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首狩りの一族、その2

様子見とか、そんなもんは一切必要ねぇ。それはあくまで格下か少し格上に対して行うことであって、今みたいな圧倒的な実力差がある相手にしていいものじゃぁない。

幸い、相手はまだ遊び気分だ。この強者の油断を精一杯利用して、どうにか一筋の切り傷でも付ける。


「っ.......」


付ける.......付け.......


「ん?来ないのかな?」


「.......っ」


.......来いって言うならせめて隙ぐらい作ってくれてもいいだろ.......

いや、分かっている。コイツは、本当に純粋に、疑問を口に出した。

つぅことは、だ。この自然体でもこいつにとっては隙だらけ、ってなことになるのか.......?


「あぁ.......成程?」


中段に構えた刀が重い。

冷や汗が止まらずに、地面に滴っちまってる。


「じゃあ.......こうしよう」


なかなか俺が動かないことに業を煮やしたのか、ソイツは無造作に、右手で手刀を構えた。

そしてその手刀を.......


「.......は?」

ソイツ自身の左腕に振り下ろして、左腕を落とした.......?

一瞬惚けたが、体は正確に動いていた。


《歩法・雷成(かみなり)


ゼロから最速へ。

予備動作を一切せず、それでいて複雑な軌道を描きながら動くための術式。

その疾さ、雷に成り代わらん。


.......ちなみに元の名前は《雷速》。先代当主が厨二病を煩わせて勢いに任せて改名した我が家の黒歴史のひとつ。


.......名前は兎も角、その技としての完成度は最上と言うべきもの。

だがしかし。おそらくこれでは届かない。なぜなら、あいつはわざと隙を作ったことで逆に攻撃場所を制限させた。

だからこそ、出し抜く必要があり.......


その方法を、俺は独自に編み出した。


《自己流・地吸い》


自分()の最速状態でランダム軌道に動く《雷成》。

それに対し、俺は動くための速力全てを地面に押し付けることで急制動する。

言うなれば、慣性の向きの変更。ただ、言うほど万能じゃない。

これは、自分の体がどういうふうに動いているかが分かるからこそ出来ることであって、ほかの衝撃が少しでも加わるとすぐにしくじる。

実際、思いついて修練している最中は、分単位で地面とキスしていた。


ただし、俺の青春全てを注ぎ込んだこの術式の完成度は、そんじゃそこらの奴らにゃあ打ち破らせることすら出来ねぇだろう。

証拠に、こいつはこいつから見て右斜めに突如停止した俺に少しだけ面白そうな目を向けやがった。

ああ見ろ見ろ、そして笑え。コイツはただピタッと止まるためだけの技術だ。それ以下でもそれ以上でもねぇ。

つまり、攻撃性の技じゃねぇ。期待してるとこ悪ぃが、ここからは別の技にすぐ移らにゃぁならねぇんだ。


正直、処理能力が少し足りねぇんだよ。


ただ、今なら、まだ成功率が5割切ってるこの術式も、できる気がすっから不思議なもんだ。


《歩法・雷成》改変《自己流・不可視刀》


雷成のスピード全てを、右腕一本で受け止めて、切られたことすら気づかせねぇ神速の抜刀術。

これなら、あわよくば薄皮1マイクロミリ位切れてて欲しいもんだ。


けどまぁ.......


「そりゃそうだよなぁ.......!」


なんの感触もねぇ!詰まり!


「雷成よりも速ぇえって、どういうこった!」


有り得なくはないけどよぉ!マジで人間かよこいつ!


「.......驚いた」


あぁ?驚いた?むしろ今現在こっちの方が驚きは進行中だっての。

というか、左腕の肩口から滅茶苦茶血ダラダラ出てんじゃねぇか、なんで生きてんだよこいつ。


「もっと吃驚するものかと思ってたけど、存外肝が据わってる」


「.......ごちゃごちゃ言ってねぇで持っと俺を見ろ、次行くぞ!」


無論、ただ教えるだけじゃぁねぇがな?


《歩法・雷成》改変《自己流・石蹴り》状況変化《泥蹴り》


今度は石を蹴っ飛ばす方向に改良してやった雷成、それを草が絡まって固まった泥でやられるウザさを味わえや!


「ほー.......」


まぁ、当たる訳ねぇよなぁ?

ただ、お前の回避先にはもう俺が居る。

敢えて載っかったふうではあったが、乗っからせてもらうぜ.......

何せここは、この範囲は.......


射程圏内


《自己流・不可視刀》

《奥伝・首狩り》


放たれた速度は不可視刀と合わさってまさに死神の鎌。

親父を超えたこの術式なら、こいつにも傷を少しでもつけることも、可能だろぉ!


「獲っ―――」







「《居合》―――《首狩り》」









景色が、ズレる


地面が近づき、どこも動かせない



《プレイヤー名『ヴォーパル』の死亡を確認》


覚えているのは、アイツの、真っ黒い目


あの目は.......どこかで、見たことがあるような気がする


どこだっけなぁ.......




「今後に期待、かな」





雷成の原理

重心を前に前に、ってすると、自然と倒れる。

倒れる前に足を踏み込み、さらに重心を前に、あとはもう繰り返すことで結構な速さになる。

雷成はこれに加えて最初の1歩に全力を込めることで一気に加速する。

以上、適当解説

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