[フリート小話]
フリート目線のお話です。
私、フリート・ロベルズの世界はラテ中心で回っている。
朝、大好きなラテの肖像画を1時間ほど見て、ベッドから起き上がる。
ちなみにラテの肖像画はいつもはベッドの下に隠してある。
朝は一緒に行く約束はしてないが、たまにラテの家に向かう。
朝にラテの家に行くのは本当に不定期で、
1週間毎日迎えに行ける日もあれば、1週間全て行けない日もある。
だからこそ、朝、迎えにいったときの、ラテの嬉しそうな顔がたまらなく可愛い。
学校の中ではなかなか会うことは出来ず、
私のラテ語りがひたすら爆発する。
放課後はラテとの大事な用事、一緒に帰宅がある。
最近は雑用をたくさん押し付けられ帰るのが遅くなりがちでラテとの時間が減っている。
家に帰ったら私はラテの肖像画を飾り勉強をし、寝る際は横にかざって眠りにつく。
これが私のだいたいの1日である。
私の立場は皇太子とかではない。
少しだけ位の高い貴族なだけである。
だけど先生たちは私に元平民である、エマ・ラベルのお世話を頼んできた。
最初は嫌々お世話をしていたが、ラテの悔しそうな姿が可愛くて、少しだけこの状況を楽しむことにした。
ラテはやがてエマ・ラベルに対し、嫌がらせをしようとした。
だけどラテは根がいい子だからエマ・ラベルがあまり傷つかないようにとよく考えながら行動をしていた。
ラテは少し、いやかなりドジだった。
嫌がらせの全ては失敗に終わり、何故か全て自分に降りかかっていた。
その姿がまた可愛らしくて仕方がなかった。
だから私は彼女がどのくらい傷ついていたのか、気づけなかった。
ことのきっかけは、私とエマ・ラベルとの会話がラテの耳に入ってしまったのがきっかけだった。
「リタ様は、ラテさんのこと好きなんですか?」
「ううん。」
これは側から聞けば
私がラテを好きじゃないと思われるが、
実際はこうだ。
『ううん。(好きっていうより、大好き。愛している。君には言わないけどね。)』
私はエマ・ラベルを信用してはいない。
元平民だからといって全てが許されるわけではない。
私のしてきたことも、あまりいい行いとは言えない。
だから今とても悔やんでいる。
あの「婚約破棄してください。」は忘れられない。
もう一生ラテに寂しい思いはさせない。
フリートは自分の心に深く誓ったのだった。