薬草採取
先日、キャラの描写がない、文字が続きすぎて読みにくいという指摘を受けました。
今回はその指摘を意識して書いてみました。
もしよろしければ今回の話が読みにくいか読みやすいかを教えていただきたいです。
俺達はクレンティア領の西の門から出て今回収穫する薬草が生えている場所のサラダス平原へと向かった。
サラダス平原という名前からわかると思うがその平原には様々な種類の薬草が生えている。
今回の依頼はその中から下位の解毒薬となるスナフレ草を10束持ち帰ることである。
依頼書には10束で銅貨2枚と書いてあった。
この世界の貨幣価値は銅貨、銀貨、金貨、白金貨の順に上がっていく。それぞれの貨幣が100枚で次の貨幣1枚分だ。
庶民1人あたり1日銅貨10枚あれば最低限の生活は送れるそうだ。つまり今回の依頼でスナフレ草を50束集めたら一日のノルマが達成できる。
そんな依頼を俺と一緒に受けてくれている人がいる。それはこちらのゴリゴリマッチョの人だ!
「あら?テオちゃん今失礼なこと考えなかった?」
「そ、そんなことないですよ……」
今の話し方でだいたいの人が気づいたのではないだろうか……
なにを隠そうこの方は俗にいう『オネェ』なのです!
つぶらな瞳に長すぎるまつ毛、口もとにシワなどあらずバッチリとメイクされている。それと綺麗に整えられたおカッパ頭。
髪の毛は個人の好みだがそれ以外は典型的なザ・オネェだった。
この鍛え上げられた身体とは裏腹に神様から与えられたジョブは魔導師。俺は初めて会った時本当に魔法系のジョブなのかと何度も疑ったものだ……
「テオちゃん、もうなにを考えてるのか聞かないけどサラダス平原に着いたわよ。」
俺は目の前に広がっている壮大な薬草を見て呆気に取られてなにも言えなかった。
俺は小さい頃から大事に育てられてきた。そのせいであまり領地の外にどんな世界が広がっているのか知らなかった。だからこの前王都へ行った時はほんとうにはしゃいでしまった。
「外の世界にはこんな素晴らしい景色があるのですね。」
「えぇ、ここも素晴らしいけどこの世界には素敵な場所はもっとあるわよ。冒険者は自由だから旅をしているとたくさんの人と出会い、たくさんの景色を見ることができるのよ。」
「冒険者って良いですね。」
俺はしばらくサラダス平原の景色に見とれてしまっていたがバビロアさんに日が暮れるからと言われやっと薬草採取を始めることにした。
「今回収穫する薬草はスナフレ草ですよね。チャチャッと見つけてコレットさんに報告しましょう!」
「それはいいけどテオちゃんスナフレ草ってどんな形なのか分かるの?ここの平原には様々な種類の薬草が生えているから見分けないといけないわよ?」
そうなのだここの平原には1種類の薬草が生えている訳では無い。数えきれない程の種類の薬草が生えている。正直無知のままではどれがどの薬草か分からないだろう。
だがしかし!こんなこともあろうかと俺は先に手を打っていたのだ!
「ふっふっふっ、バビロアさん。このテオバルトを見くびってもらっちゃ〜困りやすぜ。実は先にコレットさんから薬草図鑑を貰っておきやした!これさえ見ればスナフレ草ごとき直ぐに見つかりますぜ!」
そう、俺はコレットさんから薬草図鑑を購入していたのだ。たまたまカウンターにあったもので面白そうだと思いつい買ってしまったが役に立って何よりだ。
「テオちゃん?口調がさっきとだいぶ違うようだけど大丈夫かしら?」
「すみません、少し調子に乗りすぎました。さぁ、仕切り直してスナフレ草を探しましょう!」
薬草図鑑によればスナフレ草は日陰に生えていて、葉の色が特徴的で紫色だ。Fランクの依頼だからか、比較的に見つけやすくなっているらしい。
そこから俺たちは日陰になっている場所に行ってスナフレ草を探した。スナフレ草は案外すぐに見つかって俺たちは10束と言わず取れるだけのスナフレ草を取ってまわった。
「ふぅ〜、結構取れましたね。」
「そうね、10束以上は取れたから今日はこれくらいにしましょうか。これ以上取っても環境に悪いから。」
「そうですね、それじゃあ帰りましょうか。」
俺たちは薬草採取を切り上げて自領クレンティアへと帰るのだった。
バビロアさんがクレンティアに帰っている途中でふいに俺に聞いてきた。
「初めての依頼はどうだったかしら?」
「……とても楽しかったです。自分が今まで知らなかった景色を見れたし、いつもは馬車での移動ですけど自分の足で歩くことによって普段気づかないようなことにもたくさん気づけました!」
「そう、満足していただけたようで良かったわ。冒険者も悪くないでしょう?」
「はい!冒険者という職業のことをもっとすきになりました!バビロアさん、今日は本当にありがとうございました!これから3年間お世話になりますがよろしくお願いします!」
俺は今日1日あったことを思い出し笑顔になりながら帰っていくのであった。
俺たちはクレンティアから出てきた西の門に着いた。夕方だからかちょうど依頼から帰ってきた冒険者達でちょっと長めの列ができていた。
その列をバビロアさんと待っている間に俺たちの後ろに並んでいる冒険者に話しかけられた。
「お!薬草採取か?見たところ子供ということは最近冒険者になったくちか?」
「は、はい!今日冒険者になりまし――
おっと危ない、危うく敬語を使うところだった。コレットさんに冒険者相手には砕けた言葉使いを使うよう言われていたのだった。
「きょ、今日冒険者になったテオバルトだ。よろしく……頼む。」
だぁーーー!この世界に来て7年間ずっと敬語使ってたから急に砕けろとか言われても慣れないよーー!
「そうか!俺はガイアスだ!よろしくな、テオバルト!」
ガイアスと名乗った男はバビロアさんには劣るがかなり身体を鍛え上げているようだ。短く切りそろえられた髪の毛と繋がるくらいまで伸ばされた髭は金色に染まっていた。左頬には傷が着いており背中に背負われた大剣が冒険者としての風格を出していた。
「あ、あぁよろしく。」
そこからクレンティアにはいるまでガイアスさんとバビロアさんと俺の3人で話していた。
ガイアスさんは「黄金の絢爛」というパーティーのリーダーだということがわかった。普段は王都を拠点に活動していて、クレンティアまで行く依頼を受けたけどパーティー内で予定が合わず今日は1人で来たらしい。
「そうか!そうか!冒険者になって良かったか!冒険者っていう職業になりたいヤツらは
直ぐに魔物と戦いたがるからな。最初は薬草採取か土木掃除くらいしか無くて直ぐにやめるヤツが多いんだよ!だがこの感じだとテオは大丈夫そうだな!」
「はい!これからも冒険者を続けていこうと思ってます!」
実は俺は砕けた言葉で話すことを諦めたのだ。話している途中でガイアスさんに話しやすい話し方でいいと言われたので思わず敬語で話してしまった。
「次の方こちらへ。本日はどのような予定でここへ来ましたか?」
俺たちの番がやってきたので俺は門番と話をする。昼とは違う人のようだ……
「冒険者です!依頼から帰ってきました!」
「そうですか、お疲れ様です。それでは冒険者カードを拝見させてもらいますね。」
「はい、どうぞ!」
「え〜っと、テオ…バルト……まさかっ!――」
「それ以上はダメよ。今は普通のテオバルトとしてここにいるんだから察してあげてね♡」
「わ、分かりました。では、通って貰って大丈夫です!」
危なかった。あの門番さんはきっと俺が公爵の息子ということが分かったから驚いたのだろう。
こんな所で騒がれたらたまったもんじゃない。止めてくれたバビロアさんに後で礼を言っておこう。
俺たちはガイアスを待って一緒に冒険者ギルドへと向かった。
夕刻の冒険者ギルドはお昼に行った時より遥かに人の数は多かった。しかしそんな中一際目立つ人物がいた。
胸まで伸びきった金髪に冒険者らしからぬ格好。それにあのウザったらしい話し方でコレットさんをまた口説いている。
アイツだ、迷惑Cランク冒険者のメイビックだ。
俺はコレットさんを助けるべくすぐさまメイビックに近づくのだった。
読んでいただきありがとうございます!
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