表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
七話:自信のつけかた
79/152

079

今日は十三夜、月が綺麗な満月だ。

だいぶ暑さも和らいで、白いシャツも夜になるとだいぶ寒く感じる時期だ。

秋が確実に迫っていた、この日。季節をあまり感じないゲーセンの中に俺はいた。


あまり金がないので、乱入台をぼんやりと眺めていた。

木曜日である今日は、杏那のバイトの日でもあった。

あったが九時で終わったバイトを切り上げて、ゲーセンにいた。


「杏那、大丈夫かよ?」

「大丈夫、今日はママもいないし」

そして白い半袖シャツの杏那もまた、ゲーセンの乱入台を眺めていた。

手には茶色い紙の袋、そこにはパンが入っていた。

バイトで作った失敗作のパンを食べながら、眺めていた。


「ママねぇ……」

「ねえ、だいぶ強くなった?」

「うん、あの道場で学んだことは生きているようだな」

「攻撃間合い……でしょ」

杏那は学んだ、空手道場で学んだのは相手との位置。


それはリアルでも、ゲームでも同じ。

むしろゲームでは、もっと駆け引きが重要になる。


「間合いを制する者が、すべてを制す」

「なにそれ?攻略本の受け売り」

「なんだ、知っていたのか」

「うん、ちゃんと見ている。ほら」

杏那はベンチの隣に置いたカバンから、『リアルファイター5』の攻略本を取りだした。


「あれ、写真で出ているのに意味があったのね」

「当たり前だ、ほかのキャラの間合いもわかってきたか?」

「うん、アーケードモードなら誰でもクリアできそう」

「それなら、乱入台だな」

「いよいよカードね」杏那は近くに有るカード自動販売機を見ていた。

カードが売られている、ほかのゲームのプレイヤーカードも売っていのだ。


「いや、必要ない」

「えー、なんでよ?」

「強くなるだけなら不要だ。それに五百円あるならできるだけ、練習に使ったほうがいい」

「でも、なんか持っているとプロっぽくない?」

「そんなことない、それに台が空いたぞ」

「じゃあ、乱入してくる」

杏那は紙袋を俺に置いて、そのままパンのクズをかじりながら乱入台に挑んでいった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ