洗礼
遅くなり申し訳ございません!
友達がおらず部屋の端の方で待機していたテオは後ろから声をかけられた相手ケインと話しているうちに仲良くなった。
「テオはどんなジョブがいいの?」
「んー、僕は魔法系かな?なんか魔法を使うのって憧れるんだよね。」
そう俺はこの世界に来てずっと魔法を楽しみにしていた。まぁ、この7年間1日も欠かさず魔力を使って魔力量を増やしてきたのだがこれといって実感が湧いていない。魔法と言ったらなんか、こう、ズババーンって感じで炎とか水をだすってイメージだから早く洗礼を受けて魔法を使ってみたいのだ。そのために魔力量を増やしてきたと言っても過言ではない!
「そーなんだ!僕も魔法には憧れるよ!無属性魔法はみんなが使えるって聞いたことがあるけど魔法って言ったらやっぱり杖を持ってズババーンって感じで出してこその魔法だよね!」
「うんうん!そうだよね!」
まさかケインと同じことを考えているなんて、ケインは話がわかるやつだな、これからも仲良くしていきたいものだ。
「僕は魔法系のジョブがいいけどケインはどんなジョブがいいの?」
「僕は家が鍛冶屋だからお父さんの助けになるジョブがいいかな?」
「そうなんだ!それならもし僕が魔法系のジョブになった時にはケインのお父さんに杖を作ってもらうね!」
「お父さんはすごいんだよ!だから僕もお父さんみたいな鍛冶師になりたいんだ!」
「ケインならきっとなれるよ!頑張って!」
「テオバルトさん。洗礼の準備が出来たのでこちらに来てください。」
「あ、はい!今行きます!呼ばれたから言ってくるね!」
「うん!いってらっしゃい!」
洗礼の後はもう家に帰るからケインとはもう会えないのかな……
そんなことを考えていながら歩いていると気づいたら俺は扉の前に立っていた。
「この中に入ると教会の人がいるので後はその人の指示に従ってくださいね。」
「はい!ありがとうございます!」
「失礼します!洗礼に来ました!よろしくお願いします!」
「フォフォフォ、元気のある子じゃな。そんなに緊張せずにリラックスをするのじゃ。
わしが子供達に洗礼をしている神官じゃ。それじゃ今から洗礼をするからそこで膝をついて祈りを捧げてくれ。」
「はい、わかりました。」
祈りを捧げるってどうしたらいいんだ?んー、まぁとりあえず形だけしておくか。
ん?急に周りが静かになった?目を開けていい?開けるぞ?
「東城様!?なんでここにいるんですか!?」
「ん?その声は……ソルドレオ様!?ということはここは神域ですか?」
これは驚いた。洗礼を受けたらまた神域に来ることになるとは……
「まぁ、確かにここは神域ですけど……もしかして東城様はもう死んでしまわれたのですか?」
「え?いやいや!死んでませんよ!今日は洗礼を受ける日だったので受けていたら神域に来ちゃった感じです。」
「あ〜、もうそんな時期ですか。ということは東城様は今7歳ということですね?」
「はい!新しく生まれ変わってテオバルトという名前もいただきました。日々楽しく過ごさせてもらってます。」
「そうですか。なら東城様ではなくテオバルト様と読んだ方がいいですね。」
「あ、良ければなんですが、テオと呼んでいただけると嬉しいです!」
「そうですか、分かりました。それならテオも私の事はソルと呼んでください。それと敬語もいりませんよ?久々にこんなに沢山話をしているのでこちらも楽しくなってきました。テオとは何か運命を感じます。」
「あっはは、運命だなんて……」
神様を呼び捨てっていいのか?本当にいいのか?怒られたりしないよな?大丈夫だよな?まぁ、ソルがいいって言ってるからな、うん、大丈夫だろう!
「あ!丁度良い機会です!私の加護をテオに与えますね?本当は転生する時に与えるつもりだったのですが色々と驚きのオンパレードだったのでうっかり忘れてしました。」
「ソルの加護を貰えるの?ありがとう!」
これで加護は2つ目になるんだな、もしかしてエフィシスの時みたいにステータスが上がるのかな?ってか、全然ステータスを確認していなかった……まぁ、これを機に確かめるか……
「はい、私の加護は与えましたよ。ステータスUPと必要な時に私に魔力を通じて話しかけられるようになっています。」
「わかった!ありがとう!ねぇ、ソルと一緒にこの世界に行くことって出来ないの?」
「私と一緒にですか?あるにはあるのですが今のテオには無理ですね。テオが成長して強くなればあるいはと言う感じでしょうか……」
「そうなんだ!ソルさっき久々に話したって言ったでしよ?だから1人で退屈なんじゃないかなって思ったんだ!僕が成長して強くなったら絶対にソルを迎えに来るからね!」
「うふふ、楽しみに待っていますね。そんな話をしている間にもう時間ですね。テオ楽しかったですよ。まぁ、私の加護でいつでも話せますが、またここに来てくださいね?」
「うん!約束するよ!またね!」
「……ルトさん!…オルトさん!テオバルトさん!!」
「はい!何ですか?」
「何ですか?じゃありませんよ!あなたは洗礼を受けている時に急に意識を失って今は医務室に運ばれたところです。」
「あ、そうなんですか、僕はもう大丈夫です。心配を掛けてしまい申し訳ございません。」
なるほど俺が神域に言っている間は俺は意識を失うのか……
「そうですか、お父様が迎えに来ていますのでそこまでお送り致します。」
「ありがとうございます。」
その後俺は無事父様に引き渡され家に帰ったがそこからが大変だった。姉様と母様にとても心配された。「大丈夫?」「どこも変なところない?」「病院いく?」と言う言葉を延々と1、2時間言われた。
「2人とも落ち着きなさい。テオが大丈夫だと言っているのだから大丈夫だろう。それよりテオ、ジョブがなんだったのか教えてくれないか?」
「分かりました。ただ、先に父様にだけお見せします。それでもいいですか?」
「わかった。なぜかは後で聞こう。」
よかったー、ここで何故かを聞かれてたら母様達にも見せなければいけなかった。正直母様達は口が軽い。精霊の事は教えてしまったから仕方ないがいつ口を滑らすかヒヤヒヤしている。
「父様、たとえ僕がどんなジョブだったとしても驚かないでくださいね?そしてこれを誰に伝えていいのかは全て父様に任せます。」
「わかった、つまるところシェリーン達にバレたら誰かに言われるかもしれないと思ったのだな?」
「はい、そういうことです。では、これが僕のジョブです!」
***
名前:テオバルト・ノア・シルバス
種族:人間 性別:男 年齢:7歳
ジョブ:剣聖・魔帝・拳神
状態:やや健康
Lv:1
HP:40,015/40,015
MP:743,540/743,540
物攻:2,460
魔攻:1,980
物防:685
魔防:743
魔法変換力:MAX
素早さ:1,570
〈スキル〉
火魔法:Lv1 水魔法:Lv1
土魔法:Lv1 風魔法:Lv1
光魔法:Lv1 闇魔法:Lv1
聖魔法:Lv1 無魔法:Lv4
剣術:Lv1
格闘:Lv1
精神耐性:Lv2
状態異常耐性:Lv1
〈加護〉
精霊王の加護 (非表示)
創造神の加護 (非表示)
〈称号〉
異世界を渡りし者 (非表示)
精霊と通じ合う者 (非表示)
***
とりあえず称号と加護は非表示にしておいた。俺が異世界から来たとバレたら変な目で見られるかもしれない。最悪お前は俺の子じゃないと見捨てられるかもしれないと思って非表示にしておいた。
「父様、これが僕のステ――
「なんだこれはぁぁぁぁ!!!!」
「と、父様?」
「テオ?なぜお前は3つもジョブを持っているんだ?しかも全てがレジェンドじゃないか!それにこのMPはなんだ?多すぎるだろ、いやそれだけじゃないなステータス全てがそこらの大人よりずば抜けて高いぞ!?何より1番の驚きは全属性使えることが前代未聞だ!いや、違うな、テオの存在自体が前代未聞だよ。」
「父様!落ち着いてください!これは僕も初めて見た時は本当に驚きました!だから父様にだけは本当のことを言ってこれをどうしたらいいのか聞いたんですよ!」
「すまない、取り乱してしまった。そういう事か、このステータスについては決して誰にも言うんじゃないぞ?それにお前には今から魔法を習得してもらう。無属性魔法でお前はレベルが4だからすぐに習得できるだろう。」
「魔法ですか?分かりました。誰に教えてもらえばいいのでしょうか?」
「それは私が今から教える。教える魔法は偽装だ、それを使ってテオ自身のステータスを、偽装するんだ。数字を全て100以内に
するんだ。そして魔法も無魔法を抜いて2つか3つにしなさい。」
「父様が教えてくださるのですか?分かりました。」
そして俺はすぐに偽装の使い方教えてもらい無魔法偽装を習得した。
そのあとは早かった。俺はすぐに偽装を使いHPなどの数字を100以内にして、魔法属性も火魔法と水魔法と風魔法の3つに絞った。
「よし、それでいい。本当のステータスはテオと私の秘密だ。そして定期的にテオのステータスを確認させてくれ。」
「分かりました!」
母様と姉様には教えられないと父様が説得してくれた。いつかは教えると条件付きで
「まぁいいわ!いつかテオに教えてもらうから!それより急がないとパーティーに遅れてしまいますわ!」
「そうだな。マリアンネ、テオの着替えをよろしく頼む。」
「分かりました。さぁ、テオ様着替えに行きますよ。」
「え?また着替えるの?このままで良くない?」
「よくありません。テオ様は公爵家の三男なのですから着替えて貰わないと周りの貴族に示しがつきません。」
「ちぇー、わかったよ着替えればいいんでしょ。」
これより高そうな服に着替えるとか貴族は本当にすごいな……
「お父様!お母様!私は先に寝ておきますね。」
「あぁ、すまない。この家にロッテ1人を置いていくのは心が痛いが今日だけだ。我慢してくれ。」
「いえいえ、今日はテオのお祝いの日なのですから楽しんできてください。」
「あぁ、ありがとう。」
俺たちはパーティーに向けて大急ぎで準備を始めたのだった。
読んでいただきありがとうございます!これからもよろしくお願いします!