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新大陸へ

 ついに新しい大陸へたどり着いた。

 アルバートからの依頼も、この港に着くまでとなっているので一旦ここでお別れになる筈であった。


「報酬は、既にギルドに支払ってありますので、そちらで受け取ってください。

 あ、リーヴァ様の登録も済ませておいてくださいね。そうすれば各地の冒険者ギルドへ通達されますので、門を通れないとかは無くなります。

 滞在予定は二日間ですので、その間は買い物等をしてゆっくり休んでください」


 それだけ言うと、アルバートはやる事があるので去っていった。

 確かに、船の上で王都に行って国賓として迎い入れるとは言われたけど、一緒にいかないと駄目な雰囲気だよな。


「なんか、慌ただしくなっちゃったね。お父さん」


「ああ、そうだなぁ。まさかこんな事になるとはなぁ」


「フェーンまでは、なんとか誤魔化せるけど流石にリーヴァは無理だよね?」


 そう言って、見上げるクレス。その先はふよふよ浮いているリーヴァだ。

 話が聞こえている筈なのに、『はぁーい』とか言って手(ヒレ?)を振る。

 確かに、空を飛んでいる竜を別な生き物に例えるのは無理過ぎる。

 今も、通るだけで腰を抜かしている人がいるくらいだ。


「おい! そこのオッサンと少女たち、止まりなさい!

 私はこの町ルーブの警備隊長のリアンだ。

 お前達の上に浮いている、水色のドラゴンは誰かの従魔か?!」


 ドラゴンとは、強いだけでなく高い知能を持っていることでも有名だ。

 そんな生き物が船から降りて来た男の頭上をふよふよ飛んでいるのだ。傍から見るとドラゴンを従えている男というよりは、操られているんじゃないかと思っても不思議ではない。

 目の前にいるこのリアンも、そう思ったようだ。


「はい、このドラゴンはリーヴァ。

 俺が契約した従魔ですよ。これから丁度冒険者ギルドに登録しにいこうとしていたところです」


「ほ、本当にあなたの従魔だと?

 しかし、ドラゴンなんて……」


「とりあえず、まずは冒険者ギルドへ案内してくれませんか?

 それまで町の人々も安心出来ないと思いますし」


「リアンさん、お父さんはこう見えて『ビーストテイマー』としてギルドに登録されているんですよ?だから安心してくださいね」


 ここでクレスが満面の笑みを浮かべてリアンに話掛けた。

 クレスの可愛さに心を許したのか、さっきまで強張っていた顔が少し緩んだように見えた。

 うん、うちの娘は可愛いからな仕方ない。だが、クレスやらんぞ。


「分かりました。お嬢さんが言うならそうなのでしょう。

 では、私が冒険者ギルドまで案内しますので、このままついてきてください」


「はい。ありがとうございます!」


 生真面目なのか、リアンはクレスの笑顔を見て照れてしまったのを誤魔化すように頭をぽりぽり掻いていた。


 リアンの案内で、俺達は冒険者ギルドに到着した。

 冒険者ギルドというのは、どこも似たような形をしているんだな。

 大体は、入るとロビーがあって、すぐ近くに飲食できる場所がある。

 そして、大抵二組くらい冒険者が酒を飲んで管を巻いているんだよな。


 この町も例外ではなく、昼間だと言うのに冒険者が酒を飲んでいる姿をちらほら見かけた。

 ただし、この町の冒険者は装備品を見る限りそこそこ腕が立つ者が多いようだ。

 それなら、ここらに現れる魔物や魔獣も危険な奴が多いのかもな。


「では、皆さん。職務がありますので、私はここで失礼します。

 あ、すっかり失念していましたが、あなた方のお名前は?」


「あ、俺は『ラ・ステラ』のリーダーをやっているウードだよ。しばらく町にいるから、よろしくな」


「私は、娘のクレスと言います。お父さんと一緒に冒険者やっているんです。

 どうぞよろしくお願いいたします」


 俺の挨拶の後に、手を前に揃えて礼儀正しく挨拶するクレス。

 それに続いて、レイラとマリアも挨拶した。


「あたしはレイラ、よろしくね」


「私はマリアといいます。よろしくお願いしますわ」


 二人の挨拶が終わると、空から声が降りてきた。


「私はリーヴァっていうの。

 どうぞ、よろしくねリアンさん?」


 ぎょっとして見上げるリアン。

 気が付くと彼の目の前に、リーヴァの顔が迫っていた。

 あまりに驚いてリアンは尻もちをついてしまう。


「おいおい、悪ふざけが過ぎないか?」


「そうよリーヴァ。いくら貴女が温厚でも、普通の人はわからないんだから!」


「ふふふ。マスターに対して威張っていたから、すこしイタズラしただけよ~。

 それにしても、私の名前を聞いても何も思わないなんて、この国の人々もつれないわねぇ」


 リーヴァは、この国と何か関係あるのだろうか?

 どちらにしろ、数百年も前の話だろうし覚えている人が生きているわけはないけど。


「おい、あれドラゴンじゃないか?」


「ま、まじかよ。おいっ、ギルドマスターに連絡しろっ!」


「ドラゴンなんて、Sランク魔獣じゃねーかっ!

 くそ、なんでこんな街中に! 全員死ぬ気で町を守れ!!」


 中にいた冒険者が、外にいるリーヴァに気がついたみたいだ。さっきまで酒をあおってた冒険者まで、武器を取り出しこちらを睨み殺気立つ。

 流石は冒険者だ、伝説級の魔獣もを目の前にして逃げ出そうとしているものはいない。

 まぁ、逃げ道でもある入口にリーヴァがいるから逃げようもないけど。


「違うんだ、これは俺の契約したドラゴンなんだよ!」


「馬鹿なこと言っているんじゃねーぞっ!

 お前、まさかドラゴンに操られているのか?!」


 いくらこちらが敵じゃないって言っても、誰も信じてくれない。こりゃ、困ったぞ。


「一体何事だっ!」


「ぎ、ギルドマスター!

 あれを見てくれっ!!」


 奥から屈強そうな男が現れる。

 スキンヘッドに、体には無数の傷跡。そしてムキムキの筋肉。見るからに歴戦の戦士という風貌だ。


「ドラゴンだぁ? 何を寝ぼけたことを……。

 うおっ、まじかよ!」


 その屈強そうな、ギルドマスターと言われた男でさえも驚愕の顔をする。やっぱりドラゴンって凄い生き物なんだな。

 しかし、しばらくリーヴァを見てギルドマスターは違う種類の驚きを表す。


「あのドラゴンはもしや……?!」

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