ガーディアン
封印を解除するのに俺を使うと言うリーヴァ。
一体どういうことなんだろうか?
『なるほど、魔力を増幅させて一気に破壊するのか?』
「良く分かってるわね。そう、神の贄なら魔力効果を上げることが出来るのでわ。だから、そこの人間さん貴方のカラダを少し貸してちょーだい」
「おい、そんな事して俺は大丈夫なのか?」
『負担は有るだろうが、基本は問題ない。ただ、少し調整が難しい。
だから、そこは我がやってやろう』
「うん、話は纏まったわね?じゃあ、早速始めましょうか。
何か嫌な気配がうろちょろしたいるみたいだし」
リーヴァはそう言うと、チラリと空を見上げた。
何かあるのかと空を見上げたが、何も見えない。
人間の俺には見えない何かが潜んでいるのか?
「話は着いたのかい?」
タイミングを見計らっていたアルバートがこちらに話しかけてきた。
流石にドラゴンを前にして平静でいられる訳もなく、額に汗を浮かべつつ慎重に近づいてきた。
それとは相反して、クレス達はリーヴァに近づいて鱗が綺麗だとか言って話かけていた。
ウインドの騒動以来、3人ともちょっとやそっとで動じない胆力を身に付けたようだな。
俺の方がビビっているかと思うと、少し情けない。
しっかりしないとだな。
「はい、この島を出る為にはこのドラゴンの封印を解かねばいけないんですよ」
「そうなんですね…って、ええっ?!
流石にそれは大丈夫なんですか?ドラゴンといえば、町を1つ滅ぼすほどの魔物ですよ?!」
うん、普通そういう反応になるよなー。
しかし、やらねば出られないしやるしかないのだ。
「お気持ちは分かりますが、1つだけ勘違いがありますよアルバートさん。
彼女は魔物ではありません、神の化身である神獣です」
「神獣!?まさかっ、そんな!
神獣といえば、伝説上の生物ですよ?
にわかには信じられないですが…」
そう言った後に、俺の後ろに控えるヘルメスとフェーンを見るアルバート。
そして、ため息をひとつだけ吐いて諦めたように言う。
「なるほど、貴方は本当に特別な人のようだ。
貴方の傍らにいるのは、その神獣の眷属でしたね。
という事は、そのドラゴンを神獣であると認めたんですね?」
流石は貴族、いや王族なのか。
俺なんかよりも神獣について詳しいみたいだな。
俺なんか凄い魔獣だというくらいにしか分からない。
まぁ、貴方の前にいるヘルメスとフェーンも神獣ですけどね!
「はい、その通りです。俺には判断しようが無いですが、ヘルメスもフェーンもそれを認めています」
『うむ、お主には伝えておこう。
このドラゴンは、正確には水竜。
水神より生み出された神獣なのだよ』
「そういう事!
本当はこの島の守護者だったんだけど、悪い奴に封印されちゃったのよ
流石に悪神とはいえ神様相手だと叶わないわよねえ…」
珍しく本当に悔しさを滲ませているな。
本来の仕事が出来ないのだから、分からないでも無い。
「分かりました、信じましょう。
どちらにせよ、解放しないとこの島からは出れないのでしょう?」
「ええ、そういう事になるわ。
それにね、貴方達を騙したりしなくても、この状態で食べちゃうくらいは簡単なのよ?
『水槍』!!」
言うが早いか、あっという間に水の槍を創り出し、アルバートの周りに撃ち込む。
アルバートの周りを綺麗に囲むように水で出来た槍が突き刺さり、水に戻って消えた。
「ね、今のはワザと外したのよ?」
慌てて後ろから騎士団長達が走って来てアルバートを守るように取り囲んだ。
それを手で制して、後ろに下がらせる。
「大丈夫だ、下がっていろ。
なるほど、あなたの事を正確に把握しました。
それだけのチカラを持っていれば我々を捕食する事など容易いでしょうね」
「賢い子は好きよ?
では、無事に私を解放したらご褒美をあげます。
そうね、あなた達が乗ってきた船ごと貴方の国まで運んであげるわ。
悪い話じゃないでしょう?
ついでに、北側に漂着している人間も拾ってきてあげるわ」
「生存者がいるのか?!」
『ほう…、微弱だが魔力を感じるな。
お主には分かるのか?』
「そりゃーねえ。この島の守護者なのよ?封印されちゃってもそれくらいは分かるわよ」
ヘルメスにも感じられない程微弱な魔力であっても、リーヴァには分かるのか。
島の守護者というのは凄いんだなぁ。
「分かった、是非宜しくお願いしたい。
何としても、私は国に帰らねばならないのだ」
「交渉成立ね。では、この子達が宝杖を取ったらガーディアンが出てくるわ。そしたら、あなた達は私の封印が解けるまで何とかガーディアンを抑えて欲しいの。出来るかしら?」
「分かった。出来るな騎士団長」
「はっ、何としてもやってみせます!」
直ぐに団員達に指示を飛ばす騎士団長。
訓練しているだけあり、直ぐに隊列を組み何が出て来ても対応出来るようにしている。
「クレス、レイラ、マリア。俺達もやるぞ!」
「いつでも大丈夫だよ!」
「わたしもオッケー!」
「はい、頑張りましょう!」
皆が配置に着いたのを確認すると、俺は宝杖に手を掛ける。
触った瞬間にあたりに魔法陣が広がるのが分かった。
何が出てくるのか確認する前に一気に引き抜く。
すると、魔法陣が眩く光り巨大な氷の魔物が現れた。
「これがガーディアン?!」
人の2倍ほどある大きさに、背中から生えている翼。
腕も脚も俺の3倍は太い。
そしてその全てが氷で出来ていた。
グオオオオオオオオオオオオ!!!!
現れた氷の悪魔であるガーディアンは、その太い腕で目の前にいた騎士達を薙ぎ払うように打ち付けた。
「「うおおおおっ!!?」」
危うく吹き飛ばされそうになるが、何とか盾で防ぎきった騎士達。
しかし、その表情からわかる通り一切の余裕は無さそうだ。
ボボボボボッ!!
やや後ろに控えていた魔道士たちが一斉に炎の魔法を撃ち込んだ。
氷のガーディアンは一瞬怯むがそれだけだった。
今度は魔道士たちに氷の礫を吹きかける。
無数の氷の礫を浴びせられるが、こちらも魔法の障壁のようなもので防いでいる。
しかし、全てを防ぎ切れなかったのか数人が僅かに怪我をしたようだ。
だがそれを気に止めるでもなく、直ぐに次の魔法を発動している。
「凄い、あれが本当の魔法使いなんだね。
私達も負けてられない!」
そう言って、クレスが死角から剣で攻撃を仕掛けた。
しかしガギンッと鈍い音がして弾かれる。
「いったーいっ!!」
「アイツ硬そうだから剣は無理だよクレスー!魔法で攻撃しよ!
弾けろっ『散火弾』!!」
涙目を浮かべながら宙返りして後退したクレスと入れ替わり、レイラが前に出る。
威力は小さいが、広範囲に炎を撒き散らす『散火弾』で追撃する。
炎の攻撃だけあり幾分か効果があったようだ。
その証拠に鬱陶しいと言うようにレイラに攻撃を仕掛けてきた。
うん、上手く注意を逸らすことに成功したようだな。
『クレス達が注意を逸らして間に、リーヴァの封印を解くのだ。
手順はさっき伝えた通りだ』
「ああ、分かったよ。
じゃ、あとは任せたぞ?『神降し』!」




