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望迷編9


 

 

「……ナオ、知識人のお前は今どこにいる?」

「血液カプセル製造室で、ご主人の血液から食料を作ってます」

「聞きたい事があるんだ、今から行くと伝えておいてくれ」

「構いませんが……さらに支払いが増えますよ?」

こいつらは確かによく働くし命令にも従ってくれる

だけど口を開けば支払い支払いと……すこしうざったく感じる事もある。

「半年までなら体も持つさ」

「では参りましょうか」


「ちょっとまて!景雲さんには今の状況が理解不能なんだけど?」

景雲さんがこっちに歩みよってくる

俺の腕に繋がれた採血チューブをみて、少し表情を変えたが、それもほんの一瞬で、いつもの凛々しいような可愛いような顔に戻る。

不可思議にやられた人だって事をこっちも一瞬忘れそうになった。

「ナオ、この人も姫川と……いや同じじゃないな、でもそれぐらい大切な人だから、"しっかりと"管理しておいてくれ」

「かしこまりました、では料理番の私はお客様の世話をお願いします」

「ええ任せて、では景雲様は少し大人しくお願いします」

 

「ちょっ!離せっての!」

「はーい、大丈夫でちゅからね〜」

「同性にそんな事言われても気持ち悪いだけだっての!……ッ!力強すぎだろ!」

景雲さんでもナオに力で勝つ事はできないだろう

「せめて説明ぐらいしてけって!」

今説明しても……いや後から説明したとしても

「どうせ……クーパーさんみたいに……」

何にせよ今はダメだ、時間の無駄だ

「ナオ、行くぞ」

「はい、では後のことは」「はい、ではまた」


色々と叫んでいたけど、それよりも優先すべき事がある

製造室に向う途中、そう言えばと気になった事があって、ナオに聞いてみた

「姫川はどうしてんだ?」

ナオは俺を抱きかかえたまま、片手で頭を撫でてきた

「あのような方を妻にするとは……少し、いやかなり趣味が悪いですね」

「さらっと主人をバカにするなっての!」

……ん?

「いや、お前何て言った?」

妻とか言わなかったか?

「趣味が悪い甘えん坊で一人じゃ何もできない図体だけ大人のご主人と言いました」

「不可思議でも冗談って言えるんだな」

 

「冗談……嘘をつくという高度な行為は神より人間が教わった……いえ、奪い取った物ですので、私がつけない事はあり得ないですよ」

「それ初耳なんだけど……てか違う!妻にするなんて言って無いぞ!」

「そうでしたか……それならよかったです」

片手で俺を抱き抱えているのに、グラグラせずに安定している。

「頭を撫でるな!もうそんな年じゃねーっての!」

「そうでしたか……内側は喜んでますけど、外側は嫌がるフリをするんですね」

 

姫川には後で会いに行くか

「製造室は久々に来るけど……あまり来たいと思える場所じゃないな」

製造室に入ると、1番最初に目に入るのは大きな水槽……のようなタンクだ

中には俺の血液と何かを混ぜた液体が満タンに入っている

タンクから小さなピラミッド型の機械にラインが伸びている

ピラミッド型の機械は静かに動き続け、錠剤を吐き出し続けている

 

「自分の血液が加工されてる場所には何回来ても嫌な気持ち……いや気分悪くなるな」

「ご主人は料理をしていても、しているのを見ても気持ち悪くならないでしょう?他の命を食して生きているのに、食材の側になるのは嫌だとか気持ち悪いだとか……人間は贅沢すぎると思います」

「……んで、知識人のお前はどこに」

ナオは俺の知らない事、知らなくていい事を多く知っている

人間ではない分、物の見方や価値観が独特だと思う


「お待ちしておりました」

所々俺の血液で汚れたエプロンをつけたナオが奥から姿を表した。

「おやおや、甘えん坊モードでちゅか?私もよしよししましょうか?」

「してあげて、体だけ大きくなって中身は変わってないんでちゅから」

二人して頭を撫でてくる

いつまで子供だと思われてるんだ

後!甘やかすならもっと表情を柔らかくするとかさぁ!

……ってちげぇ!

 

「撫でて貰いに来たんじゃないって!知識人のナオに聞きたかった事があるんだよ」

「僕ちゃんが私にでちゅか?う〜ん」

俺の腕を見ているのだろう

支払いの血液は大丈夫か?目がそう言っている

「主人が支払いをしなかったら終わりだろ」

「前科がありまちゅからね〜」

そう、過去に一度だけ支払いを無視しようと……まぁうん、そうしようとした事があったが

「また、あんな目には会いたくないでちゅよね〜?」

「払うって!払うっての!」

 

約束を取り付けた所で本題に入る

「人の記憶を操作する、もしくは意識を変える不可思議ってのは存在するのか?」

「ありますよ、いえ……ありました。と言った方が正しいですね」

あり"ました"だと?

「ご主人は嘘についての話は聞いた事はありますか?」

「さっきこっちのナオから聞いたけど……」

「であれば話は早いです……説明しますね」

 

人間同士での争いや殺し合いが絶えない

どれだけ仲良くなっても必ず争いになってしまう

ある日、一人の人間が神と戦い敗れ、帰って来た

その人間が言うには

"人間が人間同士で争う理由は、神が我々より大切な物を奪ったからだ"との事。

その時代の人間は一致団結し、神と争い言葉の一部を奪い取った。

 

そして嘘と言う物を人間が元々持っていた物だと、意識を書き換える為にその不可思議が使われた。

結果として嘘のおかげで以前より格段と争いの頻度が減った。

しかし、嘘は良い事だけでは無かったが……。

 

「……と言う話です」

「それ……どんだけ前の話なんだ?」

「それは人間であるご主人の方が」

詳しい訳ねーだろ

「成程な……あるにはあるが、何処にあるかとか、まだあるのかは分からない……って事でいいのか?」

ナオは頷く

「使い切りの不可思議かもしれませんし……ノーヒントですので……探すのは難しいかと」

 

しかし、それを使われた可能性は高い

実際に世界が俺の知っている世界から乖離しつつある。

「意識や記憶を戻すには……何をすればいい?」

俺の質問に対して

ナオからとある提案が出てきた

 


 

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