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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
五話:第二の禁止令
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俺は杏那のセコンドだ。

初心者台で、貴重は百円を入れる杏那。

選ぶキャラはユズ……ではなく別のキャラだ。

不満そうな顔で、杏那が『リアルファイター6』を淡々としていた。


「コントローラーとレバーの操作は、全然違う。慣れるまで、かなり難しいから」

「そうね、ユズは本当に禁止なの?」

「禁止」俺はそれを曲げない。


「でも、大会は一キャラしか使えないんでしょ」

「うん、エントリーした時にキャラクターも決まる。

エントリー時に決めるキャラの変更をすれば、反則負けになる」

「だったら、ユズだけに絞ったほうが良くない?時間もあまりないんだし」

「いや、だからこそだよ」

俺はそう言いながら、キャラクター画面を見ていた。


「最初は『ユウト』から。

次第に難易度もあげるから……無論、全キャラでクリアな」

「えーっ、全キャラでやるって無茶よ!」

「今のお前ならそんなに難しくはない、あくまで相手はコンピューターだし。

それともう一つ、コンテニューも禁止な」

「わ、わかったわよ!」

やはり不満そうに、杏那は渋々『ユウト』を選んだ。

武道家の青年風の男が選ばれて、杏那が「うわっ!」と漏らす。

不満たっぷりで、文句タラタラ、やる気もあまりない杏那。

だけど、三分後……


「なに、これ、強いんだけど」

ゲームをやりながら杏那は、驚きにも似た歓声を上げていた。

画面では、杏那が操るユウトの快進撃が続く。


それもそのはず、ユウトはユズよりも攻撃力がずっと高い。

おまけにリーチも長いので、当たりにくい攻撃もしっかり当たるのだ。

もともとユウト自体、初心者向けのキャラ。

ユズよりも主力技は全て使いやすく、中には神性能の技もあったからだ。


このリアルファイター6も対戦相手は八人、そして三ポイント制である。

だけど、ほぼ一本も失わずに次々と進んでいった。

パンチとキック、それから投げ技。難しいコンボは知らない。

たまに、ゲーセン筐体の前に書いてあるコンボ表を確認する程度だ。


あまり技は知らなくても、次々と敵を倒す。

そして、五人連続でほぼポイントを失わずに進む。

六ステージ目のライバルキャラ、『ジョニー』が出てきた。


「これってもしかして?」

「そう、こいつも覚醒している」

画面にいるボクサーの男は、赤い光の膜のようなもので覆われていた。



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