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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
五話:第二の禁止令
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067

俺は、一人で風呂に入っていた。

だいぶぬるくなった風呂、俺は最後ということになっていた。

一人で風呂に浸かっている間は、いろいろ考えられるから好きだ。


(杏那も、さっき入っていたんだよな)

杏那の顔を浮かべては、照れてしまう。

そんな杏那は、今頃は祈里の部屋にいるだろう。

祈里も最初は、嫌っている様子だったけどだんだん仲良くなっていたのだ。

女というのは、意外とほかの場所で適応能力が高いのだろう。


(今日は八日……あまり時間がないな)

杏那の師匠として引き受けたが、この師弟関係には時間制限があるのだ。

とりあえず、杏那は全キャラクリアもなんとか達成した。

だが、それはあくまで通過点でしかない。


(そろそろ、人と戦わせるか)

祈里とここに来れば、よくスパーリングをしているが杏那は全敗していた。

ゲームとなれば祈里は容赦ないし、祈里のスキルは極めて高い。


(それでも、お金の方は大丈夫なのだろうか)

などと風呂場で考えていると、電話の呼び出し音が聞こえた。

いや、それは脱衣所の方から聞こえてきた。


「電話、こんな遅くに……あっ!」

俺は一つだけ、心当たりがあった。湯船から上がり、タオルを腰に巻いて浴室を出た。

そして、自分の着替えを置いてある洗濯かごに向かう。

ポケットから抜いたスマホも、そこに置いてあったからだ。

俺はスマホを見て、しまったという表情を顕にしてスマホに耳に当てた。


「ああ、ごめん由人か」

「やっとつながった、和成」男の声、親友の由人が聞こえる。

「それより、明日、見学するって言ったけど本当か?」

「ああ、なるべく早く行く。何時になる?午後か……」

だが、脱衣所にはもう一人立っていた。

その脱衣所は、洗面台もあってそこにはピンクのパジャマを来ていた杏那が俺をじっと見ていた。

俺は腰のタオル以外何もない裸で、スマホに手を当てていた。

俺を見るなり、なぜか杏那は俺に背中を向けて、無言で立ち去っていた。


「おーい、和成!」しばらく固まった俺に、由人が何度も声をかけてきた。



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