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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
七話:自信のつけかた
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次の日の昼休みになった。この日は、朝からあいにくの雨模様。

大雨というわけではないが、黒い雲から雨が降っていた。

ご飯を食べ終えた杏那と、合流した俺。

そして教室から、特別教室棟の方に歩いていく。


このあたりだと、人が余りにもいないから杏那は不安そうだけど構わず向かう。

そして、ある教室の前に止まった。それは普通の教室ではない。

ドアを開けた中には、パソコンがいっぱい置いてある部屋だ。


「これって、パソコン室?」

「ああ、パソコン室」

パソコン室は、パソコン実習で使う部屋。

ただ、授業以外にも生徒が休み時間使うことが認められていた。

一応アダルトサイトに繋がらないよう、学校側でプロテクトが掛かっているが。


俺と杏那は、空いているパソコンデスクに座った。

そのまま慣れた手つきで俺が、パソコンを立ち上げていた。

「パソコンで、一体なにをするの?」

「ネットに繋ぐ」

「ネット?」

「ああ、まあ見ていろ」

学校のパソコンは、アドレスとパスワードがあった。

授業で習ったアドレスとパスワードを入れて、ネットを繋いだ。

器用にマウスを使いながら、動画サービスのページにジャンプする。


「動画サービス?」

「たまにここに、来るんだよね」

「なにが?」

「この画面、見てくれ」

「これは……『リアルファイター6』?」

「そう、ゲーセンのモノと同じ動画。学校ですること無かったり、対戦で負けたりしたらここで画像を見る。

そこで、俺は自分の戦い方の見直しや、リーチや技のモーションを見る」

「へえ」杏那が感心して見ていた。

「これなんか、いいんじゃない?」

そして、次に見せたのが『ユズ』使いの動画。

相手は『デス・ストロング』と戦っている動画だ。

だけど、杏那はそれを見ながら首をひねっていた。


「あれ?あそこのコンボ……あんなの使うのより、最後『ユズスペシャル』使ったほうが良くない?」

「うんうん!」

その動画ではコマンドミスが、随所に目立つ。


「これって……」

「そう、でも乱入台で戦っている子だ。画面の奥の称号が『三段』だし、勝率も70勝93敗」

「結構長いことやっているのね、でも、なんだか勝てそう」

「そう、意外と画像で見ると強く感じないんだ。

だから、もっと自信を持って。自信なくなりそうなら、他のダメな人の動画を見て自信をつけて」

「そうね、ありがとう和成!」

だが、そんな杏那の声に反応してか一人の人間が近づいてきた。

ゆっくりと厳かに現れた、制服を着た背の高い女。


「あら、静かにしてくれません事?」

そう言いながら、俺の前にはロングカールで、眼鏡をかけて広いデコの女が現れた。

腕を組んで睨んでいる女は、冷たいオーラを放っていた。



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