を与えよう。よし、今日は一日僕の上に座って2人で仲良く本を読むとしよう。」
とラテの腰に腕を絡ませる。
一日一回の告白チャレンジが始まってから既に1週間が過ぎていた。
フリートの罰はそんなに大変なことではないが、甘すぎていて、ラテはりんごのようになっていた。
「いつになったら言えるんだろうね。」
「…」
フリートは自分がきちんとラテに愛されているのを知っていた。
なんせ、婚約破棄事件があった後だ。
知っていたが、そろそろ言って欲しいなと思いつつも、今まで悲しい思いをさせてきたからこそ、無理を言わないで我慢していた。
日に日に悲しそうな姿になっているのはラテも気づいていた。
けれどここまでくると、恥ずかしくて言えなかった。
そしてラテはもう一つ思うことがあった。
「リトは私がリトに好きと言ったらもうこのようにくっついてはくれなくなりますか?」
リトは目をまんまるにした。
そんなことを言われるとはリトも思っていなかったのだ。
「私、どんどん欲深くなっているのです。
好きと言ってしまえば、また寂しい思いをしそうで…」
(っ!ラテが可愛すぎるっ!!)
そんなことを考えていたのかと今にもにやけそうな口元を抑えて、フリートはなんとか誤魔化した。
「ラテが望むのならずっと離れないよ。」
先程よりも強くギュッと抱きしめフリートはまたラテに愛の言葉を紡ぐ。
「大好きだよ。」
それを聞いてホッとしたラテは
「私もリトが大好きです」
と言ってみせた。
その言葉は小さすぎて独り言のようでもあったが、
フリートにはきちんと聞こえたのであった。
嬉しくなったフリートは、ラテに口づけをそっとしたのだった。
これにて完結です。
最後までご覧いただきありがとうございました〜(^ω^)