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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
五話:第二の禁止令
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覚醒したジョニー、赤い幕は攻撃力アップ。

ダメージが二割増しで、ほぼカウンターの時と同じダメージ値だ。

だけど、杏那は冷静にユウトを動かしていた。


「こっちに動いて……こうね」

コントローラーからレバーに変わったばかりなのに、対応が早い。

思いのほか杏那のレバー操作に、手間取ることもないようだ。

初めは、「遅い」とか愚痴ばかり言っていた杏那だが、コンピューターの戦いは慣れているようだ。


コンピューターの使うキャラは、ゲーセンも家庭用も大きく変わらない。

使える技は、ナンバリングが変わってもそれほど変わらないし。

だから、覚醒ジョニーに対しても攻撃がしっかり見切れていた。

そして、最初の難所であるジョニー戦も楽々に勝利した。


「やった、勝ったわ!」

杏那はジョニーにも、三ポイントを奪って次のステージに進んだ。

そんな中、次のステージは赤い全身タイツの男『アンソニー』。


「あれ、これってトレーニングモードにいなくない?」

「ああ、トレーニングモードにいるあいつの最新版らしい」

「最新版?」

「こいつ、実はある特徴があるんだ?」

「特徴?」

「ああ、よく見ていろ」

戦う前に、ちょっと長いロード画面が入っていた。

そこで、アンソニーが構えていた。背中を丸めて、拳を構えていた。


「構えが、変わった……」

杏那は新キャラの変化に、驚きがあった。

相手のことを探りあいながら、ユウトで戦う。パンチでアンソニーが杏那のユウトを追い詰めた。


「でも……この構えどこかで……」

杏那は疑問に思いながらも、新キャラアンソニーの動きに対応できずにポイントを奪われた。


「あー、結構強いわね」

「わかったか?」

「うーん、なんか戦ったことあるような感じがするのよ。まるで『ジョニー』みたいで……」

「みたいじゃなくて、そうなんだよ」

俺は、そう言いながらロードの長いゲーム画面を見ていた。

ロードを終えて、二戦目のアンソニーの構えがまた変わっていた。

それは、ユウトによく似た武道の構えを見せていた。


「こいつ、一戦ごとにランダムでほかのキャラクターと同じ動きをするんだ」

そう、そしてユウトは『ユウト』と同じ構えの赤いタイツの男と戦っていた。



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