冒険者登録
本日2個目です!
「テオちゃん、いつまではしゃいでいるのかしら……」
「あ、すみませんバビロアさん。身体が軽いのが楽しすぎてつい。」
「全く、ほどほどにね。それじゃあ次はさっきの状態で魔法を放ってみましょうか。さっき魔力の層を薄くしたのには意味があって、薄くすればするほど魔法の威力が弱くなり、厚くすればするほど魔法の威力は強くなるのよ。テオちゃんは魔法の威力を落としたいって言っていたけど前に使った時に威力が強かったの?その時はムラがあって魔法を使おうとしたから一点に魔力を集中しすぎちゃたのよ。」
「そういうことだったのですね!その時は人を殺めそうになったので僕自身魔法を使うのが実は怖かったんです。けどバビロアさんのおかげでもう大丈夫です!」
「そう、なら良かったわ。魔法を使う時だけどあくまでも魔力の層をそのまま出す感じよ?一点に集中させればそれでも魔法は使えるけど威力は抑えられないわ。」
「分かりました。やってみます。」
この薄さの魔力をそのまま出す……っ行け!
やった!出来た!さっき打ったときはあの岩を壊してしまったけど今回は壊れてないぞ!魔法の威力を制御できた!!
「まぁ、これも1発で出来ちゃうのね……」
「そ、そうみたいだな。なんか……すまん。」
「ルフレントが謝ることじゃないわ。けど困ったわねぇ、もう教えることがほとんどないわ……」
「それはどういうことだ?」
「普通なら魔力操作を制御するには1年かかるのよ。私が教えてるのは週の半分でしょ?それを3年間だから単純計算で1年半の家庭教師をするつもりだったの。最初の1年で魔力操作の制御を習得出来れば残りの半年は実際に魔物たちと戦ってもらおうと思ってたのよ。そしてもし1年で終わらなかったら残りの半年間も使って教えるつもりだったわ。そのつもりだったのにまさかたった1日でもう終わらせるなんて……」
「そういう事だったのか……」
ん?なんかバビロアさんと父様が真剣な顔で話をしているな……なんの話しをしているんだろ……
「そんなに真剣な顔をしてどうしたのですか?」
「はぁ〜、お前のことで悩んでいるというのに本人は自覚がないみたいだな……」
「えぇ、そうみたいね……」
ええ!俺なんかした!?もしかして制御出来てなかった!?あれごときで喜ぶなって事!?
「え〜っと、僕何かしちゃいましたか?」
「いやね、テオちゃんに1年かけて教えるつもりだったのをテオちゃんが今日1日で終わらせちゃったのよ。それでこれからどうしようか考えていたのよ。」
「そ、そうだったんですか…なんか……ごめんなさい。」
「いや、いいのよ?テオちゃんが優秀すぎて私のアテが外れただけだから……」
そうか、1年間の内容をさっきので終わらせちゃったのか……俺は魔帝のジョブを持っているから魔法関連のことは習得しやすいようになっているのかもしれない。でもやることがなければもう教えて貰えないのか、どうにかすることは出来ないのか!?
「あ、父様さっきの今で申し訳ないのですが冒険者登録しに行っても良いですか?バビロアさんと一緒に実践を重ねていくというのはどうでしょう。」
「冒険者登録か、まぁ、もう習得してしまったものだからな、バビロアがいいのなら俺は許可を出そう。」
「私は全然構わないわよ。他の依頼を受けなくてもルフレントにはたぁ〜んまり報酬をいただいてるか・ら・ね!」
と、いうことで俺は急遽バビロアさんと一緒に冒険者ギルドへ行くことになった。それまでの道中でバビロアさんに冒険者のことについて色々と聞いた。まず、冒険者にはF〜Sランクまであり誰でも登録したときはFランクから始まるらしい。ランクをあげるためには依頼を着実に成功させるのがいいらしい。もし失敗したら違約金が発生するから身の丈にあった依頼を受けるように言われた。しかし、いくら強くて依頼を成功させたとしても日頃の態度が悪かったりしたらCランクより上にはあげて貰えないらしい。なんでもBランク以上は貴族や豪商、時には王族からの指名依頼も入るそうだ。その時にある程度の礼儀がなければ不敬罪にあたるからだ。
他にもいろいろと注意事項を言われているうちに冒険者ギルドへと到着した。俺は期待を胸に扉を開けた。
さぁ、冒険者ギルドはどんなところなんだ!
その中はとても楽しそうな空間が広がっていた。人族だけでなく、獣人族、龍族、エルフにダークエルフなどなど様々な種族が居て、奥には広めの居酒屋のような場所が広がっていた。俺は呆気に取られしばらくボーっと突っ立っていた。はっと我に返る横ではバビロアさんがニヤニヤと笑っていた。
「な、なんですか。」
「いやぁ〜、テオちゃんが呆気に取られている姿が可愛くって……」
「そ、そんなこといいじゃないですか!さ、行きましょうよ!」
「そうね、あそこのカウンターで登録するから行きましょうか。」
「ちょっといいかしら、この子の冒険者登録
して欲しいんだけど……」
「冒険者登録ですね。それではこの用紙に名前と性別、あとジョブを書いてください。」
「分かりました!」
「テオちゃんは文字書けるの?」
「さすがに書けますよ!」
こうは言っているが本当は文字を覚えたのはつい最近のことなのだ。これは黙っておこう……
「はい!お姉さん、書けました!」
「はい、ありがとう。え〜っと、テオバルト君ね、ジョブは魔導師って……ユニークじゃない!君意外とやるわね。」
「あはは、ありがとうございます。」
「それじゃあこのカードに血を垂らしてくれる?」
「血……ですか?」
「大丈夫だよ、そんなに多くないから。この針でプスッと刺して血を1滴だけ垂らしてくれればいいの。」
いやぁ〜1滴って言っても自分で刺すのは怖いなぁ……はぁ〜、やるしかな――
「それ、プスッと。」
「――ッ!!バビロアさん!何するんですか!」
「えぇ〜だってぇ〜テオちゃんがいつまでも焦らすからぁ〜、私我慢できなくって♡」
俺は血をカードに垂らした。するとカードからは文字が浮かび上がり先程俺が紙に書いた内容が浮かび上がってきた。
「わぁ、すごい!」
「これで冒険者登録は完了です。その冒険者カードは無くしてしまうともう一度作り直さなければいけません。その際には銀貨1枚が手数料としてかかってくるのでくれぐれも無くさないよう注意してください。また、冒険者カードは偽装不可能でもし偽装をしようものなら冒険者資格は剥奪され二度と冒険者にはなれません。それにギルド員同士での殺し合い、依頼の横取り、虚偽の報告などをした際にも資格は剥奪されますが、やむを得ない場合はこれに当てはまりません。説明はこれくらいですね、何か質問はありますか?」
「やむを得ない場合ってどういうことですか?」
「それはですね、冒険者カードを持っているが依頼を成功出来ずそのまま借金を抱えてしまい盗賊に堕ちる人達がいます。その人たちから襲われた場合はやむを得ないですね。」
「そういうことですね。ありがとうございます!」
こうして俺はついに冒険者登録を済ませ冒険者になったのだ!
読んでいただきありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!




