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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
五話:第二の禁止令
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『リアルファイター6』の乱入台はこのゲーセンには、三セットあった。

乱入台は、当然稼働していればデモ画面ではなく相手の画面になっていた。

祈里が戦っている乱入台では、『ユウト』を使っているようだ。


「うわー、レバー、レバー、久しぶり」

ゲーム筐体のレバーを、ゲーセンに初めて来た子供のようにガチャガチャと回す杏那。

そのゲームは、『リアルファイター6』じゃないけどな。

奥では祈里が、ゲーセン台の椅子に座っていた。俺らと違って乱入台の方だ。


「あの、和成……」

「なんだ?」

「祈里ちゃん、カード入れなかった?」

「ああ、入れたよ。一応、俺も持っているけど」

俺はやはり、財布からリアルファイターのプレイヤーカードを取り出していた。

カードには、持ちキャラである中国拳法家老人の『ファン・ジャンチー』がポーズをとっていた。


「カードって、あると何がいいことあるの?」

「うーん、ただの自己満足かな。画面を見て!」

俺が見ている祈里のゲーム筐体の画面には、戦歴と称号が書かれていた。

ちなみに祈里は、持ちキャラでもある『ユウト』を使う。

同じ顔だけど、黒い同義の2Pカラーで、浮き輪に足ひれ。


「あの『覇王』とか、2213勝65敗とかは?」

「あれが、称号。このカードを入れて戦うと、戦歴が記録されるんだ。

一定の勝率、または勝利数で称号が変わっていき……」

「何、あの格好?浮き輪している!」

「称号によって得られる、カスタムアイテムだよ。

称号が、高ければ新しい衣装やアクセサリーをゲットできる」

「うわー、すごいね。欲しいかも!」

「そうだな、だけど……」杏那が感嘆の声を上げる中、俺の前にいる祈里はいともあっさりと倒していた。


「ねえ、入ってこないの?杏那?」

祈里は杏那に挑発していた。杏那は、座った祈里をじっと見ているだけだ。

杏那が行きたそうだが、それを制したのは俺だ。


「杏那、お前はまだ初心者台な」

「え?なんでよ?」

不満そうに言う杏那だけど、俺はそのまま隅にある初心者台に追いやった。

祈里は残念そうに、乱入台で再び乱入されて戦っていた。


「実は杏那に、これからやってもらいたいことがある」

「やってもらいたいこと?」

「ユズ禁止令だ」

そして初心者台に座らせて、俺は杏那に言い切っていた。



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