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武器探し

遅くなってしまいました!

すみません!


ランク昇格試験を受けろと言い渡されて1日俺は未だに現実を受け止められなかった。


冒険者に憧れ続けて7年やっとの思いで登録できたのにその当日にランクを上げてもらえるかもしれないなんて夢みたいだ。


今日は昼から勉強の家庭教師が来るから午前中に日課の筋トレをしている。なぜ筋トレをしているのかと言うと俺のジョブは魔帝だけじゃなく剣聖と拳神もあるからだ。


魔帝だけなら魔法をひたすら練習すればいいのだが剣聖と拳神もあるとなると体づくりは大切である。


王都から帰ってきた日からやっているから前よりかは幾分かたくましい身体になった気がする。


それにしても魔物狩りか……俺は今まで対人戦しかしたことが無い。しかもそれ全てが俺が襲われて返り討ちにしているだけだ。


俺ってそんなに弱く見えるのかな……ちょっと自信なくなってきちゃった……


まぁそんなことは置いといてなんの魔物を狩るんだろう。詳しいことは1週間後の試験当日にって言われたし……


どんな魔物が来ても対応できるようにバビロアさんにお願いしなきゃ!


そんなことを考えつつ家庭教師の先生との勉強を終えて今日も1日が無事終わったのだ。




「バビロアさん!おはようございます!」

「テオちゃんおはよう〜。今日は一段と元気ねぇ〜。」

「バビロアさん!ギルドがもうすぐ開きます!早く行って討伐依頼を受けましょう!」


そう、俺は討伐依頼を受けて魔物狩りがどのようなものなのかを知ろうと思ったのだ。


「いいわよ〜、私も今日は討伐依頼受けさせるつもりだったし。そうと決まればさっそくギルドへ行きましょうか。」


俺たちはギルドへ向かったのだがすぐに俺の考えが甘かったと思い知らされる。


「え、なんですかこの人の多さ……」

「あら、知らなかったの?朝のギルドは戦場よ?依頼なんて早い者勝ちなんだから急がないと残りものになっちゃうからね。」


俺は思わず息を飲んだ。冒険者達が好きな依頼を手にするべく周りにいる他の冒険者に妨害をしていた。正しく戦場そのものだった。


俺は自分の体が小さいことを裏手に取り冒険者たちの間を通っていき何とか最前線までたどり着いた。


「冒険者の皆さん!まもなくギルドが開きますがくれぐれも争わないように!


では!開門!」


職員のその一言で全員の目が変わった。ギルドが空いた瞬間に全員がギルドへとなだれ込んだ。


俺はその勢いに乗り無事掲示板に着いた。依頼を選んでいる暇なんてなく俺は近くにあった紙をちぎって何とかごった返している集団から抜け出せた。


「テオちゃんお疲れ様〜。無事依頼はゲットできた?」

「バビロアさん、ちょっとは手伝って下さいよ……えぇ、無事依頼はとってこれましたよ。ただ何を取ったのかは僕も分かりませんが。」


そう言って俺は手に持っている紙に目を向ける。そこには



〈討伐以来〉


場所:ラルビック森林


対象:Eランク以上


魔物:コボルト


報酬:五体で銅貨50枚



と書かれてあった。薬草採取より報酬が多く正直破格だと思った。だってコボルトっていう魔物を一体倒せば最低限の暮らしはできるんだから。


「良かったわね。無事討伐依頼を取れたみたいじゃない。ただコボルトっていうのはもしかしたら初めてだったらきついかもね。」

「それはどういう意味ですか?」


「まぁそれは準備しながら話すからまずはその依頼を受理して来なさい。」

「わかりました!ではいってきますね!」


俺はすぐにコレットさんの所に行き依頼を受理してもらった。


「まずはテオちゃんの武器を新調しに行きましょうか。前からテオちゃんは魔法媒体無しで魔法を使ってたけど媒体を使った方が魔法は使いやすいわよ。」

「そうなんですね!それじゃあ武器屋に今から行くんですね!」

「えぇそうよ。行きましょうか。」


そうして俺はバビロアさんに連れられてバビロアさんがここに来た時にいつもよっている鍛冶屋に向かった。


しかしそこの鍛冶師はなんでも気難しい人らしく自分が認めた人にしか武器を売らないらしい。認めてくれるかどうかは分からないが1度行くだけ行ってみる。


「オレンちゃ〜ん!いる〜?」


バビロアさんの声に反応して奥の方から人が出てきた。


「その声はバビロアか?まったく、今武器を作ってたのに!ってかそれよりその呼び方やめてって言ったよね!」


どんな気難しい人が出てくるのかと思っていたがまさかこんなちっちゃい少女が出てくるなんて思ってもいなかった。


「で、なに?その隣にいる子の武器を売って欲しいの?バビロア忘れたわけじゃないだろうね?あたしは認めた子にしか武器は売らないよ。」

「わかってるわよ〜。だから今日はオレンちゃんに見極めてもらおうと思って。無理なら他のところ当たるから。」

「あたしもそんなに暇じゃないんだけどね。まぁバビロアの願いだし今回だけは聞いてやるか。君ちょっとこっちに来て。」


俺はオレンさんに連れられて奥の部屋へと案内された。


「そこに座って。君、名前は?」

「は、はい!テオバルトです!」

「テオバルトね、冒険者になったのいつ?ランクは?」

「えっと、冒険者になったのは2日前です!ランクは今はFですけど1週間後にDランク昇格試験を受けます!」

「へぇ〜登録したばかりで昇格試験か、しかも飛び級で。なるほど……んで、なんで冒険者になったの。」

「世界中の綺麗な景色を見たり様々な人に出会ったりしたいからです!そして困った人が居ればいつでも助けられるような大人になりたくて冒険者になりました!」


この人めちゃくちゃ聞いてくるな……今の答えを聞いてめちゃくちゃ悩んでいる。どうだ?認めてくれたら嬉しいんだけど……


「いいね君。よし!認めよう!テオバルト君は何の武器を見たいんだ?」

「認めてくれるんですか!ありがとうございます!えっと魔法媒体を探しに来ました!」.


良かった〜認めて貰えた!バビロアさんは最初からそうなると思っているような顔をしていた。


「魔法媒体か、ならこれはどうだ?これは初心者が扱いやすいようにしているんだ。1回握って魔力を通してみろ。」

「分かりました。……ん〜、これはちょっと難しいですね。これなら何も持っていない方が魔法を使いやすいです。」

「そうか〜テオバルト結構魔法変換力が高いのかもしれないなぁ。まぁじっくり見てくれ!」

「分かりました!ありがとうございます!」


そうして俺はオレンさんのお店を見て回った。魔法媒体を握って魔力を通してみたが全部しっくりこず、正直諦めかけてた。


そんな時店の端っこにポツンと置かれている杖が目に入った。その杖は樽の中に入れられている失敗品と一緒に置かれており一際汚れていた。


俺はその杖に引き寄せられるように近づいて手に持ち魔力を通した。


「誰じゃ?妾が気持ちよく寝ているのを起こした無礼者は。」


何処からか声が聞こえた。この店には俺たちしかおらずバビロアさんはオレンさんと話をしている。外にも人がいる気配はしない。じゃあ今の声は誰なんだ!?


「お主、聞いておるのか?妾を起こしおってなんの用じゃ。」


俺はふと手に持っている杖に目を向ける。もしかしてこの杖が喋っているのか?そんなはずはない。だって杖が意志を持ってるなんて聞いたことがない。


「そうじゃ。お主が持っておる杖が喋っておるのじゃ。して、お主なんの用じゃ?つまらぬ用で妾を起こしたとなればどうなるかわかっておるかの?」


えぇ!本当にこの杖が喋ってたの!?ええと、なんか返さなきゃ!


「えっと、僕は自分に合う武器を探していまして、ふとこの杖を見たら吸い込まれるような感じがして気がついたら手に持って魔力を流していました!」

「ほほう、そうか。お主なかなか面白そうよのぉ。名をなんと申す。」

「名前はテオバルトと言います。」


「テオちゃ〜ん、杖は決まった?さっきから誰に喋ってるの?」

「い、いえ!まだ決まってません!それに誰にも話してませんよ!」

「そう?なさそうなら今日は武器無しで行くしかないからね。」

「わかりました!もう少し見させてください!」


危なかった、もう少しでバビロアさんに痛い子判定されるところだった……


「テオバルトか、良い名前じゃな。お主今武器を探しておるのじゃったな。妾がお主の武器となろう。」

「え!良いんですか!?」


俺はこの杖を握った時他のものとは違う感覚があった。他の武器は正直魔力が何かに詰まった感じでいつもより使いにくかった。


ただこの杖を握った時は武器無しで魔法を使った時よりスムーズに魔力が繋がった。正直この武器にしようと思っていたのだ。


「あぁ、良いとも。ただし妾と契約を結ぶ必要があるがな。」

「契約、ですか?」


「あぁ、契約と言っても簡単な事じゃ。お主が死ぬまで妾を手放す事は許さん。もし契約を破ればお主の命を貰うことになる。それでも良いか?」

「大丈夫です!ただ一つだけいいですか?この杖を手放さなければいいんですよね?だったら武器を増やすのは大丈夫ですか?」

「武器を増やす?お主は面白いことを言うのぉ。それは全く大丈夫なのじゃ。それで、契約するのか?しないのか?どっちなのじゃ?」


こんなの迷うはずがない!


「もちろん契約します!」

「そうか、なら妾の名を教えよう。その名をお主が口にすれば契約完了じゃ。そして妾の名は『神杖・ヴェルネアス』これが妾の名じゃ。」


「神杖・ヴェルネアス」


俺がそう口にするとさっきまでみすぼらしかった杖ではなくなり神杖の名に相応しい格好になった。


こうして俺は意志を持った武器を手に入れることになったのだった。


読んでいただきありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!

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