視界編8
私の先輩は変な人だ
調子のいい人って表現が正しいのかも。
関西弁風の方言を使うけど、多分出身は関西じゃない
エセっぽい。
クーパーの前だと敬語でかしこまって
ちょっと気持ち悪いけど嫉妬。
武道が出来る話も聞かないし
射撃もそんなに上手くない。
だけど不可思議に対する思いは本物。
私が不可思議と縁の深い歴史がある家の出身だと話した時、目をキラキラさせながら子供のようにはしゃいで一緒に頑張ろうと言ってくれた。
不可思議は全てが悪い物じゃない
未知の物質で出来た物はいずれ人類に貢献してくれると信じてる。
だけど人類に対して敵対的な物もある
今回の病気もその一つ
絶対に視界は変えさせない
私が、私達が今まで見たもの覚えてるものを守る
あんな視界、絶対に人類をおかしくする。
薬の効果が薄かったのか、体質なのか、
今でも偶に見えるソレは
あまりにも不気味で、見続けると気持ち悪くなる
だけど薬は使わない。
使ってあげない。
私が最後の感染者になった時に使う。
私の手でトドメを差すことにする。
私は不可思議に勝つ。
感染しないためにも先輩とは私が見えてるコレの話をしないようにしなきゃ
私は先輩が好き
私は理想の先輩が好き
私は不可思議に立ち向かう理想の先輩が好き
私は先輩が嫌い
私は上司が好きな先発は嫌い
私は不可思議に負ける先輩は嫌い
私はあの人と共に生きていくって決めてる。
前に死にかけた時も助けてくれた。
今回は私が助けます。
不可思議から先輩を守ってみせます
岡部さんの話だと記憶消去剤にも限界はあるらしい
三回。それ以上は薬は効かないし、感染者として一生を過ごす事になる。
私も先輩も一回。
ここから先はもっともっと先に行かなきゃ。
民間人の目を潰すのはつらい
これは本当につらい。
何人、何万人の人に被害が及ぶのかわからない
中には感染してない人もいるかも
いや感染してない人の方が多い
でも
先輩が先輩じゃなくなるよりは
そう考えてしまう私を過去の私が見たら
どう思うかしら。