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シスター・プリンセス   作者: 髙龍
2/19

シスターとして 02

教会に戻った私たちを司祭様が出迎えてくれます。

「二人ともご苦労だったね」

「司祭様もお疲れ様です」

ミランカさんって他の人には優しいのに司祭様に対してだけそっけないのはなんでだろう?

「では主に感謝を」

私とミランカさんは説教台に寄付金を収め膝を地面につき主に祈りを捧げます。

寄付金は主のために使われほんの少し私たちが生きていくために分けていただくのです。

「アンナは夕食の支度をするように」

「はい、司祭様」

そういって私は裏口から外へと向かいます。

中庭の井戸によって手と顔を洗った後、喉を少しだけ潤し調理場へ向かいます。

「手伝いにきたよー」

明るい声を出しつつ扉を開けます。

「アンナちゃんありがとう。」

今日の夕食の当番はリリア先輩と親友のミミのようです。

教会に引き取られた後も両親の死を引きずって何もやる気が起きないでいました。

そんな中、失敗を沢山して先輩や司祭様から怒られても頑張っているミミを見て元気を貰ったのです。

仲良くなった後に聞いたのですが私と同じような時期に教会に引き取られたそうです。

引き取られた理由は聞かないのがマナーです。

貴族の家督争いだったり口減らしだったり私のように親を亡くしたり本当に様々な理由で引き取られてくるのです。

「後は盛り付けだけだから盛ったのから運んでくれる?」

「これを運べばいいんだね」

今日の夕ご飯はシチューとパンのようです。

リリア先輩のシチューって美味しいんだよね。

食堂に入ると他の人も集まりはじめているようです。

みんなで協力して配膳を素早く集めます。

配膳を終わらせて席でしばらく待っていると最後に司祭様とミランカさんが席につきました。

皆で主と糧になった食物に感謝を祈りを奉げ食事をいただきます。

夕ご飯が終わると聖堂を軽く清めて仕事終わりにやってくる悩める人を迎え入れる準備を終え私達は早めに眠りにつきます。

翌朝、日が昇ると同時に起き井戸から水を汲み顔を洗った後調理場に水を運んで朝御飯の準備をはじめます。

パンと昨日の残りのシチューを食べて仕事の割り振りをしたらお仕事の準備にかかります。

今日の私達のお仕事はとあるお屋敷への奉公です。

仲良しのアンゼリナちゃんと監督役のシフォンさんと一緒です。

お屋敷について奥方様に挨拶をしたら早速お掃除の開始です。

不注意で廊下の壺を割りかけて奥様から小言を言われてしまいました。

しょんぼりしつつも気持ちを切り替えてお部屋のお掃除です。

昼食にサンドイッチを頂いて廊下の水拭きをしているときに書斎からシフォンさんと男性の話声が聞こえてきます。

夕食の前にお屋敷を辞して教会にアンゼリナちゃんと帰ります。

シフォンさんはまだお仕事があるそうで少し居残るそうです。

シフォンさんって知的で幾人かの人から秘書として人気があるんですよね。

私、アンナは教会でシスター見習いをしています。

両親を早くに亡くし両親は駆け落ちをしたらしく

引き取り手のない私を司祭様が引き取ってくれたのです。

食事の量は十分とは言えませんが飢えるほどではなく

日々、奉仕活動をして回っています。


今日は先輩のミランカさんと小さなカゴを持って寄付金を集める為に立っています。

ミランカさんは銀色の綺麗な髪を腰のあたりまで伸ばした美人さんです。

この寄付金集めはお金と一緒に要望を紙に書いて入れると

私たちがお礼として奉仕活動に訪れるシステムになっています。

ミランカさんは寄付金をくれる人と路地裏に入って行って

沢山の寄付金を貰って帰ってくることがあります。

ミランカさんに聞いたら人にあまり聞かれたくない

悩みを解決してあげているそうです。

私もいつか悩みを解決してあげられるようになるのでしょうか?

「もしもーし?大丈夫?」

はっ、いけない、いけない、考え事してぼーとしちゃった。

「はい、だいじょぅ・・・ぶ、ですよ?」

なんで疑問形。これじゃ、逆に心配かけちゃうよ。

でもでも、しょうがないの相手の顔が近くて目と目があっちゃう。

しかも私が寄付金集めで立っているといつも私の所に入れに来てくれて

密かに いいなぁって思って心の中で金髪の君と呼んでる人だ。

「ふ、はっはっ」

やだ、笑われちゃった。恥ずかしさで顔が熱くなる。

「いや、ごめん、ごめん、ふふ」

謝ってくれてるけど、よっぽど私の対応が面白かったのか腹を抱えて笑ってる。

もー、絶対これ顔真っ赤だよ。

「あー、こっほん、そこのお二人さんお似合いですよ」

いつの間に戻ってきたのかミランカさんがからかってきます。

「失礼、ぼーっとしてたから何かあったのかと心配しただけなんだ」

と、今度は紳士的に謝ってくれます。

「いえ、私のほうこそご心配をおかけしてすみませんでした」

私も頭を下げて謝ります。

「では、また」

そういって手を振って去ろうとする金髪の君にミランカさんが何か耳打ちしています。

金髪の君はミランカさんにお礼を言うと今度こそ去っていきました。

「さぁって、そろそろ私たちも帰りましょうか」

気が付けばもう教会に戻る時間です。

「はい」

と笑顔で答えて教会への帰路につくのでした。


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