望迷編12
あれから三ヶ月と半分、準備は整った
薬の服作用も……完全に無い訳じゃないが、ナオが処方してくれたおかげでかなり楽だ
それに……コレもある
「ナオ特製のクッキーと栄養剤、んでコレも……よし!」
最近、いや最近ではないが……毎日飲んでいる錠剤
中身については秘密らしいが……飲むと元気になれるんだよなぁ、コレ
前に中身が麻薬とかそんな類じゃないのかって質問したけど
『ご主人を信じています、ですからご主人も私を信じて下さい』と、返されてしまい、それきりだ。
「ご主人、さっそく忘れ物です」
料理特化のナオが武器とワイヤーを持ってきた
「アレ?んなバカな……」
腰にナイフは二本ある、体にワイヤーも巻きつけてあるし……
「それは予備か?」
予備はあるに越した事は無いが、荷物が多すぎてガチャガチャと音を立てて目立ったり、動きが遅くなったり……メリットばかりではない。
「知識人の私が作った物です、そのナイフとワイヤーよりも役立つと思いますので」
このナイフ気に入ってたのに……思い出深い物だってのもあるけど、なまくらって訳じゃない。
しかし、ナオが作った物なら信用できる
だってこのナイフを作ったのも、ナオだから。
「おっけ、持ってくよ……今持ってるのは置いてくか?」
「いえ、ナイフはココに……」
胸部アーマーに二つ、ナイフを入れるホルダーが作られている
そこに今までのナイフをしまえとの事
「腰よりも取り出しやすいですし、仕舞いやすい、もしかしたら防御にも力するかもしれません」
腰には新しい二本のナイフを入れる
ナイフと言うより……小太刀だな
新しいナイフは、片方の刃の先は刀の先のようになっていて、逆側は四角く、無機質な感じがする
この二つのナイフを繋げたら一つの刀になったりして……
有り得そうだ、しかしナイフ……まあ小太刀なら問題ないが、刀みたいな物は扱えない。
ナオなりの配慮だろう。
「それでそのワイヤーは?」
今の灰色のワイヤー、それに対して渡されたワイヤーは、殆どロープのような太さだった
「これなら刃を通しませんし、切られる事もありません、おまけに止血にも補強固定にも使えます」
「ありがたいんだけど……着替える前に渡して欲しかった……」
服を抜き、体に巻いてあるワイヤーの内、胴体、太腿と脹脛、腕のワイヤーを少し薄くして新しいワイヤーを巻く
太すぎて二重には巻けないが……これで十分だろう
全てのワイヤーを巻き、結びつける
「この新しいナイフは……いつものついてんの?」
「はい、体を登録しておきましたので問題ありません」
ナイフとナイフを持ち手、柄の部分で繋ぐのだが
繋いでいるワイヤーは俺の思い通りに、俺の体を通過する
原理や理由は教えてもらえなかったが、とても便利なので感謝している。
「俺の体はすり抜けるのに、他の物は受け止められるし、縛る事もできる……本当便利だよな」
もちろん、ナオ特製だ。
服の上にワイヤーを仕込み、さらに上からアーマーを着る
正直、ワイヤーがあればアーマーなんて必要無いんじゃないかって思う……いや思ってた。
これがないと銃や薬等の装備が持てないんだ
「全部装備して……5キロって所か?」
少し重く感じるが、命を守る5キロだ、軽いよ。
ナイフ四本、ハンドガン一丁、緊急時用救急薬が三本、栄養剤が二本、興奮剤は一本……そしてナオの錠剤
「薬物ばっか……」
「栄養剤は一本で一日分の」
「栄養が取れるから、いっぺんに使うな、だろ?毎回言ってるから覚えたっての!」
使う事なんて、今まで殆ど無かったが説明は毎回受けていたので、覚えてしまった。
「クッキーは移動中に食べるよ、サンキュ!」
「いえ、ご無事を祈ってます」
俺がいなくなると、食事にありつけないから……そりゃ無事を祈るわな
「それもありますが、ご主人ですので」
心を読むな。
戦闘特化のナオは……
「いやお前それでいいの?」
って声に出すぐらい簡単な装備だった
太腿まであるような、黒いブーツ
ブーツには刃がついていて、蹴りと斬撃が一度に行える代物だ。
他には……メイド服、それだけ
隠密特化のナオも……同じ装備
お前ら……もっと色々持っていくとかさぁ!
そりゃお前らは銃も剣も効かないだろうけど……
「では、行きましょうか」
「うっし……やるか!」
景雲さんが逃げ出そうとしたり、姫川が急に大人しくなったり、どんどん狂い始めている
真縅は未だに不可思議を抑え込めていないらしい
それどころか博物館の一部まで反乱が広がりつつあり、とんでもない事になっている
「動物園から動物が逃げ出したとか……カルト教団が毒ガスを生成しているからとか……みえみえすぎるカモフラージュだな」
こそまで気が回らないのか、それほどヤバいのか
しかし、そのおかげで侵入口も簡単に用意できたらしい。
「姫川の為……皆の為……世界の為!やるぞお前ら!」
「「はい!」」
装備は一新した、今回はナオも一緒だ
さあ、俺が!世界を救う!
目指すは博物館下層、不可思議第002!
ナオは免許を持っていないので、俺が運転する車で侵入口の近くまで向う
「ドライブだ」「ドライブだね」
「帰りもこんな感じだといいな」
「大丈夫ですよ」「私達がいます」
「ふふっ……頼りにしてんぞ」
これ終わったら、また支払いがまってそうだが……それは仕方ないだろう。




