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昼は空手で、三十分のミット打ち。
体力があった杏那は、二回ミット打ちをしていた。
そして自転車に乗せて俺は、杏那を街中の自宅近くまで送っていく。
送って行くついでに、俺はゲーセンに寄っていた。
いつもお決まりの、あのゲーセンだ。
(そういえば一人で来るのは、久しぶりだ)
杏那の付き合いで、ゲーセンにここのところずっと来ていた。
財布の中には、俺のプレイヤーカードもあった。
三台ある乱入台を見るが、誰もやっている気配はない。
(しょうがない、待つか)
『リアルファイター6』で、俺は久しぶりにカードを差し込んだ。
百円を投入すると、俺の称号『超絶神』が出てきた。
戦歴は3309勝79敗、俺の持ちキャラ『ファン・ジャンチー』を使う。
カードを差し込んだまま、いつもどおりゲームを始めていた。
(俺がカードを入れて入ると、乱入されないんだよな)
カードを入れるのだから、戦歴がオープンになった。
プレイヤーの名前『ナリカズ』は、ここでは有名なプレイヤーだ。
戦歴もよく、動きをごまかしても警戒される。
それだけ、俺はこのゲーセンでは強いということだ。
(俺にケンカを売るやつは、祈里と……アイツぐらいだな)
そんな時、後ろの乱入台から硬貨が投入された。
「おっ、来たか」
そして、カードも入れていた。
乱入されたと同時に、ゲーム画面が止まっていた。
止まった瞬間に、相手のキャラクター選択画面に切り替わった。
だけど、俺は直ぐにわかっていた。
(あいつが来たか)プレイヤー名『ドラツー』を、眺めてニヤリと笑っていた。




