歯車
それは雨がよく降る日だった...。
僕は、
僕の涙を雨に掻き消されながらこう思うんだ...。
「あぁ...死にたくないなぁ...。」
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こんなに気持ちのいい日は久しぶりだ。
どこを見ても雲一つない青空!
その青空に輝く太陽!
こんな太陽を見たのは久しぶりだ。
そう、ここ最近この地域では雨が続いていたのだ。
今日は何かいい事がありそうだ...‼︎
そう思っているうちにもうこんな時間。
朝食を済ませ準備をし、彼は出て行く。
静かな家に向かってこう言った。
「行ってきます‼︎」
あっ忘れてたけど僕の名前は紺野 凪。
普通の日常を送ってる普通の高校1年。
これは僕の日常を送るお話。
だから何か事件にでも巻き込まれないと面白いことはないよ。まぁそんな事人生で一度もないけどね。
「(やっと学校終わった...。やっぱり長いなぁ...)」
「さ、帰ってゲームでもす
ポタッ
「ん?」
空を見上げた。
さっきまで雲一つない青空だったのにいつの間にか雲だらけ。
「(嘘!傘持ってきてない!)」
「走ろう」
ポツポツポツ
ザー
「嘘!やばいどこかに雨宿りしないと!」
近くに雨宿りをした。いつ止むかなあ。
「昨日、また心臓を刃物の様な物で刺された遺体が発見されました」
後ろを振り向くと鏡越しにテレビでニュースをやっていた。
「最近この事件多いなぁ...。」
早く止まないかなぁ...
「だすけで!!」
ん?今雨で少し聞こえずらかったが誰かが助けを呼んだような...。
気のせいか...?
今思えばすぐそこは廃墟ばっかり立っててこの辺は少し気味が悪い...。
行ってみるか...?さっきの声も気になる。
雨が降る中、僕はバックを頭の上にし駆け抜けた。今にでも壊れそうな建物と建物の間を駆け抜けた。迷い迷い駆け抜ける。
この辺か...?
建物の角を曲がろうとしたとき、足が止まった。
息もできないような...空気が変わったような...
まるでこの角は曲がるなと僕の体が言ってるようだ。
それでも僕は息を殺し、顔だけをその角から出した
そのとき僕は目を疑った。
すぐに顔を戻し息を整えた。そのとき僕が見たのは30代ぐらいの男と倒れてる男の人だろうか?いやそんな事はどうでもいい。
僕が見たのは...
確実にみ、右手が...なんと言えばいいのだろうか右手が細いロープ3本絡まっていてロープの先に鋭い刃物の様な物が付いてる...それで倒れてる男の人の心臓を刺してい...
「...ッ!」
「昨日、また心臓を刃物の様な物で刺された遺体が発見されました」
「心臓を一突き...」
ボトッ
「ッ!」
ついバックを落としてしまった。
き、気づかれたか...?
そーっともう一度恐る恐る角から覗く...。
「!?」
そこには倒れてる男の人しかいない!!
どう言う事だまさかこの雨の中音に気づいた!?
それだとやばい!早く逃げないと!
「!?」
クソッ!足が動かない...。
殺される
そんな言葉が僕の頭をよぎった。
「やめろやめろ!考えるな!足を動かせ!」
僕はびしょ濡れになりながら走った。
しかし行きは適当に駆け抜けて来ただけ。
帰り道を覚えてるわけがない
やばい、どうしよう。パニックになった僕は今にでも壊れそうな建物に入った。
上に上にと上がって行く
見られてたか!?
ここは何階かも分からない、雨の音すら怖くなってくる。
ドンっ!!!
まるで僕を脅かすかのような音が聞こえた。
ハァハァ
息が荒くなっていく。足が崩れる。
「立て!立て!」
自分にそう言い聞かせ立つ。
「ねぇ、見てたよね?」
!?
すぐに振り向く
そこには右手がロープの男が...。
嘘だろ!?音もしなかった。一体どうやって...
足が崩れる。息もできない。
そんな中僕の心臓が
戦え
そう言った気がした。
戦った所で勝ち目はない。でも戦わなければ勝ち目は0。
そう思った。いや脳が無理やりポジティブに考えさせたのかもしれない。
それでも...
それでも...やらないと...
怖い。
後ろにはバールが落ちてる。これも神様が戦えと言っているのだろうか。
怖い。
すぐに取ればいけるか...?いやいける!
相手が少しでも隙を見せた時に....
怖いが頭をよぎる。
「バールもてよ」
「!?!?」
読まれた!?
いやそれよりいいのか?確実に殺せないかもしれないの...いや自分が100%勝つ自身があるから言っているのか!?
とるか!?
いや、罠だったとしてもこれは乗るべき...‼︎
僕はバールを手に持った。
「俺、お前は今まで殺してきた奴の中で一番好きだよ」
「どういう意味だ」
「だってお前...
今笑ってるもん」
「まぁ殺すから意味ないけどぉ!」
来る!!
まず、あいつは今までの人を心臓で殺してきた!
だから!!
僕から見て左!!!
キィーン
「フッ...。」
いけた!!早すぎで見えなかったが一回跳ね返らせた!
これならワンチャ
ブスッ!
そんな音がハッキリ聞こえた...。
僕の左側が痛い...
やられたのか...?早すぎで見えなかった...
それとも一回目はわざと僕に跳ね返させた?
希望を絶望に変えるために...。
嘘だ...。
下を見れば地面。そういえばここ脆いんだったよな..。
.
落ちる。
痛い。
僕は死ぬ。
嫌だ。
死ぬ。
助けて。
色んな感情が溢れる。
ドンっ
僕は落ちた。一体何階から落ちたのだろうか。
あぁ、あいつが見下ろしてるのがよく分かる。
僕の背中、地面が赤色に染まっていくのがよく分かる。透き通った水色。それすらが痛く感じる。
僕は、
僕の涙を雨に掻き消されながらこう思うんだ...。
「あぁ...死にたくないなぁ...。」
ゆっくりと世界が黒色になっていく...。
「そういえば昔何か聞いたことが.......
いつ聞いたか覚えてないぐらい昔に聞いたことがある。
この世の人は「能力」を持っている...と。
しかしその能力の歯車はずっと止まっている。
しかし何かきっかけがあればその歯車は動き出す。
そのきっかけは人それぞれ、すぐに能力がでる人はでて全くでない人はでない。
そう、大きなきっかけがあれば...。