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たった一ヶ月で初心者女子高生が格闘ゲームを極める話  作者: 葉月 優奈
五話:第二の禁止令
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あれから三日、俺は今日も杏那を家に入れていた。

昨日は杏那のバイトの日だから、練習できる日は一日少なくなっていた。

俺のリビングに、杏那の姿がいることが次第に慣れていた。

そして、コントローラーを持って『リアルファイター5』をやる姿も日常的なものになっていた。


俺はほぼ毎日、杏那のゲームをソファーの上で見守っていた。

たまに、コンボのことを聞かれるがそれ以外のアドバイスはあまりしない。

『ユズ』を使う杏那は、毎日戦っているので手馴れていた。これは祈里を教育した時と同じだ。


ゲーム画面は、ラストステージ。つまりラスボスのサイクロプス戦だ。

すでに二ポイントリードしているユズ。そしてこの戦いのユズが有利に進めていた。


「この技で、トドメっ!」

そして、ユズは三ポイント目あっさりと奪った。


「ふー、またクリアしたわ」ソファーの前に座る杏那が、汗を拭う。

「ようやくノーコンテニュークリアできたな」

「これ、ノーコンテニュー?」

一瞬本人は戸惑っているが、一部始終を見ている俺は、ノーコンテニューだということを知っていた。


「ああ」俺が頷いて、杏那の表情が明るくなった。

「でも、だいぶわかってきたわね」

「戦っていると、コンピューターは決まった動きをする」

「そうね。早かったり、リーチが長かったり、ハメ技のように出の早い技を連発するけど……」

「パターンを読めば、難しくない」

「そうね」杏那は、スタッフロールをスタートボタンで飛ばす。

何度目のエンディングを迎えているので、その点も慣れていた。


「でも、もっとダメージを喰らわない方法で行かないとね」

「一応記録がある」

「クリアタイム?」

「うん」ゲーム画面がランキングを表示した。

それは、アーケードモードのクリア時間を表示していた。


「え、五分?」

「これは俺が二年前に出した記録」

「あたしは九分もかかっているし……すごくない?」

「もちろん全てのポイントをとっている。キャラも『カムチャット』じゃないと、絶対にでないタイムだ」

「すごいわね」

「コンピューターは決まった行動パターンがあるから、ハメれば大体これぐらいのタイムは出る。

だけど、ユズの場合はハメ技でも七分ぐらいが限度じゃないかな?」

「な、七分……それでもすごいわね」

「ただいま」そんな俺と杏那がゲームをしている最中、祈里の声が玄関から聞こえてきた。



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