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中心にあるもの

 浜辺の魔物たちをものの数分で片付けたクレス達。

 少しいい汗かいた程度で、息は上がっていない。

 3人とも才能があり、まだまだ成長期なのだと実感させられる。

 才能がない俺とは大違いだな、頼もしい限りだ。


『何を呑気な事言っている。お主の修行は、まだまだ終わったわけではないぞ?これから、もっと厳しくなると思うのだぞ?』


 うん、何か幻聴が聴こえたが疲れているんだろう。

 こんな状況で今までより厳しい修行とか、間違いなく死ぬ。

 俺にはやる事があるんだ、死んでたまるかっ!


『何を寝ぼけた事を抜かしておる。これからフェーンの分も貯めないといかぬのだ。魔力量を増やす為にもやらねば、それこそ次はどうなるか…』


『人の魔力を使うなんてやったこと無いから、結構調節が難しいんだよねー。やり過ぎちゃと、魔力枯渇して死んじゃうから、練習しないとねー』


 く、今度はフェーンの幻聴まで聴こえる!

 …って、何気に物騒な事いってなかったか?

 あの時、加減を間違えてたら死んでたって事かっ!

とは言っても、あそこでフェーンのチカラを使わなければどの道死んでたかもそれないし、結果助かったし文句はないけどね。


どちらにせよ、修行から逃げることは不可能なようだな。


浜辺にいた魔物を一掃し、避難を開始した。

その間もクレスや騎士団や魔道士達が警護に当たっていたので、特に問題なく避難出来た。

クレス達も凄いと思ったが、騎士団も負けてはいない。

研ぎ澄まされた武力と連携で1人の被害も無く戦闘している。


ヘルメスの話では中心に行けば行くほど強い魔物が現れるらしいが、この様子なら問題なく行けるのではと俺は思っていた。


避難が完了し、早速探索を開始した。

魔術師が魔法で近くにいる魔物を感知し、その報告を元に騎士団が前に出て素早く処理をする。


魔物と言っても様々な種類が存在する。


例えば、動物が魔力を帯びて進化したと言われる魔獣。

姿が動物に近いが、その筋力や生命力は普通の獣を軽く凌駕する。

また獰猛な動物すら捕食する事が可能になった事で、体は一回りも二回りも大型になっているのが殆どである。

基本は四足歩行で、食用出来るので良くクエストでも見かける。

 海にいるのは足が無いので、海獣と言われたりする。


 次に代表的なのが亜人種。

 人に近い形をしているが、人類とは別の生き物だ。

 魔物の中で独自の言葉でコミュニケーションをとる知性があるものを指す。

 戦略的な戦いをする事で魔獣よりも厄介な存在だ。

 中には魔法を使う種族もいる。

 俺たち人間と違うのは体内に魔石を持っている事だ。

 俺ら人間の魔力は体内で循環するが、全ての魔物はこの魔石に魔力を蓄えているらしい。

 ゴブリンやオーガ等がこれに当たる。

 なお、食べても美味しくない。


 次は怪物。

 亜人とは違い言葉を持たない二足歩行の魔物を指す。

 魔法を使うものは少ないが、武器を持って戦う事が出来る。

 人間よりも怪力で、人間を見ると襲ってくる好戦的な事も特徴。

 オークやワーエイプ等様々な種類がいる。

 食べれるものが意外と多い。

 

 他には悪魔や天使といった太古の種族が居るらしいが、近年見たものはおらず詳細は分かっていない。

悪魔は恐ろしい姿で、体毛はなく、空を飛ぶ翼が有るとか。

天使は美しい姿で、鳥のような羽根があるとかそのくらいだ。


 ちなみに、魔族というのも存在する。

 魔法に長けており、人間以上の知性を持つ人型の魔物だ。

 見た目がとても人間と似通っているが、なぜ人間扱いされないのか。

 それは体内に魔石を持っているからである。

 生物的に色々と違うらしく、遥昔には人間と魔族は戦争していたみたいだ。

 今は居ないらしいけどね。


 ちなみに人類と言われているのは、人間とエルフとドワーフと獣人だけらしい。

 それぞれなんかの神様から恩恵を与えられ、魔力を得たらしい。

 とまぁ、全てギルドの書庫にあった本の受け売りだけどね。

 

 そんな訳で、そんな魔物たちがここ無人島で跋扈しているのだ。

 危険極まりない島だとは言えるだろう。


 そんな中を特に大きな被害も無く進んでいく事数時間、ついに島の中心地あたりにたどり着いた。


「ここは一体…」


 急に森が開けて洞窟のようなものが現れた。

 いかにもこの先に何かありますといっているようなもんだ。

 冒険者の端くれである俺には大変興味をそそられるものだが、今の目的は島の反対側に辿り着き、生存者の確認をする事だ。


『ウードよ、この先に何か大きな存在を感じるぞ』

『これって、もしかして…』


 ヘルメスとフェーンがそう言った時だった。

 ガサガサッ!!


「何かくるっ!」


 クレスが警戒の声をあげる。

 それと同時であった。


 ギャアオオオオオオオオーーーッ!!!


 見た事も無い大型のトカゲのような魔獣が現れた。

 しかも、一匹だけでは無い。

 その数10数匹、更にその声に釣られたのか辺りから魔物たちが次々に現れる。


「拙い、なんて数なんだ!」

「アルバート様、数が多すぎます!」


 騎士団員が10数名、魔道士が数名、あとは俺らだけである。

 残りの戦闘要員は船の護衛に当たっている。

 とてもじゃ無いがこの数を迎え撃つには数が足りない。


「ウードさん、この数ヤバくない?」

「いくら騎士団様方がいらしても、この数相手では犠牲が出てしまいますわっ!」


 レイラもマリアも顔を蒼くして構えていた。

 しかし、逃げるにしても周りを囲まれている。

 道が開いているのは、後ろにある洞窟だけだ。


「ヘルメス!後ろはいけるかっ?!」


『洞窟内には…、問題無い数しかおらぬぞ!』

『うん、強そうな匂いは中からしないね。僕が塞き止めるから皆を誘導して!』


 ヘルメスの探索スキルにより、洞窟内には危険は少ない。

 少なくとも目の前にいる魔物の大群を相手にするより良さそうだ。


「アルバートさん、洞窟内の魔物は少ないようです。一旦、中に退避しましょう!」


「本当ですか?!団長!」


「はっ。直ぐに!…総員、洞窟内に退避!退避だ!」


 騎士団長が指揮をとり、騎士団員達が洞窟内に逃げ込んだ。

 俺らも直ぐに後に続く。


『ヴヴヴ…ウオオオオオオオン!!!』


 頭に響くような雄叫びをあげて、フェーンが威嚇をすると魔物達が怯えるように後ずさる。


「今のうちに、安全圏まで下がるぞ!」


 それを皮切りに俺たちは洞窟の奥へと駆け足で進むのだった。


 30分くらい進んだ頃、少し広い場所に出た。

 あれから魔物たちが追ってくる気配は無い。

 ヘルメスに都度確認して貰っているから、間違いはない筈だ。

 本当、この神獣様のスキルはすごいよ。

 今までは比較しようが無かったが、騎士団に所属する正規の魔道士よりも索敵範囲が広いのだ。

 蛇神様々である。


『ふん、褒めても何も出ないぞ』


 どうやら、珍しく照れているな…。

 少しは可愛い所もあるもんだ…って、いててっ、こら噛むな!

 ったく、照れ隠しで噛むなよ!


『ふん、余計な事を考えるからだ。それより…、あの扉が見えるか?』


 ヘルメスが示す方に、蒼く仄かに光る大きな扉が見える。

 そこはまるで神聖なものがいるかのような、荘厳さを秘めていた。

 そういうのに詳しくない俺でも、そう感じるほどの威厳を感じるのだ。


「なんだあれ。一体、この先になにがあるというんだ…?」


 あまりの光景に、唖然とする俺であった。



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