強い奴に逢いにくい
駄作上等
??「おい!しっかりしろ!」
??「僕はもう駄目だ……後は……頼んだよ……」
??「チクショウ……なんでこんな!」
悲痛な声が響く中、二人に背を向け━━『彼』は立ち上がる。
???「行くのか?」
???「━━ああ。決着をつけてくるぜ」
???「頼んだぞ。俺たちの……いや!太陽系の命運はお前に掛かっているんだ!」
その声に無言で彼は拳を突き上げ応える。そこには一人、決戦へと向かう漢の背中があった。
カ「カロンで~す」
ル「ルナで~す」
カ「二人合わせて」
ル「特に無しで~~す」
カ「おい」
月「と、いう訳でいきなりの三文芝居から始まりました『太陽系腕相撲大会』!!」
カロン「またこのパターンですか……。まあ、カンのいい方なら「太陽系」云々辺りで気付いたかも知れませんが」
月「そんなメタな会話はさておき、開始早々から波乱の展開!なんと優勝候補の木星がまさかの一回戦敗退です!」
カ「しかもその相手があの水星ですからね……。それであの有り様ですか」
天王星「しっかりしろっての!は~~、まさかデカイ図体してこいつがこんなにメンタル弱いとはなあ……」
木星「ふふ……そうさ。ぼくなんて大きさだけが取り柄の水星にも勝てないダメ惑星だったんだ。ああ、お迎えかな……なんだか天使の輪が見えてきたよ……」
天「それ土星の輪っか!!」
カ「お月さん、水星の勝因、或いは木星の敗因ですが」
月「それはあのお粗末な舞台のせいでしょうねー。何しろ何処かから拾ってきた巨大な石柱を『でん』と置いた上にただ寝っ転がっての勝負でしょ?ガス状惑星だと踏ん張りが効かなくて一回転ですよ。つーかお月さん言うな」
カ「同じくガス状惑星の土星も同じく敗退しましたね」
お月さん「そうです。そしてそれからも水星の快進撃は続きましたね~。表面を厚いガス状の大気が覆った金星やそもそもの表面が氷で覆われている天王星、海王星、それから表面の大部分が水の地球も滑ってしまい敢えなく敗退」
カ「で、残ったのがそこで格好つけている火星ですか」
お月さん「太陽系の命運を下から数えて二番目の大きさの火星に託すってなんかショボい気がしない?」
カ「どっちが勝っても微妙な気分になりそうですねぇ」
等々、実況の端々でディスられてるとも知らずにこっちはこっちで勝手に盛り上がっていた。
火星「ふっ……キサマの暴虐もこれまでよ」
水星「一応キッチリ勝負して勝ったんスけど。まあいいっス。火星に勝って俺は太陽系最強の称号を得るっス!」
火「ぬかせ!同じ岩石惑星なら負けはせぬ!」
水「なら勝負っス!」
火花を散らし両者はガッシリと手を組んだ。
━━と、水星が不意にニヤリと笑った。
水「火星敗れたり」
火「なんだと!?」
水「自分の足下を見るっス」
火「何を言って……え?何か白い━━これは極冠!?」
水「そう、火星の南北両極は今は冬!そこには極冠の氷が張っているのだ!」
━━ぐいっ。
そして水星が力を入れた途端に火星は滑った。
火「しまった━━っ」
月「水星さん、優勝おめでとうございまーす」
水星「フッフッフ……。これで俺が太陽系最強っス!」
カロン「そーですねー。スゴいですねー(超棒読み)」
水「はーっはっはっは!いくらでもかかってこいっス!」
??「それじゃ、お言葉に甘えて」
水「へ?」
突然効果音が響き、宇宙空間の上に『Challenger』の文字が浮かび上がった。
水「え?何これ?━━あ」
??「次の相手は私だよ」
水「はい?」
??「問題無いよね?だって太陽系腕相撲大会なんだから」
水「ええっ!いやそれはそうなんスけどね?」
??「それじゃあ。太陽系Fight……」
水「ちょ、ちょっと待つっス!」
??「Ready~~」
水「ウソだぁぁぁ!!」
??「Go!!」
カロン「それで結局━━」
月「水星が恐る恐る腕を伸ばした途端に太陽のプロミネンスのビンタ一発で黒こげになっちゃいました。てへぺろ」
カ「ウザい。しかしプロミネンスって確か……」
月「場合によっては地球数個分の大きさを超える超高温のガスですがなにか?」
カ「まあ、調子に乗った水星も何ですがそれにしても太陽も大人げない……。で?あの方は何をしていらっしゃるのでしょうか?」
太陽「見よ!当方は紅く燃えているゥゥゥ!!」
月「何処かに向かって何か危ない台詞を叫び出しちゃってますよ?」
カ「もうこの辺で締めにしたほうが良さそうですね。以上、『太陽系腕相撲大会』。実況は準惑星に落とされて自分探しの旅に出た冥王星の衛星カロンと」
月「そのネタまだやるの?と、思わずツッコミを入れるみんなの月ちゃんがお送りしました!」
でも良作書きたい……。