初依頼
俺はさっき登録したばかりの冒険者カードにずっと見とれていた。
「えっと〜テオバルトさん?まだお話があるのですが〜、続けてもよろしいですか?」
「あ、すみません。」
「いえいえ、では改めましてテオバルトさんの専属受付となるコレットです。これから冒険者となる訳ですが誰しも分からないことはあります。その時は遠慮なく私に聞きに来てくださいね。」
「コレットさんですね!よろしくお願いします!これから様々な迷惑をかけると思いますが暖かい目で見守っていただけると幸いです!あ、僕のことはテオと呼んでください!それと僕は年下ですから敬語もいらないですよ!」
「それならまずはじめにお姉さんからのアドバイスね。テオ君はまずその敬語をやめましょうか。ずいぶんキレイな言葉使いでさっきから話してくれるけどそれじゃ他の冒険者に舐められちゃうわよ。テオ君はまだ子供だからそれだけでも周りから舐められる対象になるの。だから冒険者相手にはもっと砕けた言葉を使うといいわよ。」
「そ、そうなんですね……これからは気をつけます。でも!お姉さんは冒険者じゃないのでこのままでいきますね!」
「はいはい、わかったわよ。むさ苦しい冒険者連中が全員こんな可愛い子になってくれたら楽なのにねぇ〜」
コレットさんは何かを諦めたような目でそんなことを言っていた。
「テオちゃん、まだ時間あるけど何か依頼受けてみる?」
「いいんですか!?ならうけてみたいです!」
「じゃあ掲示板に探しに行きましょうか。テオちゃんは登録したばかりでFランクだから同ランクか1つ上のEランクしか選べないわよ。」
「依頼を見つけたらここに持ってきてくださいね。」
そうして俺とバビロアさんは依頼探しに掲示板に向かった。そこには様々な紙が貼ってあった。
「色々な紙が貼ってありますね!Fランクの依頼ってどんなのがあるんですか?」
「ん〜そうね〜、この中だと薬草採取くらいかしら。」
「そうですか!ならそれを受けましょう!」
「え、いいの?薬草採取なら魔法は使わないわよ?せっかく魔力操作を制御することができたのに……」
「大丈夫です!魔法ならまた別の依頼で使えばいいんですから!そんなことより早く依頼を受けてみたいです!」
「はいはい、わかったわよ。それじゃあその紙を掲示板から剥がしてさっきの受付嬢の所まで持っていきましょう。」
俺ははじめて受ける依頼にワクワクしながら受付嬢がいるカウンターへと向かった。
「コレットちゃ〜ん、いつになったら僕の専属になってくれるんだぁ〜い。」
「いえ、ですから私はあなたの専属になりません。それより前も言いましたよね?迷惑だからやめてくださいって。あなたの専属はこちらのウィリアムでしょう?」
「ウィリアム〜?だってあいつ男じゃ〜ん。僕はぁ〜可愛いコレットちゃんに専属になって欲しぃんだよねぇ〜。」
「そんな自分勝手の理由で専属を変えられるわけないでしょう。用が無いならお帰りください。」
「今から依頼を受けるからまた後でねぇ〜。」
なんだなんだ、何があったんだ?変な冒険者にコレットさんがナンパされていた。
「あ、テオ君、依頼は決まったかな?」
「はい、これでお願いします。……コレットさん、大丈夫でした?さっきなんだか変なやつに絡まれてましたけど……」
「えぇ、大丈夫よ。いつもの事だから……」
「あれって誰なんですか?格好的に冒険者っていうのは分かるのですが……」
「あいつはここのソロ冒険者でCランクのメイビックよ。ランクはCだけど実力は折り紙付きよ。ここを拠点にしている冒険者の中では恐らく1番強いヤツよ。」
「そうなんですね。」
だから誰もコレットさんを助けなかったのか。冒険者は実力主義だから自分より強いヤツには逆らえないよな……
「コレットさん!もしまたあいつに困らされたら僕を頼ってください!絶対に助けますから!」
「テオ君、ありがとね。はい、以来の手続きはしておいたから薬草採取頑張ってね。」
あ〜この感じ信じてないな。子供が可愛いこと言ってるくらいにしか受け止めて貰ってないだろうな……まぁ、もし次あいつに出会ったらガツンといってやらないと……
「ありがとうございます!では行ってきますね!バビロアさん、行きましょう!」
「えぇ、そうね、行きましょうか。」
そうして俺は初の依頼に挑むのであった。
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