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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
七話:自信のつけかた
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夜、あのゲームが終わって帰ることにした。

俺も今日は私服、家から自転車で来ていた。

オーバーオールで長ズボンの杏那と、黒いシャツと短パンの俺が二人で歩く。

夜道を歩きながら、反省会をするのは日課だ。そして、杏那はふてくされた顔を見せていた。


「なによ、あんなコンボ知らないんだけど」

「あれ?あれはキャンセル。決められたコンボ技を全部入力しない」

「そんなものあるなら、ちゃんと教えなさいよ!」

「これは俺のほぼオリジナルだし、技は決められたコンボだけを入れるのが正しいわけでもないし」

「むー、それに最初の四本は手を抜いていて……」

「それも、違う」

俺はそう言いながら、否定した。いや、気持ち半分以上正解なのだが。


「だって、最初から相手にポイントを渡したら勢いがつくでしょ」

「まあ、戦いには流れがあるからな。流れに乗ったほうが勝つ。

それはコンボミスや、ガード成功など。

だけどその流れを呼ぶのは、動きをよく見る必要がある」

「動きをよく見る?」怒りを少し抑える杏那。

「前にも言ったと思うけど、ゲームをしないときは相手のプレーを見ろって言ったよな。そういうことだ」

「でも負ける必要は、なくない?」

「対人戦は、五ポイント制だ。最初に説明しただろ」

俺の言葉に、真剣な顔で杏那が頷く。


「乱入台も五ポイントだし、大会だって五ポイント。

いかに早く五ポイントをとるかが勝負のポイントだ」

「それはわかるけど、それがどうしたの?」

「戦いは流れがある、いわば生き物だ。最初の五ポイントの取り方は、人による。

中には、最初の何ポイントかを様子見に使い、後半勝負する奴だっている」

「本当にいるの?」

「強い奴はやるぞ。俺も危険な相手や、新キャラを使うやつにはよく使う手段としてある。

動きを見せることで、相手を油断させることもあるし」

「ふーん、まあ、そういうことにしておいて……げっ!」

杏那は、いきなり俺の話すトーンから顔が引きつっていた。

俺の前に、一台の車が止まる。その車は高級車だ、ドアが開き、一人の人間が出てきた。


「あら、あなたたち随分と仲がいいのね」

そこにはメガネをかけたロングカールの女がいた。

なにより、それは最悪の人間の歩美だった。



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