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シスター・プリンセス   作者: 髙龍
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転機 02

アンナがエーテライト男爵家に看病の為に通うようになって数日が過ぎた。

「ポートランド伯爵からの呼び出しですか?」

呼び出される覚えのないアンナは疑問に思いつつもラファエルに問い返します。

「事件の件で王都から調査隊が派遣されたとかで会ってほしい人がいるらしいですよ」

被害者の証言が聞きたいとかでしょうか。

順調に直っているもののまだ不便なラファエルさんの外出の準備を手伝いお屋敷を出ます。


伯爵の住まいは立派なお城で遠目から見たことはありますが行くのは初めてのことです。

元々は国境近くのこの辺りを守るための砦として建設され安定したことによって周辺に人が集まり町ができたそうです。

「ラファエルさんはお城にいったことはおありなんですか?」

「自分もパーティーとか特別な時に呼ばれたぐらいですね」

しばらく歩きお城の門にたどり着き門衛の方に取次ぎを頼みお城の中へ入っていきます。


玄関を入ってしばらく行った応接室に通され伯爵様の到着を待つ間メイドの方が紅茶を入れて勧めてくれます。

紅茶を半分ほど空けたところで伯爵様と連れの方が入室され

「こちらがラファエル殿とアンナ様ですね」

様?私は様付けされるような身分ではないのですが。

「使者殿あまり先走っては混乱させてしまいますよ。ラファエル殿今回の活躍見事であった」

落ち着いた髭を貯えた方がポートランド伯爵のようです。

「事件の事を聞きたいのだと思いましたがその感じでは違うようですね」

「詳しい話をするために少し昔話をしたほうがよいでしょうね」

と使者の方に視線で促した伯爵

なんでも私の母であるアンナリーゼは王様の娘だったそうで多くの反対を押し切り父と結婚してこの町に駆け落ちをしてきたらしく怒ったふりをした王様は密かに匿うよう指示をだされていたそうです。

今回、私が攫われたことにより準備不十分のまま討伐隊を送り込み王都に連絡を取られたのだとか。

王様が私に会いたがっているそうでその打診をするために訪れたとのことでした。

少し考えさせて欲しいと頼みお城を辞すのでした。

翌日、私達は気分転換に遠乗りにでかけてはとラファエルさんの勧めで操る馬の後ろに乗せてもらい草原に出かけます。

風が気持ちよかったですが頭の中では様々なことを考えてしまいます。

天涯孤独だと思っていて親族が見つかってうれしい気持ちと王様であるという祖父への恨みつらみというほどではないですがどうしてもっと早く動いてくれなかったのだろうという複雑な思いが絡みあってどうしたらいいのかわからないのです。

父と母は数年前に流行病でなくなりそのとき司祭様が儀式を執り行い収束させたそうです。

ラファエルさんは草原にポツンとした木の所で馬を止めて馬を結びつけると心配そうな顔で私を覗き込みます。

思い切ってラファエルさんに思っていることを洗いざらいしゃべり少しすっきりしました。

あの流行病は貴族にも被害がでたそうで幼かったラファエルさんの妹さんも犠牲になり生きていれば私ぐらいなのだそうです。

せっかく見つかった親族です。

一度会ってみてそれからどうするか考えたらどうだろうかと勧められラファエルさんが一緒ならと我儘をいうのでした。 

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