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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
七話:自信のつけかた
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この時間帯のゲーセンには、人が少ない。

日曜でも、昼と夜ではだいぶ違う。

俺は一人、乱入台でゲームをしていた。後ろに、杏那と数人のギャラリーを背負い。

プレイヤーカードを使わないと、戦績は表示されない。

使うキャラは、『ユウト』。だけどはじめの敵からポイントを失う。


「ねえ、なんで手を抜くの」

「これは作戦」ポイントは失うが、三ポイント目をとらせない戦い。

「作戦って?」

「俺はガチでやったら、誰も戦わないからな」

「それって、インチキじゃない!」

「厳密に言うと……おい、杏那!」

「あんなの、正しくないわ!」

杏那は、怒って乱入台の裏に入った。

そのまま、杏那は容赦なく乱入していた。


(あーあ、もったいないな)

そう言いながらも、俺は負ける気はしない。

杏那は入って、予想通り『ユズ』を選ぶ。


(とりあえず、少しは華を持たせるか)

そう言いながら、俺は杏那との戦い自体をコントロールしていた。


戦いながら杏那のユズの動きは、良くなっていた。

間合いの取り方、試合の入り方、コンボの正確さ。

日を追うごとに、技術は高くなっているのが分かった。


(それでも、まだまだ駆け引きに甘さがある)

最初の四ポイントをユズに奪われた。いや、わざと奪わせた。

一気に王手をかけるユズ、だけど俺は慌てていない。


(格闘ゲームはターン制、だが攻撃の引き出しの数が上回れば有利になる。

そして、それが見切られたとき……)

俺はユウトの連続技を見せた。コンボを覚えているユズが、ガードをする。

だけど、最後の二発のコンボを止めた。


そして、最後の二発を変化させて投げに切り替えていた。

ガードしていると、投げはよくはいっていた。


そういう戦い方で、俺は杏那から五ポイントを奪い返していた。

画面には、俺の操った『ユウト』が勝利のポーズを決めていた。



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