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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
八話:カウンター
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奈良橋 歩美は、家に帰ったのだろうか制服姿ではない。

薄紫色のワンピースを着ていて、長いロールのカールと、デコが出た頭が特徴的だ。

こんな女は、男ばかりのゲーセンに不向きだよな。


「歩美だったか」

「あら、あなたはあんこ餅(杏那)の餅職人かしら?」

「なんだそりゃ?」

「餅職人は餅職人よ。あんこ餅を育てているんでしょ」

「つまりコーチと言いたいわけだな、そういうことだ」

俺は歩美の言葉を適当に聞きながら、アーケードゲームで自キャラのファンを扱う。


「あなた、コーチを辞めた方がいいのではないのかしら?」

「なんでだ?」

「歩美の戦い方を、見たでしょ」

「ああ、見た。俺に全敗しただろ」

「あなたに負けたかもしれませんが、あんこ餅には絶対に勝てますわよ。

歩美は、これでもさらにパワーアップをしておりますから」

確かに、それは感じざるを得ない。

前回の杏那戦の時より、さらに動きが良くなっていた。

俺のファンとの戦いも、だいぶ適応力がついているのが分かった。

カウンター一辺倒の戦い方が、早い進化で強くなっていた。


「歩美、お前はここで練習していないな」

「ええ、手の内を見せたくありませんし。それに……いえ、なんでもありませんわ」

歩美は余裕の表情を、俺に見せていた。

だが、違う。俺は動きを見て、ひとつだけ確信したことがあった。


「お前、もともとやっていたな」

「な、な、何を言っていらっしゃるのです?歩美は初めてですわ。

初めてまだ、ほんの数日ですわ!」

「うそつけ、あの戦歴を見れば嘘はつけないだろ。

それにパソコン室のところから、なんだか少し芝居がかっていたし」

「まあ、それでも勝てないことには変わりませんわ!」

歩美は俺に対して、余裕の笑みを浮かべていた。

そのまま、俺に背を向けて立ち去っていく。


「杏那には、才能がないのよ」

「へえ、そうなの?デコちゃん」

そこにタイミング悪く、バイト帰りの杏那が姿を見せていた。

カバンを持って、歩美のことを睨んでいた。



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