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シスター・プリンセス   作者: 髙龍
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転機 01

日の沈んだ森を前に使い慣れた剣を手に命令を待っている。

この森には食い詰めた窃盗団が潜んでいる。

旅人や町の人に被害が出ており領主の命により討伐部隊が組まれた。

参加したのは家督を継がない者や少しでも功績を上げたい血気盛んな者ばかり。

父にこんな時ぐらいは役に立てと言わんばかりに送り出されたのは貧乏男爵家の次男坊ラファエル・エーテライトである。

初陣で膝が少々震えていてみっともないことこの上ない。

臨時指揮権を与えられた伯爵の息子ランエル・ポートランドを補佐して危険から守りぬくのが役目だ。

ランエルは緊張の為かはたまた相手を侮ったのか突撃の命令を出し自らも突っ込んでいく。

慌てて追いかけ薄暗い見通しの悪い悪路に悪態をつきながら必死に背中を追いかける。

指揮官先頭で始まった両者共に死者は出なかったものの負傷者多数の惨憺たる結果に相手の降伏による幕引きとなった。

自分も人質に取られた見知った少女を奪還するべく利き腕を負傷し簡単な止血を施して貰い町に引き上げることになる。


助けて貰ったお礼と不便であろうことから世話係として派遣されることになったアンナ。

「ラファエルさん先日は助けていただきありがとうございました。教会から世話係として派遣されてきたアンナと申します」

お互いに惹かれ合いながらも町で軽く会話することしかなかった二人はこの関わりでお互いの名前を初めて知るのでした。

この助けた少女アンナとの出会いによりラファエルの未来は大きく変わることになる。

「助けに入ってこの様では恥ずかしい限りだけど君が無事でよかったよ。家の者もいるから無理をしない程度によろしく」

包帯の巻かれた痛ましい右手を見つめて

「これ少ないけど教会で作った傷薬です」

ミランカさんに教えてもらいながら悪銭苦闘しながら作った特製です。

司祭様は回復魔法を使えるらしいのですがそれには代償も必要とのことで薬を作るのも教会のお仕事の一つなのです。

「ラファエルさんはお食事はもうお済ですか?よかったら私に手伝わせてください」

「それではお言葉に甘えようかな」

時刻はお昼時、家の方が用意された食事は固いパンに野菜のスープ食べやすいように丁寧にパンをちぎり少量ずつラファエルさんの口元に運びます。

こうしていると恋人みたいでどきどきしてしまいます。

スープの野菜も細かくカットされており料理を作ってくれた家政婦さんの気遣いがよくわかります。

食事を終え日課であるらしい散歩に二人ででかけ市場を冷かしてゆったりとした時間をすごすのでした。

夕刻屋敷に戻り、水浴びをするというラファエルさんを手伝うべく自分も薄着になり怪我をしている右手にかけないように細心の注意を図りながらゆっくりと水をかけ背中をごしごしとタオルで丁寧に磨いていきます。

大きな背中にどぎまぎしつつも洗い終え最後に包帯を外して薬を丁寧に塗り包帯で巻きなおします。

斬れた直後は血が大量にでていて不安でしたが傷自体は小さく数週間ほどで元通りになりそうです。

安堵のため息をつきつつ本日はこれで帰りますと屋敷を辞して教会に帰るのでした。


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