視界編9
クーパーと上の連中が決めたこの失明作戦
A55作戦が開始された。
大規模なヘリから化学物質を散布する
農薬と同じやり方だけど対象が畑から人里に変わってるけど。
俺達は支部地下で散布が終わるまで待ってる所だ
他の支部から来た職員も一部ここで待機してる
北海道からきてる職員もいる。お土産旨かった
今回は特別な装備が支給された
針を撃ち込む銃と言う変わった物だ。
撃ち込むのは溶ける針、針の中に記憶消去剤が入ってる
一人一人に丁寧にする時間はないって理由だけど
民間人を失明させておまけに銃を突きつける。
俺と姫川は反発したけど
「救えなくてもいいのか?」って同僚の言葉を聞いて装備に加えた。
これは救う為、救う為なんだって姫川がブツブツ言ってたけど
わかるよ、わかるけど頑張ろう。
「私達の組織って何でしたっけ?」
……言うな。
「あと一時間で散布が終わります。化学物質の効果は切れてるはずですが一応マスクも付けて下さい。」
針を装填した銃、防塵マスクを持った人が大挙して街に乗りだす。
ヤクザよりヤクザだな。
「はい、みなさん注目して下さい」
クーパーさんの呼びかけで彼女とモニターに注目が集まる
彼女の綺麗な声が響きわたる
周りから可愛いだの好みだの聞こえてくる
絶対渡さんぞ、俺の上司だぞ
作戦の内容が話されるが凄く簡単だ
班に別れてのローラー作戦。これが全て
後は人を見つけて撃つ、それだけ。
簡単に言うけど簡単じゃない
人を撃つのは初めてじゃないし殺す訳じゃないって分かってても、やっぱりキツイ
「さあ用意できたか、姫川」
不機嫌で不満そうな顔を見ると
「悲しいけど万端です」
苦笑いか愛想笑い、どっちかわからないけど
普段と違う笑顔をが見える。
それから重い空気を押しのけて
車まで向かう
いつもみたいに運転は俺、助手席には姫川
後ろには大量の針が入ったマガジン。
俺達はこれから人を撃つ
そのために移動する
「不可思議を確保せんとな、絶対に」
自分に言い聞かせるような姫川に聞かせるような
多分前者の割合が多いだろう言葉を放つ。
不可思議の確保
この言葉に反応して頷く。
何十万人の職員も確保を目指してる
俺達の独りよがりの正義が始まる。