家庭教師について
今日は2個目です!
「父様、家庭教師の件なのですが……」
俺たちが家に着いたときそう言って父様に話を切り出した。
「あぁ、その事なんだが実は前々から考えていたのだ。洗礼を受けるまでなんとも言えなかったがテオが戦闘系のジョブを授かったら家庭教師をつけるつもりだった。もちろん勉学も一緒だがな?」
「そうなんですね!ありがとうございます!」
「だがな、問題が1つある。どのジョブについて教えてもらうかだ。陛下たちには言わざるを得なかったが、さすがにこれ以上テオのジョブのことを広めてはダメだ。テオはどうしたい?」
そうか、全部を教えてもらう訳には行かないのか、剣術もならいたいし格闘も、それに魔法もおしえてもらいたい。ん〜これを決めるのはむずかしいなぁ。
「まぁ、まだ領地に帰るまでに時間はある。それまでじっくり悩むと良い。」
「そうします。そういえばヴィロッテ姉様は今どちらに?」
「ロッテは朝からテセウス伯爵の令嬢ところにお茶会に行っている。ロッテが7歳のパーティーの時に仲良くなってそれ以来あってなかったからな。今日はとても楽しみにしながら家を出ていったぞ。」
「そうなんですね。ところで父様、この家に書庫はありますか?出来れば魔法の勉強をしたいのですが……」
「いいだろう、そういうことなら書庫の鍵を渡そう。書庫は2階の1番奥にある。まだ時間はあるが夕食の時にはメイドを向かわせるからきちんと間に合うように。」
「分かりました。ありがとうございます。」
良かった。メイドと一緒にとか言われたら調べたいことも調べられなくなる。恐らく父様もわかった上で夕飯の時にはメイドを向かわせると言ったのだろう。それまでにできるだけ調べ物を終わらせないと……
さてと、まずは魔法のことについてでも調べようかな……お、これなんてどうだ?
『猿でも分かる魔法マニュアル 〜入門編〜』
えーっと何が書かれているんだ?
『この世界には魔法というものが存在します。魔法には8つ属性があり――』
ここはいいや、もう知ってるところだし、もうちょっと進んでっと……
『魔法にはレベルがあります。最大レベルは10とされています。1〜3レベルで初級、4〜5レベルで中級、6〜7レベルで上級、8〜9レベルで超級、10レベルで絶級の魔法を扱うことができます。一般的に上級魔法までは操れるようになれます。超級を使える人間は限られています。絶級に至っては 何百年もの間使い手は見つかっていません。今となってはロストマジックの一種となっています。』
へぇ〜、魔法って絶級まであるんだ。でも誰も使えないからロストマジックになってるのか……あれ?もしかして俺使えるんじゃね?魔帝は全ての魔法スキルを使うことができるって書いてあるから早くレベル10にしたいものだ!
他には何が書いてあるかな……
『初級で覚えられる魔法』
おぉ、これは便利だ何があるかなっと……
『火弾、水弾、風弾、岩弾、灯光、暗弾、回復、強化』
おぉ、これが初級の魔法か、火弾はこの前使ったけどあの威力で初級なのか?あんなのが全部だったら試し打ちできないじゃないか!!いや、多分ジョブと加護のせいで威力が増しているんだな……
よし、こうなったら家庭教師の人には魔法について教えてもらって手加減を覚えよう!剣術と格闘のスキルはまず筋力をつけてから考えることにしよう!
俺はそのあとも猿でも分かる魔法マニュアルを読み続けていた。時間は過ぎるのが早いものであっという間に夕食の時間になってしまった。
「今日も食べ物に感謝していただこう。」
「「「「いただきます。」」」」
「父様、家庭教師の件ですが僕なりに考えてみました。」
「そうか、ならば食後私の部屋に来なさい。そこでテオの考えを聞こうじゃないか。」
「分かりました。」
「あら、テオちゃんに家庭教師をつけるのですか?」
「あぁ、今までの兄弟達もこの洗礼を機に家庭教師を雇っていたからテオももういい頃だと思ってな。」
「そうなのですね。テオちゃんにはしっかりお勉強をしてもらいましょう。」
なんだか母様が嬉しそうな笑みを浮かべてこちらに飛ばしてきた。はぁ、また1から勉強かと思うと頭が痛いがこれも魔法のためだと思い我慢するしかないか……
俺は食べ終わるとすぐに父様の部屋に向かった。
「父様、入ってもよろしいでしょうか。」
「あぁ、大丈夫だ。」
「失礼します。家庭教師の件で参りました。」
「そこに座りなさい。それじゃあテオの考えを聞かせてもらおうかな。」
「はい、僕は魔法を教えてもらいたいです。この前の戦いで魔法を使ったのですが威力をセーブすることができず盗賊とはいえ人を殺めかけたのです。もしこのまま魔法を使い続けてしまうとまた違う人を殺めてしまうのではと不安に思ったからです。それに剣術と格闘はまず自分にある程度剣を握れるくらいの筋力がついてからでも遅くないのではと思ったからです。」
俺は今日1日考えたことを全て隠さず言った。俺はこの前人を殺しかけた。いくら怒ってたからと言って殺すのはいけないことだ。すぐに聖魔法をかけたから良かったものの、もし盗賊の立場が家族だったらと思うとゾッとした。だから俺はまず魔法を習うことから始めないと行けないと思った。
父様は俺の考えを聞いて深く考え込んだ。
「テオの考えはわかった。テオがしたいようにすればいい。家庭教師には魔法を教えてもらうようにしよう。もちろん勉学もだ、貴族はたくさんの事を学ばなければならない。それにダンスも覚えないといけないし、話し方もだ。それ全てをできるか?」
「はい!できます!」
「よし!なら家庭教師を探しておこう。今日はもう寝なさい。」
「ありがとうございます。それではおやすみなさい。」
「はい、おやすみ。」
俺はそう言って自分の部屋に戻るとすぐに眠りにつけた。
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